異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

文字の大きさ
717 / 753

魔眼の王女と豚公子の秘密

しおりを挟む
六年前、まだ小さなパルマ王女は、村の端で飼われていた子豚とよく遊んでいた。その子豚、アグーは、ずんぐりむっくりした体格で、いつも「ぶひぶひ」と鳴いていた。パルマ王女は、その鳴き声を真似してアグーをからかうのが大好きだった。

それから六年。パルマ王女は王立アカデミアに入学した。そこは、王族や貴族の子女が集まる、華やかな学園だった。しかし、その学園には、パルマ王女にとって衝撃的な事実が待ち受けていた。

再会したアグーは、学園で「豚公子」と呼ばれ、誰からも嫌われている生徒になっていたのだ。彼の容姿は、以前と変わらず、ずんぐりむっくりとした体格で、顔も豚のように赤かった。しかも、いつも不機嫌そうな顔で、誰とも言葉を交わそうとしない。

パルマ王女は、アグーをからかったことを後悔した。しかし、同時に、不思議な魅力を感じた。なぜなら、パルマ王女には、他人の嘘を見抜く特殊能力「魔眼」があったからだ。

魔眼でアグーを見た時、パルマ王女は驚愕した。彼の本当の姿は、まるで絵に描いたような美青年だったのだ。輝く金髪、エメラルドグリーンの瞳、そしてすらりとした体格。それは、まるで理想の騎士のような容姿だった。

なぜ、アグーは豚のような姿をしているのか?パルマ王女は、その謎を解き明かしたいと思った。そして、アグーに近づくため、パルマ王女は四つの顔を使い分けることを決めた。

一つ目は、王女としての顔。王族の威厳を保ちながら、アグーにさりげなく近づき、情報を集める。二つ目は、侍女の顔。アグーの身の回りの世話をすることで、彼の信頼を得る。三つ目は、若旦那の顔。学園の噂話や情報を集め、アグーの秘密を探る。そして四つ目は、治療師の顔。アグーの怪我や病気を治すことで、彼と親しくなる。

侍女の顔でアグーに近づくパルマ王女は、彼の孤独を目の当たりにした。彼は、誰からも避けられ、常に一人だった。その悲しげな瞳に、パルマ王女は胸が締め付けられた。

若旦那の顔で学園の噂話を集めていると、アグーに関する驚くべき情報を得た。彼は、実は名家の出身で、何らかの理由で呪いをかけられたのだという。その呪いによって、豚のような姿になってしまったらしい。

治療師の顔でアグーを診察した時、パルマ王女は、彼の体に奇妙な魔法の痕跡を発見した。それは、解呪に必要な魔法の力だと直感した。

しかし、アグーに近づくにつれ、新たな問題が発生した。若旦那の顔でアグーに接している時、パルマ王女は誤解を生んでしまったのだ。周りの生徒たちは、パルマ王女とアグーが恋人関係にあると勘違いし始めた。

「王女殿下と豚公子…なんてロマンチックな!」

「あんな醜い豚と、王女が付き合うなんて信じられない!」

噂は学園中に広がり、大騒ぎになった。パルマ王女は、四つの顔を使い分けながら、アグーへの想いを隠しながら、この騒動を収拾しようと奔走する。

そしてついに、パルマ王女はアグーの呪いを解く方法を発見した。それは、古の魔法の儀式で、アグー自身の強い意志と、誰かの深い愛情が必要だった。

パルマ王女は、アグーに自分の気持ちを告白した。アグーは驚き、そして喜びで涙を流した。そして、二人で力を合わせ、魔法の儀式を行った。

儀式の後、アグーは元の美しい姿に戻った。そして、二人は恋人同士となり、幸せな日々を送った。学園中の人々は、アグーの本当の姿を知り、彼を温かく迎え入れた。

パルマ王女は、アグーとの出会いを機に、学園生活をさらに充実させていった。そして、アグーは、パルマ王女の支えとなり、共に未来に向かって歩んでいった。  六年前の小さな子豚との出会いは、想像もつかないほど大きな幸せに繋がったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

タイム連打ってなんだよ(困惑)

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」  王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。  パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。  アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。 「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」  目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?    ※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。 『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。

最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました

チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。 完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。 【捕食】 それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。 ゴブリンを食べれば腕力を獲得。 魔物を食べれば新スキルを習得。 レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。 森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。 やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。 これは―― 最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...