異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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デタラメ顔のモブ、学園を制覇する。

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39歳独身、職業フリーターの沢田雄介は、人生に絶望していた。毎日、カップラーメンをすすりながら、YouTubeで猫動画を眺めるのが日課。将来の展望?そんなもの、とっくに捨てていた。

ある日、彼がいつも見ていた恋愛シミュレーションゲーム「プリンセス・ハート」の最新作をプレイ中に、突如眩い光に包まれた。気が付くと、ゲームの世界に転生していたのだ。それも、名前もセリフもない、ただのモブキャラとして。

問題は、彼の容姿だった。

ゲームのキャラクリエイトで、酔っ払いが適当に作ったような顔。左右非対称の目、曲がった鼻、そして妙に大きく開いた口。ゲーム内でも「デタラメ顔」と揶揄されるレベルだった。

さらに、彼の口からは悪態ばかりが飛び出す。転生した直後から、「クソゲー!」「こんな顔でどうやって恋愛するんだよ!」と、周囲をドン引きさせる発言のオンパレード。

当然、ゲーム攻略なんておぼつかない。ヒロインに話しかけても、嫌悪感丸出しで無視される。イケメン主人公に近づこうものなら、即座に蹴り飛ばされる。これは、まさに「ハードモード」を通り越して「地獄モード」だった。

数ヶ月後。沢田は、ゲーム世界の学園生活に完全に適応…というか、諦めていた。

彼は、授業をサボって校庭で寝転がり、学食の残り物を漁り、誰ともまともに会話せず、ただ時間を浪費する日々を送っていた。

ある日、彼は、校庭の隅で一人、落ち込んでいる少女を見つけた。

その少女は、美少女というには程遠い、ややぽっちゃり体型で、いつもボロボロの服を着ていた。名前は、小鳥遊美咲。

沢田は、彼女に声をかけた。いや、正確には、悪態をついた。「おい、デブ。何落ち込んでんだよ?」

美咲は、驚きながらも、意外にも平静を保っていた。「…先生に怒られたんです…」

沢田は、彼女が落とした教科書を拾ってあげた。そして、何故か、自分が彼女を助けてあげたいと思った。

それは、もしかしたら、初めて感じた「誰かのためをしたい」という気持ちだったのかもしれない。

それから、沢田は美咲と行動を共にするようになった。美咲は、沢田のデタラメな言動に最初は驚いていたが、次第に彼の優しさに気づき始めた。

沢田は、美咲のために、ゲーム世界の知識を駆使して、彼女が苦手な数学の勉強を教えたり、美味しい(ゲーム世界の)食べ物を探してあげたりした。

美咲は、沢田の「デタラメ顔」を気にせず、彼の本質を見抜いていた。

そして、沢田は、自分でも気づかないうちに、少しずつ変わっていった。

悪態をつく回数は減り、笑顔を見せることも増えた。美咲と話すことで、彼は、現実世界では味わえなかった「友情」という感情を知った。

さらに、意外な展開が待っていた。

ゲーム内のイベントで、沢田は、主人公やヒロインたちを巻き込む大事件に巻き込まれることになった。

彼のデタラメな顔と、悪態、そして、予想外の行動が、事態を好転させるきっかけになったのだ。

沢田は、自分のデタラメな能力を活かし、事件を解決に導いた。

その結果、彼は学園で「奇跡のモブ」として有名になり、周囲からは尊敬のまなざしで見られるようになった。

転生した当初は、ただ時間を浪費していただけだった沢田が、今では学園で重要な存在になっていた。

もちろん、彼はイケメン主人公にはなれなかったし、ヒロインと恋愛をすることもなかった。

だが、彼は、このゲーム世界で、自分自身の居場所を見つけ、生きる意味を見つけたのだ。

そして、ある日、彼は、美咲に告白した。「…お前と友達でよかった」と。

美咲は、照れくさそうに微笑んだ。「…私もです」

39歳のデタラメ顔モブは、学園を制覇したのではない。

彼は、自分自身を制覇したのだ。そして、彼は、このゲーム世界で、本当の自分を見つけた。

現実世界に戻れる見込みはない。

だが、彼はもう、絶望していなかった。

彼は、生きていることを実感していた。
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