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帰還
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しおりを挟む魔力擬似融合武具の導入により、自衛隊の第一種探索者は精鋭化が進み、人数は約200人にまで拡充された。武具は槍や刀、タモ網といった伝統的装備に魔力刻印を融合させたもので、魔力を宿した攻撃力・防御力・機動性を格段に向上させている。補助的に魔力対応銃や魔力対応コンポジットボウも使われるが、主力は近接武器である。
その中でも以前から第一種に認定されていた10人は、経験と熟練度の差から、すでに50層を超え60層近くまで単独で探索できる力を持つ。中性子線や極端な魔力環境にも耐え、魔物と直接渡り合うことが可能だ。
民間の第一種探索者は現時点で10人ほど。彼らも擬似融合武具を装備することで一定の安全性と戦闘能力を得ているが、60層以降の探索はまだ困難であり、熟練者の指導や監督が必須である。
ダンジョンの最前線では、宇宙も50層付近で若手探索者の訓練やサポートにあたっており、各隊員の熟練度や魔力使用効率を確認しながら戦況を監視している。
太陽はまだ第一種には届かないが、家庭での魔力教育と30層までの訓練で、既に若干の戦闘センスを持ち、将来的にトップレベルの探索者となる素質を示している。
30層前後のダンジョン。巨大な石柱と複雑な地形が入り組む迷宮の中、精鋭自衛隊第一種探索者たちが慎重に進む。槍や刀には魔力刻印が流れ、武具そのものが光を帯びている。補助的に携えた魔力対応コンポジットボウも弓身が微かに振動し、魔力の流れを示している。
宇宙は先頭で進み、若手探索者の動きを観察。危険な魔力の集中域では指示を飛ばし、槍や刀の使い方を細かく助言する。「魔力は焦らず、武具の流れに同調させるんだ。焦ると攻撃が暴れる」
突然、暗闇の奥から巨大な魔物が飛び出す。鎧をまとった隊員たちは即座に隊形を整え、槍で突き、刀で斬りかかる。魔力刻印が武具を震わせ、攻撃と防御が同時に成立する。コンポジットボウから放たれる魔力矢は魔物の動きを一時的に封じる。
宇宙は冷静に指揮しつつ、戦況を確認する。「右翼、魔力流を一定に保ちながら突き上げろ。中央は一歩引いて魔力で補助、全体を覆うんだ」
若手探索者は最初は戸惑うが、宇宙の指示に従い、魔力と武具の連動を体感する。魔物を確実に制圧しつつ、被害を最小限に抑える動きが成立。短時間で周囲を制圧した後、探索隊は再び進路を整え、次の魔力濃度の高い区域に向かう。
この訓練と実戦を通じ、第一種探索者たちは武具と魔力の擬似融合による戦闘の理解を深め、各自の熟練度を確実に上げていく。宇宙は遠くから若手を見守り、必要に応じて魔力の流れを補助する。
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