異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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五人の悪魔と、不滅の契約。

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田舎町のはずれ、鬱蒼とした木々に囲まれた丘の上に、ひときわ目を引く屋敷があった。白い壁に濃い緑の屋根、一見すると大貴族の邸宅かと見紛うほど立派な建物だった。しかし、その屋敷の主は、平民の娘、アリスだった。

アリスは、驚くべきことに、何十年も変わらぬ容姿をしていた。二十歳そこそこの若々しい顔立ち、輝く黒髪、そして透き通るような白い肌。まるで時間が止まったかのような、不自然な美しさだった。

屋敷には、アリスに仕える五人の使用人がいた。ルシファー、ベルゼブブ、アスタロト、ベリアル、そしてレヴィアタン。皆、恐ろしいほど美しく、完璧な容姿をしていた。彼らはアリスを深く慕い、彼女の身の回りの世話を献身的にこなしていた。

村人たちは、アリスを貴族の愛人だとか、恐ろしい魔女だとか、様々な噂でささやいた。しかし、誰もがアリスの真の姿を知る者は居なかった。

実際のアリスは、50年前、ありふれた交通事故で死んでいた。魂は天国へと向かうはずだった。しかし、五人の悪魔に捕らえられ、契約を迫られたのだ。

「完璧な魂と肉体…貴様は、我々にとって最高の馳走だ」

悪魔たちの言葉に、アリスは恐怖を感じた。天国に行けば、来世はハエやゴキブリを叩くようなつまらない存在になるという悪魔の言葉に、アリスは絶望しか感じなかった。

「契約…します」

アリスは、悪魔との契約を選んだ。望む人生を手に入れるために。しかし、彼女は知らなかった。契約した悪魔たちが、とんでもない執着心を持つ存在であることを。

契約以来、アリスは望むものを全て手に入れた。豪華な屋敷、美しい使用人、そして何よりも、永遠の若さと美しさ。しかし、それは悪魔たちの監視の下での自由だった。

ルシファーは、アリスの美しい瞳を常に凝視し、少しでも他の男に目を向けようものなら、凄まじい力でアリスを支配下に置こうとした。彼の愛情は、狂気に近い執着だった。

ベルゼブブは、アリスの髪を優しく梳かしながら、彼女の過去の記憶を操り、常に自分だけを愛するように仕向けた。彼の愛情は、巧妙な洗脳だった。

アスタロトは、アリスに絶え間なく豪華なプレゼントを贈り、彼女の心を常に満たそうとした。彼の愛情は、金銭と所有欲の塊だった。

ベリアルは、アリスのそばに常に寄り添い、彼女の不安を解消しようと努めた。しかし、その愛情は、アリスの自由を奪う、過剰な保護だった。

レヴィアタンは、アリスの悪夢を消し去り、彼女を常に幸せな夢の世界に閉じ込めようとした。彼の愛情は、残酷なまでの甘やかしだった。

アリスは、悪魔たちの愛情に苦しんでいた。自由を奪われ、常に監視され、彼らの歪んだ愛情に溺れていた。彼女は、契約したことを後悔していた。

ある日、アリスは自分の鏡像を見て、初めて自分の魂の不自然さに気づいた。それは、悪魔の魔力によって作られた、偽りの美しさだった。

自分の姿に絶望したアリスは、悪魔たちに反旗を翻そうとした。しかし、悪魔たちの力は圧倒的で、アリスはあっけなく捕らえられた。

「逃げるつもりだったのか?」

ルシファーの冷たい声が響き渡る。

「もう…嫌だ…」

アリスは、涙を流しながら呟いた。悪魔たちの愛情は、彼女にとって牢獄だった。

五人の悪魔は、アリスを囲み、それぞれが自分の愛情をアリスに押し付けた。アリスは、彼らの愛情に翻弄され、永遠に彼らの支配下に置かれる運命にあった。

アリスは、この世で一番哀れな主だった。50年間、悪魔との契約を守り、望んだ人生を手に入れたはずなのに、彼女は本当の幸せを知らずにいた。彼女の望んだ人生は、悪魔たちの歪んだ愛情に囚われた、永遠の監獄だったのだ。
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