異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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王太子殿下の許嫁は、元兄貴です

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十二歳の誕生日、僕は死んだ。

スモーランド公爵家の長男、リヒト・フォン・スモーランドとして。

妹の、エリーゼを庇って。

闇に潜む影が、刃を振り下ろした。エリーゼは無事だったけれど、僕は、闇に飲まれた。

しかし、それからしばらくして、僕は目を覚ました。

自分がエリーゼの体の中にいることに気づいたのは、鏡を見た時だった。

見慣れない、可愛らしい顔。  金色の髪、青い瞳。  それは、間違いなく、妹の顔だった。

混乱も束の間、記憶が蘇った。エリーゼは、生まれつき病弱だった。長くは生きられないと医者に宣告されていた。

そのことを知っていたエリーゼは、僕の最期の瞬間に、私に囁いたんだ。

「お兄様… 私が… お兄様の代わりに… 生きさせて…」

エリーゼの願い、そして、僕の魂は、妹の体へと宿ったのだった。

それから数年。

僕は、エリーゼとして、公爵家の令嬢として、優雅な日々を送っていた。

しかし、ある日、衝撃の事実が明らかになった。

幼なじみで、スモーランド王国の皇太子、ギルバートが、僕、いや、エリーゼに婚約を申し込んできたのだ。

ギルバートは、僕の正体を知っていた。

「エリーゼ… いや、リヒト。ずっと、君がエリーゼだと気づいていたんだ」

ギルバートは、静かに、しかし、力強く言った。

彼の瞳には、優しさだけでなく、何か複雑な感情が渦巻いていた。

冗談じゃない。僕は男だ。男が、女の姿で、婚約なんてできるわけがない。

「絶対に嫌だ!婚約なんてしない!」

僕は叫んだ。しかし、ギルバートは動じない。

「婚約は、すでに手続きが済んでいる。王室の決定だ」

なんと、ギルバートは、僕の正体を知りながら、密かに婚約を進めていたらしい。

「なぜ…?」

「君の幸せのためだ。そして、スモーランド家のために」

ギルバートの言葉は、どこか冷たく、そして、切ない。

その日から、僕の奇妙な日々が始まった。

皇太子妃として、華やかな社交界に身を置く日々。

美しいドレスを着て、優雅な振る舞いをする。

しかし、心は、男のままだ。

そして、ギルバートだけではない。

隣国の皇太子たちも、僕に惹かれ始めた。

優雅で、美しく、そして、少し気まぐれな「エリーゼ」に。

彼らは皆、僕の正体を知らず、僕を「エリーゼ」として愛している。

その愛は、僕を惑わせる。

男の心を持つ少女として、様々な感情が交錯する。

ギルバートの優しさ、他の皇太子たちの熱烈な求愛。

そして、本当のエリーゼとして生きていた時間、そして、失われた兄としての記憶。

僕は、この状況に翻弄されながらも、少しずつ、自分自身を受け入れ始めていた。

ある夜、ギルバートは僕に言った。

「リヒト… 君が男であることは、知っている。それでも、君を愛している」

彼の言葉は、僕の心を揺さぶった。

男として、女として、そして、エリーゼとして。

僕は、複雑な感情を抱えながらも、彼と、そして、他の皇太子たちとの間で、揺れ動く。

これは、決して簡単な恋ではない。

男の心を持つ少女、そして、彼女を愛する者たち。

この物語は、これから始まる。

王室の陰謀、隣国の策略、そして、それぞれの思惑が絡み合い、僕の運命は、ますます複雑になっていく。

だが、僕は、この状況を、楽しんでいる自分がいるのも事実だった。

だって、これは、僕の人生で一番、面白い物語だから。

そして、この物語の結末は、まだ、誰にもわからない。
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