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尽
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尽
近藤佑介
人間は、病んでる時に本物になれるんだと二十三年間生きてきて感じた。明るく楽しい日常を過ごしていては、人はみな、着飾ってしまうものだ。深く深く闇に落ちなければ、本性というものは到底理解することは出来ない。その本性がわかった時、人間は空を見上げることができるのだ。
一昨晩、私は高校の時の友人と再開した。再開したからと言って、それほど盛り上がる訳でもなく、ただお互いがお互いを気遣って話している感覚だった。高校卒業してから約五年間彼女に片思いをしていたせいか、彼女の地雷が多いように感じ、それが私を興奮から突き落とした。
「君は大学に入ってから彼女できたことあるの」
彼女は何を考えているか分からない顔で尋ねてきた。
「彼女かあ。一人だけかなあ。」
こんな感じに一問一答が続いた。盛り上がることもなく、かといって盛り上げようとすれば彼女の地雷に触れそうで、私は深く彼女へ質問をすることがなかった。
くだらない、誰とでも話せるような会話をダラダラと続け、結局始発まで公園でブランゴに座っていた。
彼女はやはり素敵な顔をしていた。人生でこんなにも引きずった恋なんて、今まで一度もなかった。今までの私と言ったら、色んな女性と関係を持ち、時にはキャバ嬢の紐になり、時には一日三人の女性を抱き、時には女性と喧嘩しギターを破壊されたりと、かなりだらしない女性関係を持ってきた。このことは勿論、彼女には言えない。色んな女性と関係を持つことで、彼女を忘れようとしてたからだ。しかし、私は忘れることが出来なかった。忘れようとしなかったのかもしれない。
いざ忘れようとしても彼女の素敵な顔が脳裏に過り、自分のものにしたい、と強く思っていた。
私はダメな男だ。相手からの好意がないと気づいた時点で忘れればいいものの、ダラダラと思い続け、遂には他人まで傷つけてしまうなんて。多くの女性を傷つけてしまったのだから、いつかは天罰が下ると薄々は気がついていた。だか、それが昨日だとは思わなかった。高校卒業以来、彼女のことを強く思い、そして結ばれたいと思っていた。しかしながら、久々に彼女と話してみると、自分が自分で無くなってしまうような感覚に陥ってしまった。高校を卒業してからの四年間、私は様々な人間に恵まれ、人格が変わってしまったようだ。彼女の話していることが全て幼稚に、そしてつまらないと感じてしまった。あの時は楽しかったのに。これを一言で成長した、と言い切っていいのか。逆に私は初々しさを忘れ、自分が進む道を正しいと思い、まるで悪魔のように成り下がってしまったのではないか。
こんなことを公園のブランコで考えながら、彼女の顔を見ていた。この子は一体何者なのだろう。結ばれないと分かっているのに、その美貌は執拗に私を蝕む。触れてはいけないと分かっているのに手を近づけようとしてしまう。薔薇。その言葉がピッタリだ。薔薇は、遠くから見るのが一番綺麗で素敵だと母に教えてもらったのを思い出した。その時悟った。私は彼女の心を知ることは人生を賭けても出来ないのだと。彼女の奥深くに眠るもの、私を蝕んでいるもの、それを知ることはもう出来ない。そしてこのように考えてしまう自分自身にも嫌気がさす。単に成長していただけでなく、悪魔のように他人を不幸にし、自己中心的な考えで世界を見ていたのだと。彼女が手に入らないと理解したことより、この事の方がよっぽど苦しい。
ただ私は自分を変えようとはしないつもりだ。これが自分だと、はっきりと理解したからだ。私はこの私のまま、地獄へと落ち、悪魔に天罰を加えてもらう。そうでもしてくれない限り、私は変われないのであろう。
朝の始発で公園で別れた後、苦し紛れに、
「今度散歩するとき誘っていいか」
と通知を送った。これが縁の切れ目だ、とわかっていたのにも関わらず、少し返信が来ることを期待してしまう自分がいる。神様、どうか早く私を地獄へと連れてって。そしたら人を傷つけることなく、そして私もこの綺麗な薔薇から開放されるのに。
こう思い、朝の空を見つめていた。
近藤佑介
人間は、病んでる時に本物になれるんだと二十三年間生きてきて感じた。明るく楽しい日常を過ごしていては、人はみな、着飾ってしまうものだ。深く深く闇に落ちなければ、本性というものは到底理解することは出来ない。その本性がわかった時、人間は空を見上げることができるのだ。
一昨晩、私は高校の時の友人と再開した。再開したからと言って、それほど盛り上がる訳でもなく、ただお互いがお互いを気遣って話している感覚だった。高校卒業してから約五年間彼女に片思いをしていたせいか、彼女の地雷が多いように感じ、それが私を興奮から突き落とした。
「君は大学に入ってから彼女できたことあるの」
彼女は何を考えているか分からない顔で尋ねてきた。
「彼女かあ。一人だけかなあ。」
こんな感じに一問一答が続いた。盛り上がることもなく、かといって盛り上げようとすれば彼女の地雷に触れそうで、私は深く彼女へ質問をすることがなかった。
くだらない、誰とでも話せるような会話をダラダラと続け、結局始発まで公園でブランゴに座っていた。
彼女はやはり素敵な顔をしていた。人生でこんなにも引きずった恋なんて、今まで一度もなかった。今までの私と言ったら、色んな女性と関係を持ち、時にはキャバ嬢の紐になり、時には一日三人の女性を抱き、時には女性と喧嘩しギターを破壊されたりと、かなりだらしない女性関係を持ってきた。このことは勿論、彼女には言えない。色んな女性と関係を持つことで、彼女を忘れようとしてたからだ。しかし、私は忘れることが出来なかった。忘れようとしなかったのかもしれない。
いざ忘れようとしても彼女の素敵な顔が脳裏に過り、自分のものにしたい、と強く思っていた。
私はダメな男だ。相手からの好意がないと気づいた時点で忘れればいいものの、ダラダラと思い続け、遂には他人まで傷つけてしまうなんて。多くの女性を傷つけてしまったのだから、いつかは天罰が下ると薄々は気がついていた。だか、それが昨日だとは思わなかった。高校卒業以来、彼女のことを強く思い、そして結ばれたいと思っていた。しかしながら、久々に彼女と話してみると、自分が自分で無くなってしまうような感覚に陥ってしまった。高校を卒業してからの四年間、私は様々な人間に恵まれ、人格が変わってしまったようだ。彼女の話していることが全て幼稚に、そしてつまらないと感じてしまった。あの時は楽しかったのに。これを一言で成長した、と言い切っていいのか。逆に私は初々しさを忘れ、自分が進む道を正しいと思い、まるで悪魔のように成り下がってしまったのではないか。
こんなことを公園のブランコで考えながら、彼女の顔を見ていた。この子は一体何者なのだろう。結ばれないと分かっているのに、その美貌は執拗に私を蝕む。触れてはいけないと分かっているのに手を近づけようとしてしまう。薔薇。その言葉がピッタリだ。薔薇は、遠くから見るのが一番綺麗で素敵だと母に教えてもらったのを思い出した。その時悟った。私は彼女の心を知ることは人生を賭けても出来ないのだと。彼女の奥深くに眠るもの、私を蝕んでいるもの、それを知ることはもう出来ない。そしてこのように考えてしまう自分自身にも嫌気がさす。単に成長していただけでなく、悪魔のように他人を不幸にし、自己中心的な考えで世界を見ていたのだと。彼女が手に入らないと理解したことより、この事の方がよっぽど苦しい。
ただ私は自分を変えようとはしないつもりだ。これが自分だと、はっきりと理解したからだ。私はこの私のまま、地獄へと落ち、悪魔に天罰を加えてもらう。そうでもしてくれない限り、私は変われないのであろう。
朝の始発で公園で別れた後、苦し紛れに、
「今度散歩するとき誘っていいか」
と通知を送った。これが縁の切れ目だ、とわかっていたのにも関わらず、少し返信が来ることを期待してしまう自分がいる。神様、どうか早く私を地獄へと連れてって。そしたら人を傷つけることなく、そして私もこの綺麗な薔薇から開放されるのに。
こう思い、朝の空を見つめていた。
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