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旅立ち
22.
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今日は祭の日だ。ナタリア様は濃いグリーンのワンピースを準備してくれた。髪型も可愛く編み上げてある。
ポシェットとブーツは流石にいつも使っているものを使用しているがしっかり女の子に見える。ワンピースも腰のところに大きなリボンが付いていて可愛らしい。
着替え終わったので玄関にいく。すでにアイザックとナタリア様が待っていてくれた。
「お待たせしました。」
「あらあら、可愛らしいお嬢さんの出来上がりね。さあ、出かけましょう」
ナタリア様もいつもに比べると大人しいデザインの装いだ。
街の中心近くまで馬車で行ってそこからは歩いて祭を楽しむ。人が多いからとアイザックと手を繋ぐ。
あちこち珍しい店が建ち並ぶのでキョロキョロしながら歩いていたら上から声がした。
「ククル、何か気になるものはあったかい」
「色んな店が多すぎて目移りしちゃう。」
「ククルちゃん、あそこの店に可愛い髪飾りがあるわよ」
今度はナタリア様に手を引かれる。
店先に到着すると色とりどりの髪飾りが並んでいた。
「すごぉい」
普段はおしゃれする事も無いけれどやっぱり可愛いものは可愛い。
ふと、葉っぱが蔓についた簪の様な髪飾りから目が離せない。
「まあ、シンプルだけど可愛らしいわね。でも少し歳のわりには落ち着いたデザインかしら」
ナタリア様が私が見ていたのを手に取り見定めている。
「ククルちゃんには似合いそうね。店主これ頂くわ」
えっと思っている間に支払いを済ませて包んでもらってる。
「はい、ククルちゃんお近づきの印よ」
「ありがとうございます。なんだか申し訳無いです」
「良いのよ。これくらい気にしないで」
包み紙を受け取りお礼を言う。
「さぁ、次は彼方に行きましょう」
そのままナタリア様に手を引かれあちこちの店を覗いた。
あれもこれもと服や小物を沢山買っていただいた。
「母さん、そろそろ戻る時間ですよ」
「あら、もうそんな時間なの。残念だわ。ククルちゃんまた一緒にお買い物しましょうね」
どうやら祭のイベントに参加するらしくナタリア様は先に屋敷へと戻られた。
従者がいつの間にか現れ私の荷物もついでに引き取ってくれた。
「お疲れ様。母のあの勢いは止めれないんだ。諦めてくれ」
苦笑いのアイザック。
「ちょっと疲れたけど大丈夫。楽しかった」
そこからは私のペースで祭を楽しんだ。
街の中心の広場で記念の式典や舞が披露されているとの事で見に行く事にした。
到着したら丁度領主の挨拶中だったみたいで舞台の方をみるとゴーライク様が挨拶している。
「あれ、え、、、」
「あぁ、父さんだな。そう言えば説明してなかったな」
まさかの領主様だったのだ。
「ついでに伝えておくとウチは公爵だ。まぁ、両親共にあんなんだからな」
流石にびっくりした。そりゃ普段身分を隠すわ。納得だ。
色々今更すぎて考えるのも面倒になったので気にしない事にした。
しかし、これだけ身分が高いと結婚とか良いのかと考えてしまう。アイザックに抱っこをせがみ耳元で聞いてみた。
「結婚したり婚約者がいたりはしないの?」
チラッとこちらを向いて答えてくれた。
「地位に言い寄ってくる御令嬢は山程居るが全て断ってる。正直面倒だし一応兄さんもヤルバルトも結婚して子供が居るから俺1人位独身でも大丈夫だ。それもアイツら2人とも恋愛結婚だしな。無理矢理婚約者を置かれる事もない」
成る程。お兄さんは28歳、ヤルバルトさんは22歳で年子とか言ってた。
その後の説明によるとお兄さんの所が10歳、8歳、7歳の男3人、ヤルバルトさんは9歳、7歳の男2人らしく跡取りは充分間に合っているとか。見事な男家系なせいで余計にナタリア様がうるさいとボヤいていた。
今晩、甥っ子達も屋敷に来るから紹介すると言われた。
一応、女の子な事は大人のみの事情にしてある為、あえて言わずにいつもの服装で良いよと付け加えられた。
「兄さんとこの2番目と3番目が特にヤンチャだから適当に相手してやってくれ」
「わかった。泣かさない程度にしとく」
甥っ子達が到着する前に屋敷に帰り着替えを済ます。
夕食の時間になり食堂に行くとみんな揃っていた。
今日は収穫祭なので恵みに感謝のお祈りをして食事をいただく。
食事も終わり皆でサロンに移動した。
「改めて皆に紹介する。今、アイザックと旅をしているククルだ。お前達より年も小さい。仲良くしてやれ」
ペコリとお辞儀だけしておいた。
そこからは大人と子供になんとなく分かれて時間ぎ過ぎていく。
「おい、お前なんで旅なんかしてるんだ」
確かこの子はお兄さんのところの2番目の子だ。
「色々事情はあるの」
説明も面倒だし適当に答えたが悔いかかってくる。
そのうちに俺様自慢が始まった。今度は3番目も加わってやれ勉強がやれ剣術がとうるさくなってきた。
「カイザー、ランデクいい加減にしないか」
お兄ちゃんのアストラが注意するが止まらない。
「お前、俺と勝負しろ」
お山の大将ことカイザーがとうとう此方に向かってきた。
サッと避けて無視する。
ヤルバルトさんの息子、リックとナリタは大人しく見守っている。
「こらカイザーいい加減にしろ。お客様へ何を言ってる」
「コイツがアイザック叔父様に迷惑を掛けない様俺が稽古をつけてやるんだ」
はぁ、だから男の子は嫌だ。
アイザックの方を見るとにやけている。
「叔父様、ちゃんと怪我しないようしますから良いですか」
「ククル、折角だし適当に相手してやれ。充分に手加減するんだぞ」
「今、ここでしますか。時間も遅いので明日にしませんか」
「ククルの言う通りだな。明日、朝から皆で訓練場で稽古でもするか」
何故か大人達も一緒に稽古をする事になったのだった。
その後、部屋に戻りアイザックに文句を言ってやった。
「いいじゃ無いか。兄さんの話では最近ちょっと天狗になって困っているらしいから少し懲らしめてやってくれ」
大人の事情に巻き込まれる形になった。
気に食わないが仕方が無いかなと諦めた。
ポシェットとブーツは流石にいつも使っているものを使用しているがしっかり女の子に見える。ワンピースも腰のところに大きなリボンが付いていて可愛らしい。
着替え終わったので玄関にいく。すでにアイザックとナタリア様が待っていてくれた。
「お待たせしました。」
「あらあら、可愛らしいお嬢さんの出来上がりね。さあ、出かけましょう」
ナタリア様もいつもに比べると大人しいデザインの装いだ。
街の中心近くまで馬車で行ってそこからは歩いて祭を楽しむ。人が多いからとアイザックと手を繋ぐ。
あちこち珍しい店が建ち並ぶのでキョロキョロしながら歩いていたら上から声がした。
「ククル、何か気になるものはあったかい」
「色んな店が多すぎて目移りしちゃう。」
「ククルちゃん、あそこの店に可愛い髪飾りがあるわよ」
今度はナタリア様に手を引かれる。
店先に到着すると色とりどりの髪飾りが並んでいた。
「すごぉい」
普段はおしゃれする事も無いけれどやっぱり可愛いものは可愛い。
ふと、葉っぱが蔓についた簪の様な髪飾りから目が離せない。
「まあ、シンプルだけど可愛らしいわね。でも少し歳のわりには落ち着いたデザインかしら」
ナタリア様が私が見ていたのを手に取り見定めている。
「ククルちゃんには似合いそうね。店主これ頂くわ」
えっと思っている間に支払いを済ませて包んでもらってる。
「はい、ククルちゃんお近づきの印よ」
「ありがとうございます。なんだか申し訳無いです」
「良いのよ。これくらい気にしないで」
包み紙を受け取りお礼を言う。
「さぁ、次は彼方に行きましょう」
そのままナタリア様に手を引かれあちこちの店を覗いた。
あれもこれもと服や小物を沢山買っていただいた。
「母さん、そろそろ戻る時間ですよ」
「あら、もうそんな時間なの。残念だわ。ククルちゃんまた一緒にお買い物しましょうね」
どうやら祭のイベントに参加するらしくナタリア様は先に屋敷へと戻られた。
従者がいつの間にか現れ私の荷物もついでに引き取ってくれた。
「お疲れ様。母のあの勢いは止めれないんだ。諦めてくれ」
苦笑いのアイザック。
「ちょっと疲れたけど大丈夫。楽しかった」
そこからは私のペースで祭を楽しんだ。
街の中心の広場で記念の式典や舞が披露されているとの事で見に行く事にした。
到着したら丁度領主の挨拶中だったみたいで舞台の方をみるとゴーライク様が挨拶している。
「あれ、え、、、」
「あぁ、父さんだな。そう言えば説明してなかったな」
まさかの領主様だったのだ。
「ついでに伝えておくとウチは公爵だ。まぁ、両親共にあんなんだからな」
流石にびっくりした。そりゃ普段身分を隠すわ。納得だ。
色々今更すぎて考えるのも面倒になったので気にしない事にした。
しかし、これだけ身分が高いと結婚とか良いのかと考えてしまう。アイザックに抱っこをせがみ耳元で聞いてみた。
「結婚したり婚約者がいたりはしないの?」
チラッとこちらを向いて答えてくれた。
「地位に言い寄ってくる御令嬢は山程居るが全て断ってる。正直面倒だし一応兄さんもヤルバルトも結婚して子供が居るから俺1人位独身でも大丈夫だ。それもアイツら2人とも恋愛結婚だしな。無理矢理婚約者を置かれる事もない」
成る程。お兄さんは28歳、ヤルバルトさんは22歳で年子とか言ってた。
その後の説明によるとお兄さんの所が10歳、8歳、7歳の男3人、ヤルバルトさんは9歳、7歳の男2人らしく跡取りは充分間に合っているとか。見事な男家系なせいで余計にナタリア様がうるさいとボヤいていた。
今晩、甥っ子達も屋敷に来るから紹介すると言われた。
一応、女の子な事は大人のみの事情にしてある為、あえて言わずにいつもの服装で良いよと付け加えられた。
「兄さんとこの2番目と3番目が特にヤンチャだから適当に相手してやってくれ」
「わかった。泣かさない程度にしとく」
甥っ子達が到着する前に屋敷に帰り着替えを済ます。
夕食の時間になり食堂に行くとみんな揃っていた。
今日は収穫祭なので恵みに感謝のお祈りをして食事をいただく。
食事も終わり皆でサロンに移動した。
「改めて皆に紹介する。今、アイザックと旅をしているククルだ。お前達より年も小さい。仲良くしてやれ」
ペコリとお辞儀だけしておいた。
そこからは大人と子供になんとなく分かれて時間ぎ過ぎていく。
「おい、お前なんで旅なんかしてるんだ」
確かこの子はお兄さんのところの2番目の子だ。
「色々事情はあるの」
説明も面倒だし適当に答えたが悔いかかってくる。
そのうちに俺様自慢が始まった。今度は3番目も加わってやれ勉強がやれ剣術がとうるさくなってきた。
「カイザー、ランデクいい加減にしないか」
お兄ちゃんのアストラが注意するが止まらない。
「お前、俺と勝負しろ」
お山の大将ことカイザーがとうとう此方に向かってきた。
サッと避けて無視する。
ヤルバルトさんの息子、リックとナリタは大人しく見守っている。
「こらカイザーいい加減にしろ。お客様へ何を言ってる」
「コイツがアイザック叔父様に迷惑を掛けない様俺が稽古をつけてやるんだ」
はぁ、だから男の子は嫌だ。
アイザックの方を見るとにやけている。
「叔父様、ちゃんと怪我しないようしますから良いですか」
「ククル、折角だし適当に相手してやれ。充分に手加減するんだぞ」
「今、ここでしますか。時間も遅いので明日にしませんか」
「ククルの言う通りだな。明日、朝から皆で訓練場で稽古でもするか」
何故か大人達も一緒に稽古をする事になったのだった。
その後、部屋に戻りアイザックに文句を言ってやった。
「いいじゃ無いか。兄さんの話では最近ちょっと天狗になって困っているらしいから少し懲らしめてやってくれ」
大人の事情に巻き込まれる形になった。
気に食わないが仕方が無いかなと諦めた。
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