異世界ファンタジーまとめ3【短編集】

テタの工房

文字の大きさ
5 / 81

黒曜の復讐劇

しおりを挟む
廃墟と化した街は、夕焼けに染まっていた。三年前のあの日、空は同じように燃えていた。ノアは、崩れかけた家の前で、握り締めた小さな人形を強く握りしめた。それは、妹、リリアが大切にしていたものだ。

政府の襲撃。それは一瞬の出来事だった。爆音、炎、そして、絶望。両親とリリアは、目の前で灰になった。生き残ったのはノアだけ。

それからというもの、ノアは復讐の炎に囚われていた。政府への憎しみは、日増しに彼女の心を蝕んでいった。生きる意味は、ただ一つ。復讐だけだ。

情報収集の末、ノアは神樹の存在を知った。伝説の樹、神樹。その樹には、禁断の果実「黒曜の果実」があると伝えられていた。この果実を手に入れれば、政府を滅ぼせるほどの力を得られるという。

神樹は、魔界の奥深く、誰も踏み入れたことのない地にあった。危険と隣り合わせの旅路。ノアは、わずかな食料と水、そしてリリアの人形を携えて、魔界へと足を踏み入れた。

魔界は、想像をはるかに超える過酷な世界だった。巨大な魔物、深い闇、そして、絶え間ない恐怖。何度も死を覚悟した。しかし、ノアは諦めなかった。リリアの笑顔、両親の温もり。それらが、彼女の心の支えになった。

幾多の試練を乗り越え、ノアはついに神樹にたどり着いた。神樹は、想像を絶する巨大さで、その枝は空高く伸びていた。黒曜の果実は、樹の頂上に輝いていた。

しかし、神樹には番人がいた。巨大な竜、その名は「アバドン」。アバドンは、神樹を守るため、何百年もこの地で眠りについていたのだ。

アバドンとの戦いは、想像を絶する激しさだった。アバドンの吐息は、山を吹き飛ばすほどの威力があり、その爪は、大地を裂いた。ノアは、何度も倒れ、何度も立ち上がった。

彼女は、かつては普通の少女だった。だが、復讐の炎は、彼女を戦士へと変えてしまった。彼女の瞳は、燃えるような憎しみに満ちていた。

そして、ついに、ノアはアバドンを倒した。それは、奇跡としか言いようのない勝利だった。弱気な少女は、もはやそこにいなかった。彼女の身には、復讐の意思だけが宿っていた。

黒曜の果実を手にしたノアは、圧倒的な力に目覚めた。彼女の体からは、漆黒のオーラが放たれ、大地は震えた。

彼女は、魔界の民を率いて、政府へと進軍した。政府軍は、ノアの圧倒的な力の前になすすべもなく、敗北した。ノアは、政府の要人を一人残らず処刑した。

復讐は、遂げられた。

しかし、ノアは、空虚感を覚えた。憎しみに燃えていた日々は、終わった。復讐を果たした今、彼女は何のために生きていけばいいのか。

街は、静まり返っていた。かつての賑やかさは、完全に失われていた。復讐を終えたノアは、焼け野原となった街を一人で歩いた。

リリアの人形を握りしめながら。

ノアは、神樹から奪った黒曜の果実の力を使い、魔界に新しい秩序を作ろうとした。しかし、その力は、想像以上に強力で、制御が困難だった。

黒曜の果実の力は、ノアの心を蝕み始めた。彼女は、次第に狂気に染まっていった。復讐心は、支配欲へと変わっていったのだ。

ノアは、魔界の支配者となった。しかし、彼女の支配は、恐怖政治だった。魔界の民は、ノアの恐怖に怯えて暮らしていた。

ノアは、本当に幸せだったのだろうか。

かつての少女は、完全に消え失せていた。彼女の瞳には、もはや、何一つ映っていなかった。

夕焼けが、彼女の背後に広がっていた。その色は、まるで、彼女の心を映し出しているようだった。

果ての景色は、何もない虚無だった。復讐の果てに待っていたのは、想像をはるかに超える絶望だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...