異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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花紋の刻印と、逃げるダイエット

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ぽっちゃりとしたお腹をさすりながら、鏡の中の自分にため息をついた。鏡に映る、私の顔には、見慣れない模様が浮かび上がっていた。鮮やかな紅色の花、まるで牡丹のような、豪華で美しい花紋だ。

これは…まさか。あの噂の、第二皇子、レオンハルト殿下との運命の伴侶を示す刻印?

数日前から、お腹に違和感を感じていた。最初は単なる便秘かな、と思っていたのだが、今朝起きたら、この見事な花紋がくっきりと浮かび上がっていたのだ。

噂では、この刻印は選ばれた女性にだけ現れるらしい。そして、刻印が現れた女性は、殿下に名乗り出なければならない。

…しかし、問題がある。

私は、かなりの大食い。運動は大嫌い。体重は…言いたくないけど、かなりヤバい。この体で、第二皇子に会うなんて、考えられない!

レオンハルト殿下は、国の未来を担う、イケメンで完璧な皇子様。そんな方と、この私…どう考えても釣り合わない。

「まず、ダイエットだ!」

私は決意した。このままじゃ、殿下に会うどころか、人前で歩くのも恥ずかしい。

まずは食事制限。大好きなラーメン、ピザ、ケーキ…全部禁止!代わりに、サラダとヨーグルトを食べることにした。最初は辛かった。空腹で頭がクラクラするし、甘いものが恋しくてたまらなかった。

でも、鏡の中の、少しずつ変化していく自分の姿を見るのが、励みになった。

次に運動。これも、かなり苦戦した。最初は、近所の公園をゆっくりと歩くことから始めた。息切れがして、すぐに疲れた。でも、毎日少しずつ距離を伸ばしていった。

最初は、5分歩くのが精一杯だったのが、一ヶ月後には、30分走れるようになった。

もちろん、リバウンドもあった。我慢できずに、こっそりお菓子を食べてしまったり、疲れて運動をサボったりした日もあった。でも、そんな時は、鏡の中の、美しい花紋を見て、自分を奮い立たせた。

あの花紋は、私だけのもの。殿下と出会うための、私の証なのだ。

ダイエットを始めて3ヶ月。体重は、ずいぶん減った。鏡の中の私は、以前とは別人だった。もちろん、まだぽっちゃり体型だけど、以前よりは、ずっと引き締まって見える。

そして、いよいよ殿下に会う準備を始めた。

まず、新しい服を買いに行った。今まで着ていた服は、どれもブカブカで、私の体型を隠すためのものであった。新しい服は、少しだけ体にフィットするもので、自分の体型を意識して選んだ。

そして、ヘアスタイルも変えた。いつも結っていた髪を下ろし、軽くウェーブをかけ、少し大人っぽい雰囲気にした。

鏡の中の自分に、初めて自信が持てた。

いよいよ、明日、宮殿へ行く。

ドキドキする胸を押さえながら、私は深呼吸をした。

宮殿へ向かう馬車の中で、私は、自分の変化を改めて実感した。

かつては、鏡を見るのが苦痛だった。しかし、今は違う。鏡の中の自分を見るのが、楽しみになった。

それは、ダイエットのおかげだけではない。

あの花紋、そして、殿下との運命。それらが、私をここまで変えてくれたのだ。

宮殿に着き、緊張しながら謁見の部屋へ入ると、そこには、想像以上に美しいレオンハルト殿下がいた。

噂通り、本当にイケメンだった。

殿下は、私の姿を見て、少し驚いた表情を見せた後、優しい笑顔で話しかけてきた。

「…あなたは、運命の伴侶、ですね」

彼の言葉が、私の胸にじんわりと染み渡った。

私は、自分の変化を誇りに思いながら、彼に、自分の名前と、ダイエットの苦労話を、少し照れながら話した。

殿下は、私の話を、温かい眼差しで聞いてくれた。

そして、彼は、私の手に優しく触れながら、静かに言った。

「あなたの、その努力と勇気、そして、この美しい花紋…全てが、私を魅了しました」

その瞬間、私は、全ての不安を忘れて、幸せな気持ちでいっぱいになった。

ダイエットは、ただ体重を落とすことだけじゃなかった。それは、私自身を輝かせるための、大切な旅だったのだ。そして、その旅の果てに、私は、運命の伴侶と出会えた。


あの花紋は、私の人生を変える、魔法の刻印だった。
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