異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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魔法と棘の蜜月

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十五歳のメリッサは、魔法使い見習いだった。師匠であるアシュードは、二十七歳。容姿端麗、腕も立つ、文句なしのイケメン……だったんだけど、性格は最悪。いつも眉間に皺を寄せ、毒舌を吐き散らす、典型的なツンデレ、いや、ただのひねくれ者だった。

メリッサはアシュードのことを、ちょっと、いや、かなり気になっていた。彼の作る魔法薬の甘い香り、時折見せる優しい笑顔、そして、誰にも見せない弱々しい表情……全てがメリッサの心を揺さぶった。だけど、アシュードはいつもメリッサを突き放す。

「魔法の練習は雑だ!もっと集中しろ!」

「…はい…」

いつもそうやって、メリッサはアシュードに怒鳴られる。でも、その怒鳴り声にも、どこか愛情を感じてしまう自分がいた。

ある日、森の中でメリッサは一人の子供を見つけた。四歳の男の子で、ボロボロの服を着て、泣きながら震えていた。捨て子らしい。メリッサは、その子を家に連れて帰ることにした。

「アシュード、この子…どうすればいいの?」

メリッサは、アシュードに泣きながら尋ねた。アシュードは、最初は渋っていたものの、結局、その子を預かることにした。ディオと名付けたその子は、予想以上に甘えん坊で、いつもメリッサにまとわりついていた。

ディオは、魔法使い見習いとして、アシュードとメリッサの生活に彩りを加えた。彼の無邪気な笑顔は、二人の心を温かくした。アシュードは、ディオには驚くほど優しく、おもちゃを作ってあげたり、一緒に遊んだりしていた。メリッサは、そんなアシュードを見て、さらに彼への想いを募らせていった。

「めりっさ、およめにいくの?」

ある日、アシュードは突然、そんなことを言った。メリッサは、顔を真っ赤にして、「行かないし!」と怒鳴り返した。しかし、内心では、彼の言葉にドキッとしていた。

「そこは素直に嫁に来てくれよ」

アシュードは、いつもの毒舌を吐きながらも、少し照れたような表情をしていた。

それからというもの、二人の関係は少しずつ変化していった。アシュードは、以前よりメリッサに優しくなった。魔法の練習も、厳しく指導しながらも、褒めてくれることも増えた。そして、メリッサもアシュードに素直に気持ちを伝えるようになった。

「アシュード…好きだよ…」

ある夜、メリッサはそう告白した。アシュードは、何も言わず、メリッサを抱きしめた。その温もりは、今まで味わったことのないほどの幸せだった。

しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。ある日、アシュードの過去が明らかになった。彼は、かつて闇の魔法使いに家族を殺され、復讐心に燃えて生きてきたのだ。その復讐の炎は、彼を蝕み、メリッサとディオを危険にさらす可能性があった。

メリッサは、アシュードを説得しようとした。しかし、アシュードは聞く耳を持たなかった。彼は、メリッサとディオを自分の傍から遠ざけようとした。

「お前たちは、危険だ…」

アシュードは、冷たい表情でそう言った。メリッサは悲しみに暮れた。

しかし、ディオがアシュードに言った言葉が、全てを変えた。

「アシュード、メリッサは優しいよ。ぼくも、アシュードとメリッサが好きだよ」

ディオの純粋な言葉は、アシュードの心を揺さぶった。彼は、自分の抱える闇と向き合い、復讐心から解放されようとした。

長い苦悩の末、アシュードは、過去の呪縛から解き放たれた。そして、メリッサとディオと共に、穏やかな日々を送るようになった。

五歳になったディオは、くるくる回りながら、魔法の練習をするメリッサとアシュードの周りを駆け回っていた。二人の笑顔は、かつてないほど輝いていた。

時折、アシュードは、まだ過去の影に悩まされることもあった。しかし、メリッサとディオの温かい愛情に支えられ、彼は少しずつ、前を向いて歩き始めた。

ツンデレ娘とひねくれ男の、素直じゃない恋は、こうして、ハッピーエンドを迎えた。魔法と棘の蜜月は、愛と成長の物語へと変わっていったのだ。
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