異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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黒猫公爵と図書館の冒険

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レオは、ふさふさの黒猫の獣人だった。正確には、黒猫公爵家の次期当主候補。公爵家とはいえ、レオは本を読むのが大好きで、剣術の練習より図書館にこもっている方がずっと楽しかった。  毛並みがつやつやで、大きな翡翠色の瞳がキラキラ輝いているレオは、見た目はいかにも「公爵家の御曹司」という感じだが、中身は生粋の本好き。

ある日、レオはいつものように王立図書館で過ごしていた。巨大な書庫は、まるで魔法の迷宮のよう。レオは、古びた羊皮紙の巻物に夢中になっていた。すると、ページの端から、小さな、しかし確実に何かが動いているのが見えた。

「なんだ?」

レオは、老眼鏡をかけたような顔で巻物をじっと見つめた。すると、巻物から小さな妖精が飛び出した。翅は透き通るほど美しく、体はほんの指先ほどしかない。

「助けてください!」

妖精は、震える声で言った。

「誰かに追われているの?」

レオは、妖精を優しく手に乗せた。妖精の体は、まるで羽根のように軽かった。

「はい… 邪悪な魔法使いに…」

妖精は、涙を流しながら説明を始めた。魔法使いは、古代の魔法の書を手に入れようとしていて、その書が王立図書館にあるというのだ。その魔法の書を使えば、世界を支配できると魔法使いは考えているらしい。

「そんな…!」

レオは、自分の本好きの趣味が、まさかこんな大事件に巻き込まれるとは想像もしていなかった。しかし、妖精を助けるのは、レオの正義感に火をつけた。レオは、公爵家の次期当主候補として、そして何より本好きとして、この危機を乗り越えなければならないと感じた。

レオは、図書館の衛士であるバルドに相談した。バルドは、巨漢でいかつい顔をしているが、心優しい男だった。レオの話を聞いたバルドは、最初は半信半疑だったが、レオの真剣な眼差しを見て、協力することを決めた。

「魔法使いの隠れ家は、図書館の地下にあるらしいぞ」

バルドは、地図を示しながら言った。地図は、古くてかすれていて、場所を特定するのは難しかった。

「よし、行くぞ!」

レオとバルドは、図書館の地下へと降りていった。地下は、薄暗く、湿った空気が漂っていた。壁には、奇妙な模様が刻まれていた。

途中、魔法使いの手下であるゴブリンの集団と遭遇した。ゴブリンたちは、鋭い牙をむき出しにして襲ってきた。バルドは、大きな斧を振り回し、ゴブリンたちを次々と倒していった。レオは、咄嗟に書架から本を抜き出し、ゴブリンの頭に投げつけた。思いがけず、その本はゴブリンの頭を直撃し、気絶させた。

「意外に役に立つな、本が!」

レオは、少し得意げな顔をした。

そして、ついに魔法使いの隠れ家を発見した。そこには、魔法使いが、古代の魔法の書を手に持っていた。魔法使いは、レオたちを睨みつけた。

「邪魔をするとは…!」

魔法使いは、魔法の杖を振り上げた。しかし、レオは、予め図書館で調べていた魔法の呪文を唱えた。それは、妖精が教えてくれた、魔法使いの魔法を無効化する呪文だった。

魔法使いの魔法は、レオの呪文によって打ち消された。バルドは、隙をついて魔法使いを捕まえ、王宮の兵士に引き渡した。

事件は解決し、妖精は故郷へと帰っていった。レオは、バルドと図書館に戻り、いつものように本を読んでいた。

「あの…公爵様…」

バルドが、恐る恐る言った。

「なんだ?」

「あの… ゴブリンを倒した本… 返却期限は…?」

レオは、少し困った顔をした。それは、借りていた本だったのだ。


「…まあ、いいか。今度ちゃんと返却するよ」

レオは、にこりと笑った。  レオは、公爵家の次期当主として、そして本好きとして、これからも図書館を守り続けるだろう。そして、これからもたくさんの本を読み続けるだろう。  それは、レオにとって、最高の幸せだった。
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