異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

文字の大きさ
144 / 753

辺境温泉郷の災厄魔女

しおりを挟む
辺境の村、アシュレイは、文字通り辺境だった。どこまでも続く荒野と、ひっそりと佇む朽ちかけた家々。そこに追放されたのは、魔法が使えない公爵令嬢、リリアだった。「能なし」と罵られ、家族から見放された彼女は、この村を領地として与えられたのだ。

リリアは魔法が使えない代わりに、不思議な能力を持っていた。「ヒーター」と名付けたその能力は、触れたものを温める、いや、もっと正確に言うと、ものすごい勢いで熱くする能力だった。魔法ではない、純粋な「熱」の力。

アシュレイ村には、不思議な沼があった。いつもモヤがかかっていて、気味悪がられていたその沼に、リリアは「ヒーター」を使って火をつけた。すると、想像をはるかに超える熱湯が湧き出した。まるで、巨大な天然温泉だ。

最初は警戒していた村人たちも、その温泉の温かさ、そして肌の調子が良くなることに気づくと、次第に心を許していった。リリアは、この温泉を村の宝にしようと決意した。

彼女は、持ち前の明るさと、誰とでもすぐに仲良くなれる性格を武器に、温泉宿を建て始めた。最初はボロボロの小屋だったが、村人たちの協力もあり、立派な温泉宿へと変貌を遂げた。

噂は噂を呼び、アシュレイ村には世界中から観光客が押し寄せた。温泉の効果は想像以上だった。病気も治り、肌も美しくなり、心身ともにリフレッシュできるという評判が広まったのだ。

リリアの「ヒーター」の能力も、温泉を開発するにつれて、どんどん進化していった。最初は小さな沼を温める程度だったのが、今では巨大な湖を沸騰させることができるほどに。その力は、もはや「災厄クラス」と評されるほどになった。

村人たちは、リリアを「温泉の魔女様」と崇め始めた。リリア自身は、ただただ温泉が好きで、みんなが喜んでくれるのが嬉しいだけだった。自分の能力がどれほど強力なのか、まるで気づいていないのだ。

一方、リリアの実家であるラインハルト公爵家は、彼女の成功を面白く思っていなかった。追放したはずの娘が、辺境の村を繁栄させ、世界的に有名な温泉リゾートへと変貌させたのだ。公爵家の権威は、日に日に失われていった。

リリアは、アシュレイ村を独立国家として認めさせるため、様々な困難に立ち向かった。隣国の圧力、陰謀、そして、魔法使いによる襲撃。しかし、リリアは、村人たちの協力と、進化し続ける「ヒーター」の力によって、それらをすべて乗り越えていった。

ある日、強大な魔法使いがアシュレイ村を襲ってきた。その魔法使いは、ラインハルト公爵家と繋がっていた。リリアは、これまで無自覚に使ってきた「ヒーター」の本当の力を初めて知ることになる。それは、想像をはるかに超える破壊力だった。

魔法使いの攻撃を、圧倒的な熱で跳ね返すリリア。その姿は、まさに魔女、いや、神のようだった。村人たちは、リリアの力を目の当たりにし、改めてその偉大さを知った。

戦いは終わった。アシュレイは、リリアの努力と、村人たちの結束によって、世界で一番豊かな独立国家になった。全ては、温泉の良さを世界に広めるため。リリアは、これからも、アシュレイ村の発展のために、そして、世界中の人々に温泉の恵みをもたらすために、戦い続けるだろう。

そして、ラインハルト公爵家は、完全に没落した。リリアの成功を妬み、邪魔をしようとした代償は、あまりにも大きかった。リリアは、その事実を知って、少しだけため息をついた。でも、すぐに笑顔を取り戻し、温泉に浸かる村人たちを眺めていた。ビバ、温泉!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

タイム連打ってなんだよ(困惑)

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」  王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。  パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。  アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。 「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」  目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?    ※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。 『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。

最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました

チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。 完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。 【捕食】 それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。 ゴブリンを食べれば腕力を獲得。 魔物を食べれば新スキルを習得。 レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。 森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。 やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。 これは―― 最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...