異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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黒薔薇の反逆

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真紅の夕日が、古城の尖塔を染めていた。窓辺に立つのは、エミリア。金色の髪が、燃えるような夕日に輝いている。彼女は、この世界に転生した。それも、乙女ゲーム「黒薔薇の反逆」の世界に。

ゲームでは、悪役令嬢として描かれていた彼女だが、実際は、ただのおっとりとした男爵令嬢だった。ゲームのシナリオ通り、イケメン王子様たちから次々と好意を寄せられ、婚約者候補として騒がれた。そして、ゲームの結末通り、全員と結ばれる「逆ハーレムエンド」を迎えた。

ところが、それからが問題だった。

「エミリア、今日は私の作ったケーキ、食べてくれるかな?」と、王子様の一人、アルフレッドが、大量のケーキを抱えて現れた。アルフレッドは、お菓子作りの腕前がプロ級で有名。毎日、山のようなケーキがエミリアの前に現れる。

「それから、エミリア、これは君に贈る宝石だよ」と、別の王子様、ギルバートが、巨大な宝石箱を差し出した。ギルバートは、大富豪。毎日、宝石や豪華なプレゼントが送られてくる。

「エミリア、今日は一緒に狩りにいかないか?」と、また別の王子様、レオは、巨大な熊の剥製を肩に担いでいた。レオは、武闘派王子。毎日、獲物を山ほど持って帰ってくる。

彼らは、エミリアを愛し、尽くす。しかし、その愛情表現は、エミリアを圧倒するほど過剰だった。ケーキは山積みになり、宝石は部屋中に溢れ、獲物は城の倉庫を埋め尽くす勢いだ。

エミリアは、毎日、ケーキを食べ、宝石を眺め、獲物を処理することに追われる毎日を送っていた。最初は楽しかった。でも、次第に、息苦しくなった。

「もう、ケーキはいいよ…」と、エミリアはため息をついた。

「何だって!? 僕が作ったケーキが嫌だって言うのか!?」アルフレッドは、悲しみに暮れる。

「宝石は…もういらない…」エミリアは、宝石箱の山を指差した。

「そんな…僕の贈り物を受け取ってくれないのか!?」ギルバートは、絶望の淵に突き落とされたようにうなだれた。

「狩りも…ちょっと疲れた…」エミリアは、レオの肩に担がれた巨大な鹿を見て、げんなりした。

「エミリアが疲れているなんて…許せない!」レオは、拳を握り締めた。

エミリアは、気づいた。これは、ゲームの「逆ハーレムエンド」ではない。これは、過剰な愛情による「逆ハーレム地獄」だった。

彼女は、ある作戦を思いついた。それは、王子様たちを「友達」にすることだった。

まず、エミリアは、アルフレッドに「一緒にケーキを焼こう!」と提案した。アルフレッドは、最初は戸惑ったが、エミリアと一緒なら、と喜んで承諾した。二人は、楽しくケーキを焼き、仲良くなった。

次に、エミリアは、ギルバートに「宝石の整理を手伝って!」と頼んだ。ギルバートは、最初は驚いたが、エミリアと一緒なら、と喜んで承諾した。二人は、宝石を整理し、博物館に寄付することにした。

そして、エミリアは、レオに「一緒に料理教室に行こう!」と誘った。レオは、最初は渋ったが、エミリアと一緒なら、と承諾した。二人は、料理教室に通い、料理の腕を磨いた。

こうして、王子様たちは、恋人ではなく、友達になった。ケーキは、みんなで一緒に食べるようになった。宝石は、みんなのために使われるようになった。獲物は、城の住民と分かち合うようになった。

エミリアは、穏やかな日々を送るようになった。彼女は、ゲームのシナリオを書き換えたのだ。逆ハーレムエンドの先は、友達と過ごす幸せな日常だった。

そして、ある日、エミリアは、自分の本当の幸せを見つけに、城を出て旅に出た。王子様たちは、彼女を笑顔で見送った。友達として。

夕日が沈み、夜空には満月が輝いていた。エミリアは、自由な風を感じながら、新しい未来へと歩みを進めていった。彼女の冒険は、まだ始まったばかりだった。
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