異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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モブと女王のデコボコ婚

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コウ・ドナルテは、本当に目立たない男だった。下級貴族とはいえ男爵家の生まれなのに、領民たちと雑談をしたり、畑仕事を手伝ったり、村の祭りで酔っ払って歌を歌ったりと、まるで貴族ではないかのような振る舞いをする。そのため、村人たちはコウのことを「コウさん」と呼び、貴族であることを忘れてしまうほどだった。本人もそれを気にしておらず、むしろこの平凡な生活を気に入っていた。将来は、のんびりとした日々を送り、美味しいものを食べて、穏やかに暮らすことだけを考えていた。まさに「世界最強のモブ」とでも言うべき存在だった。

そんなある日、コウの日常は激変した。王宮から使者がやってきて、コウは王女アルディメディナに謁見するように命じられたのだ。アルディメディナ。その名は、大陸中の人々に知れ渡っていた。「史上最強の女王」と称される、美貌と知略を兼ね備えた、まさに伝説の女性。コウは、そんな彼女に会うことなど、想像もしていなかった。

謁見の場。煌びやかな王宮の中央に、輝くような美しさのアルディメディナが座っていた。コウは緊張のあまり、何を話せばいいのか分からず、ただ黙って頭を下げていた。すると、アルディメディナは、にこりと笑って言った。「あなた、面白いわね。うさちゃんって呼んでもいいかしら?」

コウは、その言葉の意味が理解できなかった。なぜ、自分が「うさちゃん」と呼ばれるのか?そして、アルディメディナは、なぜ自分を選んだのか?それは、後日判明した。アルディメディナは、コウの「モブ感」に惹かれたのだという。周囲に流されず、自分のペースで生きているコウの姿に、彼女は特別な魅力を感じたのだそうだ。

そして、驚くべきことに、アルディメディナはコウに結婚を申し込んだ。王女と男爵家の若者。身分違いの結婚は、国内外に大きな波紋を広げた。貴族たちは反対し、外国からは陰謀の噂が飛び交った。コウは、自分が巻き込まれた騒動の大きさに圧倒されそうになった。

しかし、アルディメディナはそんな反対をものともしなかった。彼女は、コウを「うさちゃん」と呼び、溺愛し、常にコウのそばにいた。王宮の生活は、コウにとって全く新しい世界だった。豪華な食事、きらびやかな衣装、そして、何よりもアルディメディナの愛情に包まれた日々は、コウにとって、まるで夢のようだった。

最初は戸惑っていたコウも、次第にアルディメディナへの愛情を育んでいった。アルディメディナは、強くて賢い女王でありながら、コウの前では甘えん坊で可愛らしい女性だった。コウは、そんな彼女のギャップに惹かれ、ますます彼女を愛するようになった。

しかし、平穏な日々は長くは続かなかった。隣国からの侵略、王宮内部の陰謀、そして、コウをターゲットにした暗殺計画。次々と襲いかかる困難に、コウは何度も挫けそうになった。しかし、アルディメディナの支え、そして、コウ自身の「モブ力」が、彼を救った。

コウの「モブ力」とは、目立たない存在でありながら、周囲の状況を的確に把握し、臨機応変な対応をする能力だった。彼は、貴族社会のしきたりや暗黙のルールには疎かったが、その分、自由で柔軟な発想を持っていた。その発想は、幾度となく窮地を脱する鍵となった。

ある時は、敵の策略を見抜いて、アルディメディナを救い、またある時は、領民たちの協力を得て、陰謀を阻止した。コウの活躍は、次第に国内外に知れ渡り、彼は「モブの英雄」と呼ばれるようになった。

最終的に、コウとアルディメディナは、全ての困難を乗り越え、幸せな結婚生活を送ることになった。コウは、立派な王配殿下として、アルディメディナを支え、国を導いた。そして、二人は、たくさんの子供たちに囲まれ、穏やかで幸せな日々を過ごした。

コウは、世界最強のモブから、世界を救った英雄になった。しかし、彼自身は、相変わらず「コウさん」として、領民たちと親しみを深め、平凡で幸せな日々を大切にしていた。  アルディメディナは、そんなコウをいつも優しく見守り、二人のデコボコな、しかし、かけがえのない愛を育んでいった。  そして、二人の物語は、これからも続いていく。
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