異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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モリーのブルーグレー

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私は魔女のモリー。ブルーグレーの髪色がちょっとした自慢で、普通の、まあ普通の大人女子です。猫を飼ってて、週末はよく近所の公園でスケッチしたり、ハーブティーを淹れて読書したり。ごく普通の、幸せな毎日を送ってます。

ところで、ちょっとだけ秘密があるんです。私は前世と前々世の記憶があるんです。前々世は、なんとドラゴンだったらしいんですよ。巨大で、炎を吐いて、空を自由に飛んで。今考えると、ちょっと信じられないんですけどね。前世的は日本の会社員、営業部でバリバリ働いてました。残業は当たり前、休日出勤もザラ。あの頃のストレスは、今となってはいい思い出です。

そして、今の私。魔女のモリー。まあ、魔女と言っても大した魔法は使えません。せいぜい、ハーブティーを美味しく淹れたり、ちょっとした予知夢を見たり、ぐらいです。でも、このブルーグレーの髪は、多分ドラゴン時代の名残でしょう。普通の魔女さんには、こんな色、いないですからね。

そんな私の、ちょっと変わった人生に、グレンがいます。幼馴染で、いつも私を心配してくれて、そして、いつも泣いてる。彼には、私の秘密は知られていません。知られたら、きっともっと泣くでしょう。

グレンは、すごく真面目なんです。真面目すぎて、融通が利かないというか、堅苦しいというか。仕事も真面目にこなし、趣味も真面目に取り組み、恋愛も真面目に… うまくいかないんです。いつも、何かがうまくいかない。

ある日、グレンが泣きながら私の家に飛び込んできました。「モリー!会社をクビになったんだ!」と。原因は、上司とのちょっとした意見の食い違い。グレンの真面目さが、逆に仇になったようです。

私は、グレンを落ち着かせようと、ハーブティーを淹れました。彼が落ち着いてきたところで、彼の肩をポンと叩きました。「グレン、前世の記憶、ある?」と。

彼は、驚いて私の顔を見つめました。「え?何言ってるの?モリー、風邪でも引いた?」

「冗談だよ。でもさ、もしかしたら、君の真面目さが、前世からの影響かもしれないよ。もしかしたら、君は前世、すごく厳しい世界で生きてたのかもね」と、私は冗談めかして言いました。

すると、グレンは、私の言葉を真剣に受け止め始めました。「もしかして… 僕は、前世、戦士だったのかな…」と、彼は呟きました。

それからというもの、グレンは変わりました。会社をクビになったショックから立ち直るどころか、妙に前向きになったのです。彼は、以前は真面目に仕事に取り組んでいたのですが、今は、自分のペースで、好きなことを選んで仕事をするようになりました。もちろん、お金は少なくなりましたが、彼は幸せそうでした。

ある日、グレンが嬉しそうに私に話しかけてきました。「モリー!僕は、小さな工房で木彫りを始めることにしたんだ!自分のペースで、好きなものを彫れるって、最高だよ!」

彼の言葉には、かつての真面目さとは違う、穏やかで自由な空気が流れていました。まるで、前世の記憶が、彼を解き放ったかのようでした。

私は、彼の変化を不思議に思いつつ、嬉しく思いました。私の少し変わった人生が、彼の未来を変えた。それは、私にとって、大きな喜びでした。

それから数年後、私は、グレンが作った木彫りの小さなドラゴンをプレゼントされました。ブルーグレーの、とても美しいドラゴンでした。そのドラゴンを見ていると、前々世の私、そして、今の私、そして、グレンの未来が、不思議な繋がりで結ばれている気がしました。

矮小な人間と言われる私たちですが、それぞれの過去と未来を背負って、それでも、私たちは幸せに生きています。そして、きっと、これからも、幸せは続いていくでしょう。だって、私達には、お互いがいるんですから。
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