Red Assassin(完結)

まさきち

文字の大きさ
70 / 76
横話

横話D 葛藤

しおりを挟む
※この横話Dは「43話 本部へ」時点の状態でのお話です。43話まで読んでいない方は、先にそちらまで本編を読んで頂く事を強くお勧めします。







横話D

葛藤







ブルー「それで、話って何?」
バダグ「クラスタは確かに優秀なアサシンだった。だが、アイツは正面切って戦う事は本来しない。」
ブルー「確かにそうね。今回は珍しいのかも。」
バダグ「普通に戦った場合、やはりレッドの方に分がある。」

ブルー「どうなのかしら。でも最近、今まで以上に強くなって来ているイメージはあるかもしれないけどね。」
バダグ「うむ。スウァム辺りからのレッドの成長には目を見張るものがある。」
ブルー「じゃあクラスタはどうしてもレッドに勝てないと?」
バダグ「俺の個人的な予想では、ほぼ100%レッドの勝ちだろう。」
ブルー「ブラックは上手く逃がせたわよ。」


バダグは椅子に凭れ掛かる。


バダグ「その様だな。ブラックのロックを誰かに依頼しておく。」
ブルー「そう言うと思ったわ。」
バダグ「では本題へ入る。」
ブルー「レッドの迎撃を私に…って事でしょ?こう言うのも何だけど、私ではレッドに勝てないわよ。」

バダグ「お前の言う通り、レッドはここまで辿り着く事になるだろう。しかも俺の意識はもう半分以上、ダークの支配下にある。現に、魔物の召喚を止められずに居る。」
ブルー「…」
バダグ「もう俺は自分の身体を制御できていないんだ。」

ブルー「もしかして私にレッドを導けと?」
バダグ「そこまでは言わないが…だが、俺達が今まで護って来た事だけは貫かねばならない。」
ブルー「ダークの正体…ね。」
バダグ「そうだ。俺はあの人を救って見せる。だが、もしそれが叶わぬ場合でも少しでもレッドに発見されるのを遅らせなければならない。」

ブルー「バダグ…アンタの命を賭けてまで守る相手なの?」
バダグ「ふっ、そうで無くては此処まで出来ていないだろう。」
ブルー「…そう。」
バダグ「もし俺が死んでお前が生き残る事があれば、お前にアサシン本部長になって貰う。お前は何の洗礼も受けていない。ダークを抑えておくだけであれば、そんなに難しくも無いだろう。」

ブルー「まあ、私が先にレッドに殺される可能性の方が高いけどね。」
バダグ「その時は俺がダークだとレッドに名乗り出る。幸い、あの村の事件の事は分かっている。」
ブルー「ルーン村の事件は私も知っているけど…」
バダグ「ああ。だからこそお前に、俺の意思を継いで欲しいんだ。」


暫くの沈黙。ブルーは後ろを向いて歩き出した。


バダグ「ブルー。」
ブルー「別に…私がレッドを殺せばそれで良いだけ。」
バダグ「…」
ブルー「もうすぐレッドが来るんでしょ?行くわ。」
バダグ「…ああ。」




隠し通路に入る。他のアサシン3人も来ている。


ブルー「アンタ達は先のフロアで待機しなさい。私はこのフロアで待機するわ。もしレッドを殺せるなら殺して構わない。何も聞き出す事も無いし、遠慮はいらない。…との事よ。」
アサシン「分かりました、では。」


アサシンは先へ進んでいく。ブルーは1人、フロアの壁に凭れ掛かる。


ブルー「…さて、私でレッドに勝てるかしら。だいぶ分の悪い賭けになるわね。」


ルーン村の事件を思い出す。凄惨な事件だった。村に火を点けたのはブルー・バダグを含むアサシン。それは間違いない。そしてレッドにとって真の仇であるダーク。いや、この時点ではダーク・アサシンなんて名称の者は居なかった。ダークとは誰かが犯人を探し出そうとした時の為のフェイクなのだ。

事件の前からバダグを見て来た。バダグの苦労もよく分かっている。現状が良くない事は理解出来ているが、だからと言ってどうする事も出来ない。残念ながら、バダグを開放する為に彼を殺す…なんて考えは浮かばない。

レッドなら何か出来るのだろうか?最近のレッドは不思議な雰囲気を醸し出している。

一番高い可能性は、ここでレッドに殺されてしまう事だろう。ブルーはレッドはおろか、クラスタにも及ばない。もしレッドがここに来るというのであれば、クラスタに勝っているという事なのだ。



ブルー「…ちょっと答えは見付からないな。」


ブルーが1人で苦笑いをしている時に、ドアが開いた。




レシア「…何でお前が?」


本当に来た…ナーダも居る。犠牲無くクラスタに勝利したのね。


ブルー「あら、レッド。本当にクラスタに勝ったのね。」


そう言ってダガーを出して歩き出す。命を賭けた戦いが始まるのだ。







横話の間が閉じる。


レシア「何なんだ…この記憶は?そんな覚悟で来てたんだな。村に火を点けたのはブルーやバダグ達で、真に仇なのはダーク?意味が分からない。しかもバダグはダークでは無かったのか?あの野郎…」




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから

渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。 朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。 「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」 「いや、理不尽!」 初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。 「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」 ※※※ 専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり) ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

処理中です...