Red Assassin(完結)

まさきち

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6章 紅のナイトメア

56話 戻った時間の路

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クラスタ「ふふふ…俺の攻撃を見切るとは中々やるじゃないか、レッド・アサシン。」


クラスタが姿を現した。


レシア「あんだけ殺気を丸出しにされたら気付くよ、クラスタ。」
クラスタ「ふふふ…アサシンの中では有名なだけはあるな。たった3年の活動でここまできたのは素晴らしい。しかし、お前も所詮は無能な集団の1人にしか過ぎない。」
レシア「御託は良いよ。お前の考えなんかどうでも良い。」
クラスタ「ふふふ…威勢が良いのは結構。そうでなくては面白くない。しかしどこまで対抗できるかな。さて、どれ程の者か見せて貰おうか、レッド・アサシン。霧隠れ、開け!」


レシアとクラスタの間に急に何人ものアサシンが姿を現した。現れる瞬間に薄く霧のような物が漂った様に感じた。


クラスタ「霧隠れの術。人や物を光の屈折を利用し隠す事が出来る。」
レシア「これで全員じゃ無いんだろ?何人隠しているんだ?」
クラスタ「ほう、また気配を読んだのか?面白い、折角だ、全員だしてやろうか。開け!」


次々とアサシンが現れる。


レシア「く…流石に多いな、これは。」
クラスタ「ふふふ…全部で23人のアサシンだ。レッド・アサシンと謳われたその力、じっくりと見せて貰おう。」
レシア「やるしかないか。」
シヴァ「レシア、下がれ。ボンバー!」


後ろからシヴァの声が聞こえた。レシアが後ろへ飛び退くと、アサシンに向かってシヴァの広範囲爆発魔法が炸裂した。


レシア「この魔法…一回くらった事があったけど、こんなに強烈だったか?あの時は手を抜いてやがったな。」
シヴァ「建物の中だったし、あの時点でお前を殺す訳にはいかなかったからな。」
レシア「ナーダ、回復有難うな。」
ナーダ「うん!」


大半のアサシンはさっきの魔法で事切れていた。残るアサシンもレシアとシヴァで斬り倒す。


クラスタ「…信じられん。こんな、まさか。」
レシア「残念だったな。お前の魂胆なんてお見通しなんだよ。」
クラスタ「ふふふ…これは流石に分が悪いな。悪いが逃げさせて貰う。」
シヴァ「させない、ボンバー!」


霧隠れをしようとしたクラスタに爆発魔法で牽制し、レシアが一気に斬り裂いた。


クラスタ「バカな…」
レシア「お前の出番はこれで終わりだ。」
クラスタ「ふふふ…まあ、相手がハンター本部長や有名なレッド・アサシンだ。悪くは…無い、か。」


クラスタは息を止めた。これで不意打ちをされることも無い。




シヴァ「助かったよ。今回は流石に殺られるかと思った。」
ナーダ「無事でよかったです。」
レシア「そうだな。」


これでシヴァが生き残った。この状態であれば、仮にバダグを倒しても封印も何とか出来るだろう。もはやブラックの居るライトビルへ行く必要は無い。このままアサシン本部へ行こう。


レシア「シヴァ、今からアサシン本部へ襲撃を掛ける。アサシン一掃作戦を少しだけ早めてくれ。」
シヴァ「それは構わないが…どうした?」
レシア「いや、何となくな。」
シヴァ「…分かった。お前に助けて貰った命だ。何とかしよう。」

ナーダ「そう言えばハンター副本部長さんが居ないんだけど…」
シヴァ「ああ…彼は戦闘向きでは無いからな。あの体型を見れば分かるだろう?」
レシア「ああ。控えめに言って…デブだな。」
シヴァ「多分そこら辺で息が切れて倒れてるよ。一応、魔法とかは得意な後方支援タイプではあるんだがな。」



直ぐに集まれる者で編隊を組んでシヴァのテレポートでアサシン本部へ乗り込んだ。残りの者も順次、ハンター副本部長と共に乗り込んで来るらしい。


テレポートで着いた先は、アサシン本部長室だった。


レシア「うわ…いきなりここか。テレポートって凄いんだな。」
バダグ「な…ハンター共だと。それにレッド!?」
ブルー「レッド…なんで?」
レシア「ブルーも居たか。ちょうど良いな。」

バダグ「どういう意味だ?」
レシア「バダグ、今の状況は理解できるな?沢山のハンター。そしてシヴァや俺。いくらお前でも勝てないぜ。」
バダグ「それはやってみないと分からない。」
シヴァ「意地を張るな。」

レシア「そこで、だ。お前に相談がある。」
バダグ「何だと?」
レシア「俺は分かっている。お前やブルーがルーン村の事件に関わっている事も、封印しているヤツの事も。」
バダグ「!?」

レシア「だが、これは世界の危機に関する事になる。バダグ、ニサラレスをこのまま見殺しにする気は無いか?」
バダグ「……」
レシア「お前には暫く、ニサラレスの影響が届かない位の場所へ行っていて貰う。そしてハンター側から封印を護るチームを作って対応して貰う。ニサラレスが死んだら、お前はまた戻って来ても良い。」
バダグ「…本当に分かっているんだな。」

シヴァ「これを飲むのであればアサシンとハンターの争いは終わらせる。協力し合って一つの組織の違う部署、みたいな形でやっていこうと思っている。」
バダグ「そんな事が…」
レシア「出来るさ。お前とシヴァが手を組みさえすればな。」
バダグ「……」


バダグは暫く黙っていた。


ブルー「バダグ、悪くは無いんじゃない?」
バダグ「ブルー…」
ブルー「どっちにしてもこのままじゃ、先は見えてたわ。」
バダグ「…」




沈黙の後、バダグはとある宝石を取り出してレシアに渡した。


レシア「これは?」
バダグ「これをお前に預ける。俺が戻ってくるまではアサシンに居ろ。そしてブルーをサポートするんだ。これが俺がその提案を飲む条件だ。」
レシア「じゃあ…」
バダグ「癪ではあるが、お前達の提案に乗ってやろう。」


この瞬間に1つの新しい未来が出来たのかもしれない。


レシア「分かった。預かっておく。」
バダグ「これは魔力を増強させる効果もある。剣にでも括りつけておけ。しかし村の仇はもう諦めたんだな。」
レシア「流石に世界と比べる事は出来ないさ。もちろん思う所はあるけどな。」
バダグ「そうか。」




レシアの首にあるルーン鉱石が光り出し、レシアを包んだ。


レシア「ああ…そうか、また戻るのか。あの河川敷に。」




光が消えた時に目の前にあったのは、無機質なだだっ広い空間だった。


レシア「え…?ここは時間の路。」




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