異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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悪役令嬢の逆襲、始まる

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ブラック企業「魔王サタン株式会社」で、毎日残業続きの生活を送っていた俺は、ある日突然、意識を失った。気がつくと、そこは緑豊かな森の中。耳を澄ませば、鳥のさえずりと、遠くから聞こえる獣の咆哮。まさか……異世界転生?

しかも、転生先は、俺が死ぬほどハマっていたゲーム「魔王討伐記」の世界だった。それも、ゲーム内で最も嫌われていた悪役令嬢、レベッカ・クロウリーの体で。

ゲームの知識は完璧だ。レベッカは、主人公、アルフレッド・グランツに最終的に殺される運命にある。しかも、その過程は凄惨で、拷問のような死を迎えるらしい。絶対に避けなければ!

まず、筋トレだ。ゲームでは魔法がメインだが、レベッカは魔法の才能が皆無。だったら、肉体で勝負するしかない。近場の森で毎日、木を蹴ったり、石を運んだり、ひたすら体を鍛えた。

最初は筋肉痛で悲鳴を上げたが、一週間もすれば、体が軽くなるのが分かった。二週間後には、以前とは比べ物にならないほど、パワーアップしていた。森の獣と遭遇しても、余裕で倒せるようになった。

ある日、森の中で巨大な熊に遭遇した。ゲームで見たことがある、凶暴な魔獣だ。普通なら逃げ出すところだが、俺はワクワクした。今まで鍛えた成果を試せる絶好の機会だ。

熊の鋭い爪と牙をかわしながら、俺は渾身の力でパンチを繰り出した。今までとは比べ物にならないパワーが、拳に宿っている。熊は悲鳴を上げ、地面に倒れた。

それからというもの、俺は森の最強のハンターとして知られるようになった。もちろん、表向きには秘密だ。レベッカは、世間からは弱くておっとりした令嬢として認識されている。そのギャップが、俺の隠密行動を助ける。

そんなある日、許嫁である、第一王子エドワードが、俺を訪ねてきた。ゲームでは、レベッカを道具のように扱い、最終的には主人公側に寝返る男だ。

「レベッカ、相変わらず弱そうだね。このままでは、婚約破棄も視野に入れなければならない」

エドワードは、いつもの高圧的な態度で言った。だが、彼の目には、俺の鍛え上げた肉体をみたときの驚きと、かすかな恐怖が混ざっていた。

俺は、にこりと笑って言った。「王子様、婚約破棄はご遠慮ください。私は、これからはあなたを支えるだけの力があります」

エドワードは、俺の言葉に目を丸くした。それからというもの、エドワードの態度は一変した。俺が森で魔獣を退治した話を聞きつけ、俺を尊敬するようになったのだ。

ゲームでは、エドワードはレベッカを虐げ、主人公に情報を提供する重要な役割を担っていた。しかし、今の彼は、俺の力に畏怖を感じている。

俺の目的は、主人公に殺される運命を避けること。そのためには、力をつけるだけでなく、周囲の状況も変えていく必要がある。

それからというもの、俺は様々な冒険に出かけ、数々の魔物や強敵を倒していった。その噂は国中に広がり、俺は「影の英雄」と呼ばれるようになった。

もちろん、正体は隠したままだ。レベッカは、おっとりとした令嬢のままでいる。だが、その裏では、最強の戦士として、この国を守っている。

そして、ついに、主人公アルフレッドが、この国に現れた。ゲームでは、圧倒的な強さで魔王を倒すアルフレッドだが、今の俺は、彼に匹敵するほどの力を持っている。

アルフレッドは、レベッカに近づいてきた。だが、彼の目に、以前のような高慢さはなかった。俺の影の英雄としての噂を、彼はすでに知っていたのだ。

アルフレッドは、俺に敬意を払い、協力関係を築こうとした。ゲームのシナリオとは、全く異なる展開だ。

俺は、ゲームの知識を活かしつつ、自分の力で未来を切り開いていく。悪役令嬢の運命を覆し、幸せな人生を手に入れるために。これは、俺の逆襲の始まりに過ぎない。

そして、俺は気付いた。この異世界で、本当の幸せを掴むことができたと。  かつてのブラック企業生活とは比べ物にならない、充実した日々を過ごせるようになったのだ。  魔王サタン株式会社の社畜生活は、遠い過去の出来事のように感じられた。  俺は、今、この世界で、最強の悪役令嬢として、幸せに生きている。
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