【完結】再会 -最期の時に 最期の場所で-

華景和音

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第9章 再会

ジェットコースター

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リクは研究室でパソコンに向かっていた。傍らに置かれている本には「感情の経済学」と書かれており、論文には「The Economics of Emotions」という文字が見えた。

リクは大きく背伸びをすると立ち上がり、コートを羽織ってバッグを持ち、研究室を出た。電車の車内から見える街はクリスマスのイルミネーションで溢れかえっていた。街を歩く人々を見ていると、その中にアリスがいるような気がした。

リクはアリスと過ごしたクリスマスのことを思い出した。


――

クリスマスイブの日、4人は一緒に横浜にあるユニバーサルワールドに行くことになった。比奈駅で合流した4人は、クリスマスムード一色の電車に乗り込んだ。

ケント「やっぱり遊園地は定番だよな!絶叫系全部乗ろうぜ!」

ナオ「ケント、絶叫系乗れるの?」

ケント「乗れるよ。オレは絶叫系しか乗らない。」

ナオ「じゃあ、本当に絶叫系しか乗らないでよね。」

ケント「ナオ、何か面倒くさいぞ。」

コスモワールドに到着すると、クリスマス限定のデコレーションが一面に施されていた。巨大なツリーのライトアップ、スノーマンの飾り、そしてカップル向けの特別なイベントが至る所に設けられていた。

アリス「すごいね!すごいキラキラしてる。」

アリスは思わず声を上げた。

リク「今日はクリスマスイブだから、1.5倍増しにキラキラしていると思うよ。」

アリスはうアウターコンチネンタルホテルの方を指さして言った。

アリス「あっちの方も楽しそう。あれ変わった形をしてるね。」

リク「あれはホテルだから、楽しいかどうかわ分からないけど。」

アリス「あれホテルなんだ!でも、あっちの方も歩いてみたい。歩くだけでも楽しそうじゃない。」

リク「そうだね。ワクワクするし、雰囲気がいいかも。」

アリスとリクが話をしていると、そこにケントが割って入ってきた。

ケント「いやいや、最初はジェットコースターだろ!」

リク「ケント、いやいやの使い方間違ってないか?」

アリス「絶叫系?」

ケントは悲鳴が聞こえるジェットコースターの方を指さして言った。

ケント「アレがオレたちの今日の目的だ。」

アリス「あれが目的なの?」

ケント「そう、アレに10回乗るのが今日の目的だ。」

ナオ「アリス、ウソだからねっ!ケントが1人で10回乗ってなよ。」

リク「しょっぱなからジェットコースターってどうなの?」

ケント「しょっぱなだからジェットコースターなんだよ。」

リク「理由を述べてないぞ。」

それを聞いてナオとアリスは笑った。

ケント「こういうときは、ジェットコースターに乗って、一気にテンションを挙げた方がいいんだ。どうせ他にこれっていう乗り物はないんだろ?だから行こうぜ。」

そう言うとケントはジェットコースターの方に突っ走っていった。

ナオ「仕方ないわね。じゃあ行く?アリスは大丈夫そう?」

アリス「たぶん大丈夫だと思う。」

ナオ「だぶん?他のから慣らして行ってもいいと思うけど。」

アリス「大丈夫。私、アレに乗ってみたい。」

そのときジェットコースターから悲鳴が聞こえた。その悲鳴を聞いたアリスの目は点になっていた。

ジェットコースターに並びながら、リクとケントは話していた。

ケント「リク、いよいよだな?」

ケントがニヤニヤしながら言った。

リク「・・・いよいよだなって、何だよ?」

ケント「クリスマスに遊園地って、これ完全にカップルが来る場所だろ?」

リク「ケントが誘ったんだろ?」

ケント「ジェットコースターは、距離を縮めるのにいいと思うぜ。」

リク「それを大きなお世話って言うんだよ。」

ケント「ぼやぼやしてると、高校生活なんてあっという間に時間が過ぎ去っていくぞ。」

リク「このタイミングでアリスに何もしないよ。気まずくなったらみんなに迷惑がかかるし。」

ケント「そういう気づかいは、いりませーん。オレはナオと乗るから、アリスのことはよろしく!」

その頃、ナオとアリスはメリーゴーラウンドの周りを歩きながら話していた。

ナオ「アリス、今日リクと2人きりの方が良かった?」

アリスは驚いて足を止めた。

アリス「えっ!?何で?」

ナオ「何となくよ。最近のアリスのこと見てたらそうなのかなって。」

アリス「うーん、まだちょっと早いかな。こういう時期に、こういう場所だと緊張しちゃうし!」

ナオは微笑みながら言った。

「そっか!じゃあ今日はもっと仲良くなれるといいね!」

そう言ってナオはアリスの肩を軽く叩いた。

4人がジェットコースターに乗る番が回ってきた。ケントとナオが一緒に前の席に乗り、リクはアリスと一緒に後ろの席に乗ることになった。ジェットコースターは動き出し、高い位置に移動し始めた。リクが隣を見ると、アリスは緊張して遠くを見つめていた。

リク(これはちょっとまずい状況じゃないか?)

そう思ったリクはアリスの手を握った。それに気づいたアリスはリクの方を見てニッコリと笑った。

アリス「大丈夫・・・。大丈夫だから。」

しかし、そう言ったアリスの視線はリクの頭のずっと後ろの方にあった。

リク「本当に大丈夫?落ちないように持っててあげるから。」

アリス「え!?これ落ちることってあるの?」

リク「無いよ。」

アリス「無いならそんなこと言わないでよー!」

そう言ってアリスがむくれたとき、ジェットコースターは勢い良く走り出した。前にいたナオとケントは両手を挙げながら楽しそうに叫んだ。

ナオ「ワー!」

ケント「オーッ!」

それにつられてリクも両手を挙げて叫んだ。

リク「ワーッ!」

リクが両手を挙げると、リクが掴んでいたアリスの右手も挙がった。するとアリスは恐怖のあまり叫んだ。

アリス「キャー!!!」

アリスは目をつむって叫び続けた。それに気づいたリクは慌てて手を下げた。ジェットコースターは次の加速に向けて一旦減速した。

リク「アリス、ごめん!」

リクがそう言うとアリスはリクの目を見て言った。

アリス「これ・・・、楽しいかも・・・。」

リク「え?」

リクがそう言ったときジェットコースターは落下するように加速した。すると今度はアリスがリクの手を掴んで両手を挙げた。

アリス「キャー!」

リクがアリスの方を見ると、アリスは叫びならも楽しそうだった。ジェットコースターはまた減速し、再び加速し始めた。

アリス「リクも一緒に!」

アリスはそう言って両手を挙げた。

アリス「キャー!」

リク「ワーッ!」

2人とも笑顔で叫んだ。

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