Red Assassin(完結)

まさきち

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6章 紅のナイトメア

58話 悪夢の未来へ

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ナイトメア「そうだ。俺はお前だ。いくつもの未来の中の1人、と言うべきなのかもしれないが。」
レシア「…ルーン、分かっていたのか?」
ルーン「ええ。この時間の路、私以外はルーンナー本人しか立ち入る事は不可能です。」
レシア「つまり、俺以外に存在しているという事は…俺って事だな。」

ナイトメア「信じるのか?」
レシア「ああ。普通の状況であれば信じられないかもしれない。でも今この状況は普通じゃない。」
ナイトメア「確かにそうなのかもな。」
レシア「それに…」


レシアはルーンを見る。


レシア「こいつ…ルーンは今まで嘘を吐いた事は無い。だからこそ信じられるんだ。」
ナイトメア「なるほど、俺と考え方は同じか。…って当たり前か。」
レシア「戦いの中でも取れなかった、そのおかしなフードを脱げ。」
ナイトメア「良いだろう。」


ナイトメアがフードを脱ぐと、そこには間違いなくレシアの姿があった。


レシア「…俺だな。歳は違うが間違いなく俺だ。」
ナイトメア「ああ。お前より幾つも上だな。どうだ?未来の自分の姿は。」
レシア「幾つかにもよるけど、まあ順当な老化だと思うよ。」
ナイトメア「老化って言うな。」

レシア「…封印したいやつが居る、って言ったか?」
ナイトメア「ああ。もちろんそれが誰かは言わないが。」
レシア「…俺が知っているヤツって事か?」
ナイトメア「それも言えないな。」

レシア「お前がこれを俺に返せる保証はあるのか?」
ナイトメア「ルーンナーに言うセリフじゃ無いな。」
レシア「…俺はこれが無くなると時間を遡る事が出来なくなる。」
ナイトメア「分かっている。でもそれは大丈夫だ。」

レシア「どういう事だ?」
ナイトメア「お前なら分かるだろ。お前が今の時間の流れの中の何処に行ったとしても、俺はお前を探し出せる。俺が通った道だからな。だからこそルーン鉱石をお前に返す事が出来る。」
レイア「それは…そうか。」
ナイトメア「仮にお前が俺の通らなかった時間の流れを進もうとも、俺は俺が知っている時間まで移動しお前に会える。」


自分自身だと理解してからは、ナイトメアに対する信頼は充分なほどあった。


レシア「…良いだろう。絶対に返せよ。」


レシアはペンダントを外しナイトメアに手渡した。


ナイトメア「サンキュー。すぐに返しに来るさ。」
レシア「因みに…何でナイトメアなんだ?」
ナイトメア「ああ…元々俺が自分で付けた名称じゃ無いからな。」
レシア「それは分かる。そんな性格じゃない。」

ナイトメア「詳しく言うつもりも無いが、取り敢えず俺と敵対している奴らがそう呼び始めたんだ。今のレッド・アサシンと同じ様な物だ。」
レシア「つまり…そう呼ばれても仕方のない事をしているんだな。」
ナイトメア「まあ相手にしてみたらそうなのかもな。お前もそう呼ばれる事になるんだからな。」
レシア「じゃあ俺はその時に、その名称を否定してやろう。」

ナイトメア「それも面白いかもしれないな。」
レシア「…行くのか?」
ナイトメア「ああ。お前の邪魔はしないから安心してくれ。」
レシア「邪魔?」

ナイトメア「自分を信じろ。」
レシア「…信じているさ。いつもな。」
ナイトメア「…そうだな。」



ナイトメアの首から光が溢れ出してナイトメアを包む。そして光と共にナイトメアは消えて行った。


レシア「そうか…俺もいつもあんな感じに消えて行ってるのか。」
ルーン「それは時間の流れから切り離された場所だからです。時間の流れの中であればあの光を感じる事は出来ません。」
レシア「そうか。」


他ならぬ自分の事。ナイトメアがレシアにルーン鉱石を返しに来るのは理解出来た。それはナイトメアの首に本人のルーン鉱石があった事からも分かった。


レシア「俺も…同じ様に将来、過去の自分に会いに来るんだな。」
ルーン「それは貴方次第でしょう。あのレシアが言った通り、そもそも私と出会わない世界もあるのですから。」
レシア「…俺も過去に行く可能性はある、って程度の事か。」
ルーン「そうですね。」

レシア「取り敢えず…今の俺は次の時間の流れで何があっても、ここには戻って来られないんだよな?」
ルーン「一定以上の純度をもつルーン鉱石を持たない限りは、そうなるでしょう。」
レシア「俺の体験している時間の流れの中では…無理だな。」




※横話Hが解禁されました。とある過去の出来事を垣間見る事が出来ます。レシアはこの話を見た後、また時間の扉を開ける事になります。





レシアは時間の扉の前に立った。もしかしたらもう失敗は出来ないのかもしれない。それとも時間の流れのどこかで本当にナイトメアがルーン鉱石を返しに来るんだろうか?


レシア「まあ…行くしか無いよな。そう言えば…次は記憶の有無ってどうなんだろうな?」
ルーン「前回の様な違和感は感じません。もうあのレシアは去りましたので。」
レシア「え、ナイトメアが違和感の原因だったのか?」
ルーン「恐らくそうでしょう。さっきも言った通りこの世界にはルーンナー本人と私以外は干渉できませんから。勿論あのレシアも態とやった訳では無いでしょうが。」

レシア「…何か色々と分かり難過ぎて混乱してるよ。まあ良いけど。つまりもう通常なんだな?」
ルーン「そう考えて貰って良いと思いますよ。」
レシア「分かった。」




レシアは時間の扉を開いた。




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