異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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五百年の鍛錬、そして木刀。

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白黒山水(しろくろさんすい)は、日本のごく普通の大学生だった。いや、普通どころか、かなり地味な大学生だった。趣味は読書で、特技は…特技と言えるものがないのが正直なところだ。そんな彼が、神様のちょっとしたミスで死んでしまった。

「おいおい、マジかよ…」

気が付くと、そこは緑が生い茂る、見たこともない森だった。神様は謝罪代わりに、異世界で最強になるための紹介状をくれた。紹介状には、とある仙人の名前が書かれていた。

その仙人、名は「梅干仙人」と名乗る、いかにも仙人らしい風貌の…いや、風貌は仙人らしいのだが、妙に気さくで、ちょっとだらしない仙人だった。五百年間、梅干仙人について修行をした。修行内容はというと、ひたすら木を切る、水を汲む、雑草を抜く…といった、地味な作業の繰り返しだった。

「五百年間、これの繰り返しだよ。でも、これが一番の修行なんだよ!」

梅干仙人はいつもそう言って、山水に笑顔を向けた。山水は、最初は「は?」と思ったが、五百年間も修行を続けているうちに、その意味が少しずつ理解できるようになった。地味な作業の中に、想像をはるかに超える奥深さがあったのだ。

五百年間、ひたすら地味な修行を積んだ山水は、世間一般の基準では「最強」と言えるレベルに達していた。仙術も使えるし、身体能力も尋常じゃない。だけど、技は地味だし、服装も地味、そして何より彼がいつも持っているのは、何の変哲もない木刀だった。

そんなある日、修行地の近くで、山水は一人の赤ちゃんを拾った。小さな女の子で、泣きながら地面にうずくまっていた。山水は、彼女を拾い上げ、優しく抱き上げた。

「…名前は、桃太郎(ももたろう)って言うことにするかな」

山水は、桃太郎と名付けた赤ちゃんを育てることにした。桃太郎は、山水の地味な生活に、小さな彩りを加えてくれた。

それから数年後、桃太郎は元気いっぱいの少女に成長した。ある日、桃太郎は山賊に襲われた。山賊は、村を襲って金品を奪おうとしていたのだ。

「待って!やめて!」

桃太郎は必死に抵抗するが、山賊に捕まってしまう。山水は、桃太郎を救うため、初めて真剣勝負に出ることにした。

「…これは、俺の初めての戦いだな」

山水は、何の変哲もない木刀を手に、山賊の群れに立ち向かった。彼の動きは、まるで自然の一部のように滑らかで、そして速かった。木刀は、山賊たちの武器を軽々と弾き飛ばし、一瞬のうちに山賊たちを倒した。

その戦いぶりは、まるで伝説の剣聖のようだ。しかし、山水はただ淡々と、山賊たちを倒していった。彼の顔には、特別な感情は一切なかった。ただ、桃太郎を守るという使命感だけがあった。

山賊を倒した後、山水は桃太郎を抱き上げ、優しく頭を撫でた。

「大丈夫だよ、桃太郎。もう怖くないよ」

桃太郎は、山水の温かい胸に抱かれ、安心したように眠りについた。

それからというもの、山水と桃太郎は、様々な冒険を経験するようになった。最強の力を持ちながら、山水は決して驕ることなく、いつも地味で、そして優しく、桃太郎を守り続けた。彼の戦い方は、派手さはないけれど、確実に敵を倒す、最強の剣聖の戦い方だった。

彼の傍らには、いつも何の変哲もない木刀があった。五百年間の鍛錬の成果が詰まった、最強の武器が。そして、その木刀と共に、山水の異世界冒険は続いていくのだった。
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