異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

文字の大きさ
589 / 753

ログインアウトの冒険

しおりを挟む
真夜中。時計の針は12時を指していた。部屋は、ゲームの光で照らされている。

俺は、ゲーム「アヴァロン・オンライン」にログインしていた。アヴァロンは、超人気MMORPG。俺は、ゲーム内では「最強の勇者」と呼ばれ、みんなにチヤホヤされる陽キャだった。でも、現実の俺は…全然違う。

学校では、いつも陰でコソコソしてる地味な奴。友達もほとんどいない。話しかけられても、緊張してうまく返事できない。そんな現実から逃げるように、俺は毎日アヴァロンの世界にログインしていた。

今日も、いつものように最強の勇者として、ダンジョンを攻略していた。レベル99、最強の装備、最強のスキル。どんな敵も、一瞬で倒せる。ゲームの中なら、俺は最強だ。

突然、画面が白く光った。そして、耳をつんざくような音が響いた。

「システムエラー…システムダウン…再起動…できません…」

ゲームが強制終了したわけじゃない。なんか…違う。画面が消えた後も、耳鳴りが止まらない。

そして、気が付くと…俺は、知らない場所にいた。

そこは、緑豊かな森だった。空は、見慣れない星が輝いている。木々は、現実にはないような不思議な形をしている。

「ここは…どこだ?」

俺は、声を上げた。自分の声は、いつもの声より少し高かった。

辺りを見回すと、さっきまでプレイしていたゲームのアヴァロンとそっくりな景色が広がっていた。

「まさか…アヴァロンに…転移した…?」

心臓がドキドキした。ゲームの世界に、本当に来てしまったんだ。

しばらく歩くと、小さな村に出た。村人は、ゲームのアヴァロンに出てくるキャラクターにそっくりだった。

「ようこそ、冒険者様!」

村長らしき男が、笑顔で話しかけてきた。

「冒険者…?」

俺は、思わず呟いた。現実では、冒険なんてしたことないのに。

村長は、俺に簡単なクエストをくれた。村の近くの森で、モンスターを退治する仕事だ。

最初は戸惑ったけど、ゲームで培った経験が役に立った。剣を振るい、魔法を放ち、モンスターを次々と倒していく。

ゲームと現実の区別がつかなくなってきた。

日が暮れ、村に戻ると、村人たちは俺を英雄のように歓迎してくれた。

「最強の勇者様、ありがとうございます!」

「おかげで、村は助かりました!」

現実では味わえない、この歓迎ぶりに、俺は感動した。

でも、心のどこかで、不安を感じていた。

いつまで、この世界にいられるんだろう?

いつ、現実の世界に戻れるんだろう?

そして、この世界で、本当に俺は「最強」になれるのだろうか?

次の日も、次の日も、俺はクエストをこなした。村人たちは、俺を頼りにしている。

俺は、ゲームの中だけの勇者じゃなかった。

この世界では、本物の勇者にならなければいけない。

ゲームの知識と、現実の少しの勇気。それらを武器に、俺はアヴァロンの世界を冒険していく。

最初は戸惑っていたけど、だんだん慣れてきた。

この世界には、ゲームにはない危険もあった。

強いモンスターとの戦い。

人間同士の争い。

そして、ゲームにはない、本当の友情。

俺は、この世界で、たくさんの友達を作った。

ゲームの中とは違う、本当の仲間たち。

彼らは、俺を「最強の勇者」ではなく、「頼れる仲間」として、受け入れてくれた。

ある日、森の奥深くで、不思議な石を見つけた。

その石を手に取ると、脳裏に記憶が蘇ってきた。

それは、ゲーム開発者からのメッセージだった。

「選ばれた勇者よ、この世界を救え」

俺は、この世界を救うために、戦うことを決めた。

ゲームの中だけの勇者じゃなかった。

俺は、現実の勇者になる。

ログインアウトしたはずのゲームの世界で、俺は、本当の冒険を始めたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

タイム連打ってなんだよ(困惑)

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」  王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。  パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。  アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。 「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」  目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?    ※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。 『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。

最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました

チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。 完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。 【捕食】 それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。 ゴブリンを食べれば腕力を獲得。 魔物を食べれば新スキルを習得。 レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。 森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。 やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。 これは―― 最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...