異世界ファンタジーまとめ3【短編集】

テタの工房

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影の支配者

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ミレウスは、汗ばんだ額をタオルで拭った。満員の観客席から降り注ぐ熱狂的な視線と、耳をつんざくような歓声。彼の闘技場「血染めの円形劇場」は、今日も満員だ。帝国一の闘技場にするという彼の野望は、着実に実現しつつあった。

だが、ミレウスには秘密があった。彼は、この帝国で最強と謳われる剣闘士「黒き牙」でもあったのだ。観客を魅了する華麗な剣技、そして圧倒的な強さ。黒き牙は、まさに伝説の剣闘士だった。しかし、その強さは、全て偽物だった。

ミレウスは魔法使いではない。生まれつき身体能力に優れていたわけでもない。彼の強さは、古代魔法文明の遺物「影の仮面」によるものだった。仮面をつけると、驚くべき戦闘能力と、相手の動きを予測する能力を得る。しかし、その能力は、長時間の使用で身体に大きな負担がかかる。そして、何より、正体を明かせないという大きなリスクを背負っていた。

ミレウスは、黒き牙として活躍することで、闘技場の運営に役立つ情報を集めていた。人気のある対戦カード、観客の好み、そして、ライバル闘技場の策略。全てを黒き牙の視点から収集し、血染めの円形劇場の運営に反映させることで、着実に観客数を増やしていった。

ある日、ミレウスは、帝国一の闘技場「黄金の闘技場」の支配人、バルカスと会った。バルカスは、傲慢で冷酷な男で、ミレウスの成功を快く思っていなかった。

「血染めの円形劇場、なかなかやるじゃないか。だが、俺の黄金の闘技場には敵わないだろうな」

バルカスは、嘲笑するようにミレウスを見下した。ミレウスは、平静を装いながら、内心で怒りを燃やしていた。彼は、バルカスをいつか打ち負かしてみせると誓った。

その夜、ミレウスは影の仮面をつけた。黒き牙として、黄金の闘技場へ潜入するのだ。バルカスの策略を探るため、そして、彼の弱点を掴むため。

黄金の闘技場は、豪華絢爛で、血染めの円形劇場とは全く違った雰囲気だった。ミレウスは、観客席に紛れ込み、バルカスの動きを観察した。バルカスは、不正な賭博に関わっていたり、剣闘士に薬物を与えて無理やり戦わせていたり、様々な不正をしていた。

ミレウスは、バルカスの不正を証拠として記録した。そして、その証拠を、帝国の監察官に密告した。監察官は、バルカスの不正を徹底的に調査し、最終的にバルカスは逮捕された。黄金の闘技場は閉鎖され、ミレウスの血染めの円形劇場が、帝国一の闘技場となった。

しかし、ミレウスの勝利は、これで終わりではなかった。バルカス逮捕後、影の仮面の力が弱まり始めたことに気づいた。長年の使用で、仮面の力が衰えていたのだ。ミレウスは、仮面の力を失う恐怖に慄いた。

ある日、ミレウスは、古代魔法文明の遺跡を発見した。そこには、影の仮面の秘密が記された書物があった。書物によると、影の仮面は、使用者に大きな負担をかける代わりに、強力な力を与える代償として、使用者の生命力を奪っていくものだった。そして、仮面の力を維持するためには、定期的に「影の精霊」の力を吸収する必要があると記されていた。

影の精霊とは、古代魔法文明によって作られた人工精霊のような存在で、遺跡の奥深くに眠っていた。ミレウスは、影の精霊を手に入れるために、遺跡の奥へと進んでいく。

遺跡は、複雑な迷宮のようだった。ミレウスは、様々な罠や魔物を乗り越えながら、奥へと進んでいった。そして、ついに影の精霊を発見した。影の精霊は、美しい女性の姿をしていた。

影の精霊は、ミレウスに語りかけた。「あなたは、影の仮面の力を使い、多くの人々を魅了してきた。しかし、その力は、あなた自身の生命力を奪っている。仮面を手放し、自分の力で生きなさい」

ミレウスは、影の精霊の言葉に心を打たれた。彼は、影の仮面をはずし、自分の力で生きていくことを決意した。黒き牙としての生活に終止符を打つ時が来たのだ。彼は、血染めの円形劇場の支配人として、そして、一人の人間として、新たな人生を歩み始めた。
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