異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

文字の大きさ
597 / 753

地雷付き異世界生活

しおりを挟む
夕焼け空の下、ぼくらは廃墟の城壁に腰掛けていた。風は冷たく、枯れ葉が足元を舞う。隣には、幼馴染みの葵と翔太。二人とも、この異世界に転移させられてから、ずいぶんとたくましくなった。

俺たちは、クラスメイト全員で、ある日突然、この世界に飛ばされたんだ。原因は、自称「悪い邪神じゃないよ!」って言う、妙に陽気な邪神様。彼は、転移させたお詫びにと、それぞれにスキルをくれた。

翔太は「超回復」。どんな傷も一瞬で治る、まさにチートスキル。葵は「幸運」。宝箱を簡単に開けられたり、モンスターに襲われなかったりする、これもかなり強力なスキル。

俺? 俺は「節約」。え? 弱すぎ? そう思った? でもね、この世界ではこれが意外に役に立つんだ。食料やアイテムを無駄なく使えるし、お金も貯まる。翔太や葵みたいに派手じゃないけど、地味に便利なんだ。

邪神様は、「この世界はゲームじゃない。チートなんてない」って最初に言ってた。翔太はそれを無視して、自分の超回復スキルで無双しようと躍起になっていた。最初はうまくいってた。強大なモンスターも一撃で倒し、最強の武器も手に入れた。

でも、それは長くは続かなかった。

ある日、翔太は、巨大な竜に襲われた。今までなら余裕で倒せた相手なのに、今回は違った。翔太は、竜の吐く炎で全身を焦がされ、超回復スキルを使っても、傷は癒えなかった。

「…効かない…」

翔太の絶望の声が、廃墟の城壁に響いた。竜の毒が、彼の体を蝕んでいたらしい。超回復スキルは、物理的な傷は治せるけど、毒には効果がないらしい。

俺たちは、必死に翔太を助けようとした。葵の幸運スキルで、奇跡的に解毒剤を見つけることができた。しかし、時すでに遅し。翔太は、息を引き取った。

彼の死は、俺たちに大きなショックを与えた。邪神様の言葉の意味を、ようやく理解した。この世界は、ゲームじゃない。どんなに強いスキルを持っていても、油断すれば死ぬ。

翔太の死後、俺たちは彼の分まで、堅実に生きていくことを決めた。派手さはないけれど、葵と二人で協力し、少しずつ生活を立て直した。

節約スキルのおかげで、食料には困らなかった。葵の幸運スキルのおかげで、危険を回避することもできた。俺たちは、冒険者ギルドに登録し、依頼を受けて小さな仕事をするようになった。

危険なモンスターとの戦闘は避け、罠や盗賊に注意しながら、小さな仕事でコツコツと稼いだ。時には、小さな村で農作業を手伝ったり、迷子の子供を探したり。

決して華やかな人生ではない。でも、二人で助け合い、笑い合い、穏やかな日々を送ることができた。

ある日、小さな村で、一人の老人が俺たちに話しかけてきた。

「君たち… 翔太という若者を知っているかね?」

老人は、翔太の遺品を見せながら、彼の生前の行いを語ってくれた。翔太は、自分のスキルを使って、多くの村人を助けていたらしい。彼は、無双を目指していたわけではなく、誰かのために力を使い、この世界に貢献しようとしていたのだ。

俺たちは、初めて翔太の死を、少しだけ受け入れることができた。彼は、間違いを犯した。でも、彼は悪意を持った人間ではなかった。彼の心は、純粋で強かった。

夕焼け空の下、葵と二人で、静かに翔太を偲んだ。

この世界での生活は、まだ続く。これからも、危険はたくさんあるだろう。でも、俺たちはもう恐れない。だって、ぼくらには、お互いがいるから。そして、翔太の記憶が、ぼくらを支えてくれる。

この世界は、ゲームじゃない。だからこそ、大切なのは、強さだけじゃない。友情、優しさ、そして、堅実さ。ぼくらは、それを胸に、これからも生きていく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

タイム連打ってなんだよ(困惑)

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」  王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。  パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。  アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。 「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」  目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?    ※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。 『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。

最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました

チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。 完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。 【捕食】 それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。 ゴブリンを食べれば腕力を獲得。 魔物を食べれば新スキルを習得。 レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。 森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。 やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。 これは―― 最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...