【完結】再会 -最期の時に 最期の場所で-

華景和音

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第6章 真実

記憶消去プログラム

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リク「これで一つ目の疑問が解決しました。というか、それを受け入れて解決したことにします。それでもうひとつの疑問なのですが・・・。」

リクは本題に入った。

リク「アリスの家に入らずに、最初からここに来るべきだったのかもしれませんが、ルグレさんにしらを切られたどうすることもできないので、これを見つけてきました。」

リクは六角柱の金属を取り出した。

ルグレ「それはプログラムを停止させるためのキーだ。」

リク「そのプログラムって、どんなプログラムなんですか?」

ルグレ「記憶を消すためのプログラムだ。この世界はプログラムされている。記憶を消すためのプログラムの一部だ。アリスのいない世界の記憶をつくって、その記憶をアリスがいた世界の上に上書きする。そういうプログラムだ。」

ナオ「えっ!?記憶を消すっ!?」

ルグレ「オレたちが関わった人間の前から、いきなり消息不明になるはまずい。1人2人なら問題はないかもしれないが、大勢いなくなれば社会問題にもなるし、警察も動くことになる。そうならないように、オレたちは関わった人間の記憶から、オレたちの記憶を消す作業することがあるんだ。」

リク「じゃあ、オレたちは今プログラムされた世界にいるっていうことですか?」

ルグレ「そうだ。」

ナオ「え?ちょっと分からないです。プログラムされている世界にいるっていうことは、私たちの身体はここには無いんですよね?じゃあ私たちの身体は今どこにあるんですか?」

――

25歳になったリクは、大学の研究室でパソコンに向かっていた。その研究室には70インチのテレビと、4人掛けのテーブルが4つ置いてあった。片方の壁にある本棚には英語の本がぎっしりと置いてあり、もう一方の壁には絵画が飾ってあった。その絵画の中のひとつはモネの絵で、並木道の奥の方に1人の女性が立っている絵だった。リクはパソコンを閉じると、バッグを持って電気を消し、研究室を出た。

リクは夜空を見上げながら駅に向かった。リクは駅のプラットフォームに立った。プラットフォームは帰宅する会社員や学生でいっぱいだ。そこに電車がやって来た。リクは他の客と電車に乗り込み、奥のドアの脇に立った。リクは窓の外に見えるビル群を眺めていた。ビルにはまだ灯りが煌々とついていた。リクは視線を上げ、ビルの隙間から微かに見える星々に目をやった。

リクが乗る電車は都内の夜景の中を走って行った。都内の灯りは日本の一部で、アジアの一部、その地球の一部だった。地球の周りには人工衛星が回っていた。人工衛星の中に変わった形をしたものがあり、それは曲線のないサッカーボールのような形をしていた。その変わった形をした衛星の向こうで彗星が横切った。

リクはマンションの一室に着いていた。リクはドアを開けてマンションの一室に入っていった。リクがドアを開けたときに、1匹のカナブンが音も立てずに一緒に入った。リクが部屋に入った後、しばらくして部屋の電気が消えた。その暗い部屋の中で、カナブンが不思議な光を放っていた。

――

ルグレ「君たちは、今自宅眠っている。そして夢を見ているんだ。」

リク「え?オレたちは今、夢を見てるんですか?」

ルグレ「そう言ったつもりだが。」

リク「これが夢なんて・・・。」

ルグレ「でも、君たちが見ている夢は、こちら側が意図的に操作している夢なんだ。作り出された夢だと言ってもいい。」

ナオ「うん?私たちは意図的に高3のときの夢を見ているっていうことですか?」

ルグレ「ああ。」

ケント「意図的に作れている世界っていうことは、オレたちバーチャルな世界っていうことですか?」

ルグレ「そう言ってもいい。」

ケント「バーチャルな世界をこんなに精密に作れるなんて!?」

ルグレ「まあ、完璧な訳はないが、それと気づかないくらいには精密だな。」

ケント「そうなると、この世界の矛盾が説明できるな。」

ナオ「そうそう。私たち、この世界の矛盾を見つけたんです。」

ルグレ「矛盾って?」

それから3人はルグレにこの世界で見つけた矛盾について話をした。

ルグレ「君たちの記憶を消すために、アリスのいない世界の記憶をつくり、その記憶を君たちの記憶に上書きする。通常ではあれば、上書きするための記憶をするには、この程度のプログラムで十分なんだがな。しかし君たちは記憶を取り戻し、この世界を疑い、矛盾を見つけ出した。」

ナオ「なんだか・・・やってはいけないことをしてしまったような気が・・・。」

ルグレ「このプログラムは現実だと思わせるために膨大な情報量を組み込んでいるが、今使っているプログラムは去年導入されたばかりだし、細部についてはまだ多くの改善点がある。しかし、それを改善しようとすれば、さらに膨大な情報量を扱う必要が出てくる。だから人が訪れないようなところまで作り込むのは後回しなっていた。」

ケント「でも、そんな高度な技術があれば、記憶を書き換えるなんてパパッとできちゃいそうですけどね。」

リク「そうです。何でこんな手間がかかることをするんですか?」

ルグレ「仮に、オレたちがアリスのいない世界の記憶を作って、それを君たちの記憶に上書きするとしよう。その場合、君たちにとってアリスのいない世界の記憶を、オレたちはどうやって作ればいいと思う?」

3人は考えてみたが何も答えられなかった。

ルグレ「上書きする記憶は本人が作った記憶でなければならない。例えば、オレが勝手にアリスのいない記憶を作って、オレの筋書き通りに動く君たちの行動を上書きしたとしよう。それで、君たちの記憶には違和感が残らないか?どうしてオレはあのとき、あんなことを言って、あんな行動をしたのか。つまり、記憶を作ることはできても、動機まではつくることができない。自分で選択をしない限りな。だから、具体的な状況に対して自分で選択させることによって、動機までを含む記憶を作る必要があるんだ。」

ルグレは続けた。

ルグレ「理由はそれだけじゃない。自分がするはずのない選択をさせてしまうと、その選択についての後悔が記憶の中に残ってしまう場合がある。後悔の記憶が蓄積されると精神的に負荷がかかってしまい、その後の人生に軽視することができないほどの影響が出てしまう可能性が出てくる。あと、これが一番重要なんだが、数日夢を見させるだけで、上書きする記憶はできてしまう。つまり、君たちにアリスがいない世界の記憶を勝手に作ってもらうのが一番簡単なんだよ。人は毎日夢を見るものだし、いい夢かも悪い夢かもしれない。それほど人に迷惑をかけるものではないんだ。」

リク「偽の記憶を自分で作ってしまうなんて・・・。」

ナオ「でも、やり方としてはコスパがすごく良さそうね!」

ルグレ「それに夢の中では、仮にそれがすごく変だったとしても、夢を観ている者は、それを変だと認識することができないんだ。だから夢っていうのは都合がいいんだよ。」

ケント「確かに、夢の中でナオが高さ5メートルのおにぎりを作ってても、オレは別に変だとは思わないもんな。」

ナオ「いや、そこは変だと思えよ!」

ルグレはキーを触りながら言った。

ルグレ「もともと、このプログラムは長期間の記憶を消すことに適していない。新しい記憶を作るといっても、この世界に疑いを持てるような長い期間を想定していないんだ。規格で想定されているのは1週間が1カ月そこらの記憶だ。」

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