異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

文字の大きさ
194 / 753

碧眼の輪廻

しおりを挟む
夕焼けが、荒野を血のように染めていた。レオは、膝をつき、息も絶え絶えだった。目の前には、巨大な影が伸びていた。それは、翼を広げると空を覆い尽くすほどの、漆黒の竜だった。

レオは、竜の鱗に反射する夕焼けを見て、自分の命が尽きること、そして、愛するリリアを失うことを悟った。リリア、彼女の碧眼は、今この瞬間も彼の脳裏に焼き付いていた。あの澄んだ碧色は、彼にとって、この荒涼とした世界で唯一の希望だった。

出会いは、偶然だった。彼は、辺境の村で、怪我をして倒れていたリリアを助けた。彼女は、奇妙な魔力を持つ、人外の一族だった。彼女の耳は尖り、髪は銀色に輝き、瞳は、忘れられないほどの美しい碧色をしていた。

リリアは、彼に恋をした。そして、レオも、彼女の純粋で強い心に惹かれた。彼らは、互いに支え合い、この厳しい世界を生き抜こうとした。しかし、彼らの幸せは、長くは続かなかった。

リリアの故郷、人外の隠れ里は、竜に襲われた。それは、古の呪縛によって、定期的に起こる悲劇だった。リリアの族長である父は、竜を倒すために、命を懸けた儀式を行ったが、失敗した。竜は、里を焼き払い、人々を殺戮した。

レオは、リリアを必死に守ろうとした。しかし、竜の力は、彼には到底敵うものではなかった。彼は、必死に逃げ、リリアを隠れ場所に隠した。そして、竜の怒りを一身に受け止め、戦い続けた。

彼の魔法は、未熟だった。それでも、彼は、リリアへの愛を力に変え、戦い続けた。しかし、彼の力は、竜の圧倒的な力の前では、無力だった。彼は、何度も倒れ、何度も立ち上がった。

彼の体は、傷だらけだった。それでも、彼は、リリアのいる隠れ場所を守り続けた。彼は、竜に、リリアを殺させまいと、必死に抵抗した。

ついに、レオは、力尽きた。竜の巨大な爪が、彼の胸を貫いた。彼は、リリアのことを思い浮かべながら、息を引き取った。

隠れ場所から、リリアの悲痛な叫び声が聞こえた。レオは、彼女の悲しみに胸を締め付けられた。彼は、彼女を、守ることができなかった。

彼は、後悔した。もっと強くなっていれば、もっと魔法を磨いていれば、リリアを守ることができたかもしれない。彼は、自分の弱さを呪った。

しかし、彼は、同時に、リリアへの愛に感謝した。あの出会いがなければ、彼は、こんなにも強く、生きようという気持ちを持つことはなかっただろう。

リリアの悲鳴は、遠くまで響き渡った。夕焼けは、さらに深く、血のように赤くなった。レオの意識は、薄れていく。彼は、リリアの碧眼を、最後の瞬間まで、心に焼き付けていた。

それから数十年後、その荒野には、小さな墓標が一つだけ残されていた。そこには、レオの名前と、小さな花が供えられていた。

その花は、リリアが、レオの墓に毎年訪れて、植えていったものだった。彼女は、レオを失った悲しみを胸に、一人で生き続けていた。彼女は、レオの愛を胸に、彼の仇である竜と戦い続け、いつか、彼を殺すことを誓っていた。

しかし、竜は、不死身だった。彼女は、永遠に、復讐を続ける運命にあった。レオへの愛と、竜への憎しみだけが、彼女の生きる糧だった。碧眼の少女は、永遠に、輪廻の輪の中をさまようことになる。それは、メリーバッドエンドの物語だった。


そして、遠い未来。新たな青年が、その荒野で、倒れている少女を見つける。少女の碧眼は、驚くほどに、リリアの眼と似ていた。それは、新たな輪廻の始まりを告げる、不吉な予兆だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

タイム連打ってなんだよ(困惑)

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」  王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。  パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。  アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。 「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」  目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?    ※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。 『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。

最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました

チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。 完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。 【捕食】 それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。 ゴブリンを食べれば腕力を獲得。 魔物を食べれば新スキルを習得。 レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。 森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。 やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。 これは―― 最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...