異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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二つの令嬢の幸せの行方

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薄暗い部屋。埃っぽい空気と、かすかに甘い腐敗臭が鼻をつく。リディアは目を覚ました。

どこ?

頭が痛くて、思い出せない。ぼんやりと、白い天井、豪華な、けれどどこか古びた家具。これは…自分の部屋じゃない。

「……お嬢様、お目覚めですか?」

優しい声が聞こえた。振り返ると、年老いた女性が立っていた。メイドさんだろうか。優しい顔をしている。

「ここは…?」リディアはかすれた声で尋ねた。

「ノーツ侯爵邸でございます。お嬢様は、リア・ノーツ様…です」

リア・ノーツ?  その名前が、頭の中に響いた。まるで、遠い記憶の断片のように。

それから、断片的に、しかし鮮明に、記憶が蘇ってきた。伯爵令嬢リディア・エルメルト。光属性魔法の才能に恵まれ、将来有望な公爵家の御曹司、ローレンツと婚約していた自分。しかし、ローレンツの浮気が発覚し、絶望のあまり…自害したのだ。

そして、今、リア・ノーツとして、目覚めた。

「…私は、死んで…?」

メイドさんは優しく頷いた。「王宮のお茶会で、魔力暴走が起きました。お嬢様は、その影響で…半月もの間、眠りについていらっしゃいました」

魔力暴走…王宮のお茶会…あの日、ローレンツと別れた後、王宮に向かっていたはずだ。自暴自棄になって、魔法の制御を失ったのだろうか。

リア・ノーツ。侯爵令嬢として新たな人生を歩むことになった。前の人生では、愛する人に裏切られ、絶望に打ちひしがれた。今度こそ、幸せを掴みたい。そう強く思った。

侯爵邸での生活は、リディア、いや、リアの人生とはまるで違った。前の人生では、厳格な父親と、冷淡な母親に囲まれて、自由のない生活を送っていた。だが、リアの両親は、優しく、温かかった。

特に、母親であるノーツ侯爵夫人は、まるで自分の本当の母親のように、リアを愛してくれた。

「リア、今日はお庭でティーパーティーをするわよ。お気に入りのドレスを着てね」

夫人の言葉に、リアは心から嬉しくなった。こんな風に、誰かに大切にされる経験は、初めてだった。

お茶会では、様々な貴族の子息たちが集まっていた。ローレンツのような、冷酷で傲慢な男は一人もいない。皆、優しくて、気さくで、リアは自然と笑顔になれるのを感じた。

中でも、特に目を引いたのは、アラン・クレア公爵家のご子息、アルフレッドだった。穏やかな笑顔と、誠実な瞳を持つ彼は、リアに優しく話しかけてくれた。

アルフレッドは、魔法の才能にも恵まれ、穏やかで、優しい性格だった。ローレンツとは正反対だ。

何度か会ううちに、リアはアルフレッドに惹かれていった。彼の優しさ、誠実さ、そして、何よりも、彼の笑顔に癒された。

アルフレッドもまた、リアに惹かれていたようだ。彼の視線には、愛情が溢れていた。

ある日、アルフレッドは、リアにプロポーズをした。

「リア、僕と結婚してください。君を幸せにします」

彼の言葉に、涙が溢れた。前の人生では、得られなかった幸せが、今、目の前にある。

「はい…結婚します」

リアは、アルフレッドの胸に飛び込んだ。

結婚式は、盛大に行われた。侯爵邸の庭は、花で彩られ、美しい音楽が流れていた。

アルフレッドは、リアに優しいキスをした。

「愛してるよ、リア」

「私も、あなたを愛してる」

二人は、幸せそうに微笑んだ。

前の人生では、失恋の苦しみと絶望の中で終わってしまった。しかし、今、リア・ノーツとして、彼女は本当の幸せを掴んだ。

それは、まるで、魔法のように、美しく、輝いていた。

新しい人生で、彼女は愛され、大切にされ、そして、心から愛する人と結ばれた。

あの日の魔力暴走は、彼女にとって、不幸な出来事ではなかった。それは、新しい幸せへの扉を開く、奇跡だったのだ。

そして、リアは思った。

「二度と、悲しまない。ずっと、幸せでいる」と。
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