【完結】再会 -最期の時に 最期の場所で-

華景和音

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第5章 解明

実験と証明

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翌日の朝、リクがリビングでトーストをかじりながらスマホを見ていると、リナが携帯から音楽を流し、踊りながらリビングに入ってきた。

リク「何だよ?朝から踊ってる奴を見ると疲れる。」

リナ「最近、いいアイデアが出て止まらないのよ!」

リナはリクの言うことを無視して、リビングのど真ん中で派手に踊り続けた。リナが急に片足でジャンプしながら、テーブルの周りを回り出した。しかし、リナはバランスを崩し転びそうになった。

リナ「あ、やばっ!」

リナが勢い余ってリクの方に突っ込んできた。

リク「おい、ちょ!」

リナがリクの肩にぶつかり、リクが手に持っていたトーストが宙を舞った。

リク「あぁぁ!」

トーストはリビングの床にバサッと落ちた。

リナ「ごめん。」

リク「おい、朝から何やってんだよ。」

リクがトーストを見ると、バターを塗ってる方が下になっていた。リクはナオが言っていたことを思い出した。

リク(ああ・・・これがマーフィーの法則か・・・、)

リナ「3秒ルールだから大丈夫でしょ?」

リク「お前が言うなよ。もう5秒は経ってるし、3秒ルールもあれウソだから。」

そう言ってリクはトーストを拾い上げた。そのときリクは違和感を感じて、トーストが落ちていた床を見つめた。

リナ「そんな物惜しそうにずっと床を見ないでよ。もう一枚焼いてあげようか?」

リク「いや、いい。そういうんじゃないんだ・・・。」

そう言うとリクは床に顔を近づけた。するとリクは自分が感じた違和感の正体に気づいた。


――

次の日、リクはナオとケントと一緒に学校の4階にある渡り廊下にいた。

ケント「異世界会議、第二弾か。」

ナオ「何か分かった?」

リク「ああ、重要なことに気づいた。」

ナオは目を輝かせて言った。

ナオ「何?何?」

リク「オレ、今日、トーストを床に落としだんだ。」

ナオ「ん?」

リク「それで、バターが塗った方が下になって落ちたんだ。」

ケント「は?」

リク「それで、おかしいのはここからだ。普通なら、バターが塗った方が下になって落ちたら、床にバターが付くはずだ。でも、床にバターが付いていなかったんだ。」

ナオ「それってバターを塗ったところが床に付かなかっただけじゃないの?」

リク「オレもそう思って、バターが付いている部分を床に擦り付けてみたんだ。でも、バターは床につかなかった。こんなことってあるか?」

ケント「そんなことないだろ。だって、パンにはバターが塗ってあったんだろ?」

リク「そう。バターはパンには付くけど、床には付かなかった。これってバターはパンに塗られるもので、床に塗られることを想定していなかったからじゃないか?」

ナオ「想定って、誰が?何のためによ?」

リク「まだ分からない。」

ナオ「バターを床に置いておけば、気温で溶けて床に広がるはずじゃない?」

リク「でも、そうならなかった。実際にバターを床に置いてみたけど、まるで冷蔵庫に入っているかのように、溶けることも床に付くことも無かった。」

ケント「ちょっと信じられないな。」

リク「それで別の実験もしてみたいんだ。」

リクはそう言うとリンゴを取り出した。

ナオ「それで、そのリンゴ?」

ケント「まあ、リンゴと言えばニュートンの万有引力だな。ここからリンゴでも落としてみるってか?」

リク「そうなんだ。」

ケント「え、当たりっ!?オレって天才っ!」

ナオ「えーっ!もったいない!食べ物は大切にしなきゃ。」

リク「いや。たぶん予想通りならリンゴは大丈夫だと思う。後で食べられるよ。」

ケント「それをして何が分かるんだ?」

リク「この世界の矛盾さ。」

ナオ「矛盾って?」

リク「ここは4階だ。これから中庭にこのリンゴを落としてみる。するとリンゴはどうなると思う。」

ケント「まあ、砕け散るだろうな。」

リク「オレも普通ならそうなると思う。」

ナオ「え?じゃあ、それ以外の結果ってあるの?」

リク「あるかもしれない。」

ナオ「かもしれないって!」

リク「それを確かめるためにリンゴを落としてみるんだよ。」

ナオ「えー?危なくない?人に当たったら大変だよ。」

ケントは下を覗き込んだ。

ケント「今、人はいないな。やるなら今だぜ。」

リク「よし。」

そう言ってリクは渡り廊下からリンゴを落とした。リンゴは地面に落ちると少しバウンドして中庭に転がった。その様子を身を乗り出して見ていたナオが言った。

ナオ「え?何か違和感。」

ケント「野球のボール落としたみたいだったな。」

リク「実験は成功だな。多分、リンゴは傷ひとつ付いてないよ。」

ナオ「それはないでしょ。下に行って観てみよっ!」

リク「その前にこれを・・・。」

そう言ってリクはコンビニに買って来たプリンを取り出した。

ナオ「わっ!ありがとうリク、私プリン好きなんだっ!」

リク「わざと言ってるだろ。これ、落とすやつだから。」

ナオ「えー、それ落とすのー?落とすんだったら半分だけでいいじゃん。私が半分食べて、残りの半分だけ落とすからっ!」

リク「からって、実験が優先だろ?食べたかったら今度買ってやるよ。あのおばさんがいるコンビニで。」

ナオ「いやーっ!!もう2度と行かないあのコンビニっ!」

リクはプリンを逆さまにして底に付いている突起を折った。するとプリンはカップから出て中庭に落ちていった。プリンは地面に落ちると形を崩すことなく、ブルンブルンと震えながら跳ねた。

ナオ「プリンが水風船みたいになってる。」

ケント「いや水風船なら割れるだろ?」

ナオ「そうじゃなくて、割れない水風船みたいっていうこと!面倒くさっ!」

リク「じゃあ、下に降りて確かめてみよう。」

そのときナオが言った。

ナオ「ちょっと待ってっ!」

リク「何?」

ナオ「ケントは落とさないの?」

ケント「おいっ!」

ケントはナオの頭をチョップした。

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