異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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破棄婚約の代償は、私の全力で。

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雨は窓を叩きつけるように降り注ぎ、街の灯りをぼやけさせていた。部屋の中は、雨音と私のすすり泣きだけが響いていた。婚約破棄。あの高慢なエドワード・ベルモンテから、あっさり、簡単に、告げられた。

エドワードは、ベルモンテ家の跡取り息子。金持ちで、イケメンで、完璧な王子様。少なくとも、世間ではそう言われていた。私は、そんな彼と婚約していた。いや、していたのだ。過去形だ。

きっかけは、彼の新しい恋人、レイチェル・ドレイパーの出現。レイチェルは、エドワード以上に金持ちの令嬢。美貌も申し分なく、社交界で人気者だった。私なんか、比べ物にならない。

「申し訳ないが、レイチェルの方が、僕にとってふさわしいんだ」

エドワードは、そう言って、淡々と婚約指輪を私の指から外した。その冷たさは、雨よりもずっと冷たかった。あの時、私は何も言えなかった。ただ、涙を流すことしかできなかった。

しかし、今、私は違う。すすり泣きはもう終わりだ。あんな男に、あんな簡単に負けるわけにはいかない。

私は、エドワードへの復讐を誓った。もちろん、暴力的な復讐ではない。もっと、もっと、彼にとって、想像を絶する、痛快な復讐を。

まず、私は自分の能力を見つめ直した。私は、特に得意なことはなかった。料理も苦手だし、裁縫も下手。社交ダンスは、足をくじいたことがあるくらいだ。でも、一つだけ、自信があった。それは、私の「全力」だ。

私は、今まで、エドワードに振り回されるように生きてきた。彼の言いなりになり、彼の好みに合わせて、自分を偽ってきた。でも、もう、そんなことはしない。

私は、自分の「全力」で、エドワードに、そして、レイチェルに、そして、私を見下していた全ての人間に見せてやる。私が、どんな人間なのかを。

まず、私は、エドワードが経営するベルモンテ社の競合会社に就職した。エドワードは、私の就職を笑っただろう。しかし、私は、そこで、自分の「全力」を注いだ。

私は、徹夜で仕事をし、休日は勉強に費やし、誰よりも早く出社し、誰よりも遅く退社した。最初は、ミスばかりで、上司に怒鳴られたり、同僚に陰口を叩かれたりもした。でも、私はめげなかった。

私は、自分の「全力」で、仕事に取り組んだ。そして、徐々に成果が出始めた。難しい案件を次々と解決し、新規顧客を獲得し、売上を伸ばした。

私の活躍は、社内だけでなく、業界全体に知れ渡った。エドワードも、私のことを知っていたはずだ。私の「全力」を。

そして、一年後。ベルモンテ社と私の会社は、大きな取引をすることになった。相手は、エドワード本人だった。

会議室で、エドワードと対面した。彼は、私を見て、驚きを隠せない様子だった。以前の、頼りない私とは、まるで別人だった。

「まさか、君が…。」

彼は、言葉を探しているようだった。私は、淡々と、取引条件を提示した。彼の予想をはるかに超える、有利な条件だった。

彼は、私の「全力」を目の当たりにして、初めて、私の存在を認めたのだと思う。彼は、悔しそうに、そして、少しだけ、羨ましそうに、私を見ていた。

取引は無事に成立し、私は、会社の昇進も決まった。エドワードへの復讐は、まだ終わりではない。しかし、私は、すでに、彼に勝ったのだ。

雨は、いつの間にか止んでいた。窓の外には、美しい虹がかかっていた。私は、窓辺に立ち、深呼吸をした。

もう、誰にも、私の「全力」を否定させない。私は、私自身の力で、人生を切り開いていく。エドワード、そして、私を見下していた全ての人間への、最高の「ざまぁ」だ。

あの日、婚約破棄された時、私はただ泣いていた。しかし、今、私は笑っている。私の「全力」が、私を、ここまで連れてきてくれたのだ。そして、これからも、私を、どこまでも連れていってくれるだろう。  私の未来は、私自身の「全力」で、彩られていく。
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