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[普通じゃない]の意味
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茅秋は、楓に送る為の写真を取り続けていた。
気付けば年は明け、秋になり
明日には金木犀が咲くらしい
あれも見て欲しい、これも見て欲しい
撮る度にまだ会った事もない
楓を想う気持ちがどんどん膨らみ、
茅秋を苦しめた。
写真はどんどん溜まっていき、
アルバムを買って収めていくようになる程だった。
次の日の夕方
空は紫とピンクが混ざり合い、
まるで入浴剤が溶け始めた時のような
綺麗な色をしていた。
鱗のような雲がかかっている
茅秋「今日はこれにしますか」
写真を撮って見てみると、
どこか見覚えのある風景に感じた。
その日は思い出せず、翌日学校に持っていき、
暇さえあれば昨日の写真とにらめっこをしていた。
それを見た友達の咲人が
「なにこの写真!見せて見せて」と奪った。
茅秋「おい返せ!どうせ馬鹿にすんだろ」
咲人「めっちゃ綺麗じゃん、茅秋が撮ったの?すげーよ!」
茅秋「え?そうか…?ありがとう」
予想していなかった咲人の返しに照れていると
咲人「なぁこの場所、あれだよな。隣の高校の女子が車で轢かれたんだよ」
咲人は写真の隅の方に僅かに映った
バス停の時刻表を見逃さなかった。
茅秋「ちょっと待ってそれ詳しく!!!」
いきなり大きい声を上げた茅秋に
周囲の視線が集中した。
咲人「なんだよデカい声出して。はずかしっ!まあまあ話しますから落ちつきなさいって」
茅秋は周りが気になる余裕などなく、
もしかして楓の事なのではと、
ざわつく胸を必死に落ち着かせようとした。
楓が撮ったあの空の写真は、
茅秋が手紙を書いてカスミに託したので、
楓の手元にあり確かめたくとも比較が出来ない。
似たような場所は幾らでもあるのに
何故か引っかかる。
今日はテストで1限で帰れる。
事故について詳しく知りたくて、
終礼の最中に咲人に頼みこみ、
図書館へ寄って話を聞くことになった。
咲人は設置されているパソコンを使い、
あの場所で起きた事故について調べてくれた。
あの場所で去年の4月7日、
確かに同い年の女の子が車に轢かれる
事故が起きている。
被害者の名前は
永月楓(ながつき かえで)さん 15歳。
その日に入学式を迎えたばかりの高校生だった。
被害者は搬送時
意識不明の重体だったと書かれていた。
その後どうなったかが書かれておらず、
茅秋は咲人を急かし、
事件から数ヶ月後の記事を見れば
その後どうなったかがわかるではと、
記事を遡った。
すると3ヶ月後の記事に
『被害者の女子高校生は搬送後意識を取り戻し命に別状はないが、事故の後遺症により現在も入院中』と書かれていた。
茅秋「被害者の…女子高校生……[普通じゃない]ってそういう事か……」
ずっと引っかかっていた言葉の意味がわかり、
顔を手で覆いながら椅子の背もたれに
寄りかかった。
咲人「お前どうした?この事故に何か関係してるのか?」
真剣に心配している目を向けられ、
信じてもらえないだろうけどと
前置きをした後、楓との一連の流れを話した。
嘘だと思われたくなくて、
やり取りした手紙も見せた。
笑われるだろうと、話を聞き終えてから
写真を黙って見つめている咲人の顔色を
伺っていると
咲人「この小鳥の写真の背景、よく見て」
茅秋「え?ああ……花だろ」
咲人「違うよく隅まで見て!窓の外にでかい金木犀が写ってる」
茅秋「…本当だ。全く気付かなかった」
咲人「これお前が毎年行ってる金木犀がある病院だろ。こんな馬鹿でかい金木犀がある病院なんてこの近辺ではないぞ」
茅秋「嘘だ…あんな近くでやり取りしてたのかよ……」
咲人「よし!行ってこい!」
茅秋「ありがとう、咲人。お前いい奴だな」
咲人は今更かよと笑いながら背中を叩き、
行ってこい!と力強く押した。
茅秋は自分の出せる精一杯の力で病院へ向かった。
病院へ近付くにつれて、
あの甘い香りが強くなってくる。
茅秋「予報通り咲いたんだな…カスミ、頼む。居てくれ」
病院につき、金木犀に向かった。
左腕の時計の針は11時20分を指していた。
茅秋は返事が出せていない手紙を
カードケースから取り出し、
新しく書き直すことにした。
楓と同じ場所で撮影した写真の裏に。
【一年間返事が出来ずごめん。あのさ、楓ちゃんは普通の高校生だよ。もしそうでないと思うなら、普通の高校生が経験する悩みとか楽しいこと、青春だって思える日々を一緒に過ごしたい。お互い今は高校2年生だけど、気持ちだけでも入学式から一緒に始めませんか。茅秋】
そう書き終えると、木の根元に腰をかけ、
カスミが来るのを待った。
必ず来てくれると信じて。
気付けば年は明け、秋になり
明日には金木犀が咲くらしい
あれも見て欲しい、これも見て欲しい
撮る度にまだ会った事もない
楓を想う気持ちがどんどん膨らみ、
茅秋を苦しめた。
写真はどんどん溜まっていき、
アルバムを買って収めていくようになる程だった。
次の日の夕方
空は紫とピンクが混ざり合い、
まるで入浴剤が溶け始めた時のような
綺麗な色をしていた。
鱗のような雲がかかっている
茅秋「今日はこれにしますか」
写真を撮って見てみると、
どこか見覚えのある風景に感じた。
その日は思い出せず、翌日学校に持っていき、
暇さえあれば昨日の写真とにらめっこをしていた。
それを見た友達の咲人が
「なにこの写真!見せて見せて」と奪った。
茅秋「おい返せ!どうせ馬鹿にすんだろ」
咲人「めっちゃ綺麗じゃん、茅秋が撮ったの?すげーよ!」
茅秋「え?そうか…?ありがとう」
予想していなかった咲人の返しに照れていると
咲人「なぁこの場所、あれだよな。隣の高校の女子が車で轢かれたんだよ」
咲人は写真の隅の方に僅かに映った
バス停の時刻表を見逃さなかった。
茅秋「ちょっと待ってそれ詳しく!!!」
いきなり大きい声を上げた茅秋に
周囲の視線が集中した。
咲人「なんだよデカい声出して。はずかしっ!まあまあ話しますから落ちつきなさいって」
茅秋は周りが気になる余裕などなく、
もしかして楓の事なのではと、
ざわつく胸を必死に落ち着かせようとした。
楓が撮ったあの空の写真は、
茅秋が手紙を書いてカスミに託したので、
楓の手元にあり確かめたくとも比較が出来ない。
似たような場所は幾らでもあるのに
何故か引っかかる。
今日はテストで1限で帰れる。
事故について詳しく知りたくて、
終礼の最中に咲人に頼みこみ、
図書館へ寄って話を聞くことになった。
咲人は設置されているパソコンを使い、
あの場所で起きた事故について調べてくれた。
あの場所で去年の4月7日、
確かに同い年の女の子が車に轢かれる
事故が起きている。
被害者の名前は
永月楓(ながつき かえで)さん 15歳。
その日に入学式を迎えたばかりの高校生だった。
被害者は搬送時
意識不明の重体だったと書かれていた。
その後どうなったかが書かれておらず、
茅秋は咲人を急かし、
事件から数ヶ月後の記事を見れば
その後どうなったかがわかるではと、
記事を遡った。
すると3ヶ月後の記事に
『被害者の女子高校生は搬送後意識を取り戻し命に別状はないが、事故の後遺症により現在も入院中』と書かれていた。
茅秋「被害者の…女子高校生……[普通じゃない]ってそういう事か……」
ずっと引っかかっていた言葉の意味がわかり、
顔を手で覆いながら椅子の背もたれに
寄りかかった。
咲人「お前どうした?この事故に何か関係してるのか?」
真剣に心配している目を向けられ、
信じてもらえないだろうけどと
前置きをした後、楓との一連の流れを話した。
嘘だと思われたくなくて、
やり取りした手紙も見せた。
笑われるだろうと、話を聞き終えてから
写真を黙って見つめている咲人の顔色を
伺っていると
咲人「この小鳥の写真の背景、よく見て」
茅秋「え?ああ……花だろ」
咲人「違うよく隅まで見て!窓の外にでかい金木犀が写ってる」
茅秋「…本当だ。全く気付かなかった」
咲人「これお前が毎年行ってる金木犀がある病院だろ。こんな馬鹿でかい金木犀がある病院なんてこの近辺ではないぞ」
茅秋「嘘だ…あんな近くでやり取りしてたのかよ……」
咲人「よし!行ってこい!」
茅秋「ありがとう、咲人。お前いい奴だな」
咲人は今更かよと笑いながら背中を叩き、
行ってこい!と力強く押した。
茅秋は自分の出せる精一杯の力で病院へ向かった。
病院へ近付くにつれて、
あの甘い香りが強くなってくる。
茅秋「予報通り咲いたんだな…カスミ、頼む。居てくれ」
病院につき、金木犀に向かった。
左腕の時計の針は11時20分を指していた。
茅秋は返事が出せていない手紙を
カードケースから取り出し、
新しく書き直すことにした。
楓と同じ場所で撮影した写真の裏に。
【一年間返事が出来ずごめん。あのさ、楓ちゃんは普通の高校生だよ。もしそうでないと思うなら、普通の高校生が経験する悩みとか楽しいこと、青春だって思える日々を一緒に過ごしたい。お互い今は高校2年生だけど、気持ちだけでも入学式から一緒に始めませんか。茅秋】
そう書き終えると、木の根元に腰をかけ、
カスミが来るのを待った。
必ず来てくれると信じて。
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