異世界レストラン ードラゴンパイの作り方ー

茜カナコ

文字の大きさ
10 / 48

10、マンドラゴラのポトフ

しおりを挟む
森のそばのログハウスに戻ると、私たちはマンドラゴラを冷蔵庫に入れた。
「それじゃ、他の食材を探しに森に行きましょう」
「なあ、本当にそれ、食うのか? 」
セリスがおっかなびっくり聞いてくると、朝葉は元気よく頷いた。

「朝葉様は毒検知のスキルをお持ちですので、毒は無いと思うのですが」
トワロが言うと、かぶせるように私は言った。
「それよりも、まず食材探しに行こう! 」
「はい、はい」
セリスさんの私の熱意に引きずられて、森への食材探しへついてきた。

森では、角ウサギを二匹倒して解体した。
セリスさんは私の解体のスキルを見て口笛を吹いた。

「朝葉様、森の奥に昔は畑があったのですが。行ってみますか? 」
私はワクワクした。畑だった場所には何があるんだろう。
「行ってみようよ、トワロ」
トワロの案内に従って森の奥まで歩くと、木々が途切れ、辺りが広がった。

「すごい、色々ありそう」
「そうですか? 」
私が畑だった場所を見ると、ステータスが見えた。
調理師のスキルがいつの間にか上がって、食材サーチのスキルが身についたらしい。
「えっと、人参と、セロリと、長ネギかな」
私はそう言うと、ステータスを頼りに食材をゲットした。

持ってきた食材用の袋がパンパンになる。
なにせ、30体のマンドラゴラのスープ用の食材だ。

「トワロ、この畑を作った人はどうしたの? 」
私は食材を袋に詰めながら、トワロに訊ねた。
「確か、もっと大きな街に旅立ったと聞いたことがあります」
トワロは一応、辺りを警戒しながら私に答えた。
「そうなんだ」

「いつもこんな調子なのかい? 」
セリスさんが食材に目を輝かせる私を見て、呆れた様子で言った。
「はい、そうです」
トワロが笑って答えた。

「そろそろ帰りましょう」
「わかりました」
「私も帰ろうかな」
私たち三人は、畑を後にして、森のそばのバンガローに帰っていった。
セリスさんはバンガローには寄らず、海のそばの自宅に戻っていった。
「マンドラゴラのスープができあがったら、また、声をかけて」

私とトワロは手を振ると、セリスさんも笑って手を振った。
「それじゃ、家に入りますか」
私たちは家に入って食材を冷蔵庫や食材置き場においていると、ドアをノックする音が聞こえた。

「どちら様ですか? 」
「城の使いです。マンドラゴラの討伐はどのような状況ですか? 」
「ああ、それならもう終わりました。今、調理の下ごしらえを始めるところです」
「え!? 調理なら少し待って下さい。まずは王宮へ報告して下さい」
城の兵は、慌ててそう言ってから頭を下げた。
「そうですね、失念していました」
トワロも頭を下げた。

「朝葉様、まずは王宮へ討伐完了の報告へ行きましょう」
「そっか、料理したかったんだけどな」
私は調理を一時諦めた。そして城の兵について王宮へ向かった。

「トワロ、女王様なんて言うかな」
「さあ、どうでしょうね」
私たちはまた大広間で待たされた。程なくして女王様が現れた。

「マンドラゴラ退治、ご苦労様でした」
「いいえ、セリスさんの助けで簡単に倒せました」
私がそう言うと、女王様は頷いて微笑んだ。
「あの、用事が済んだら早く家に帰って調理をしたいんですが」
「調理ですか? 何を? 」
女王が訊ねると、私は満面の笑みで答えた。
「マンドラゴラです」

「何ですって!? 」
女王がうろたえた。
「討伐したマンドラゴラは長寿の妙薬。一体1万ギルで引き取りますよ」
女王は動揺しながらも、交渉してきた。
私は、ちょっと考えてから答えた。
「27体はお譲りします。ですが、3体は味見のため、お譲り出来ません」

女王は笑って答えた。
「十分です。よく働きましたね。朝葉殿」
「はい」
私も笑顔で答える。

「マンドラゴラはどのように調理するのですか? 」
女王が興味深げに問いかけてきた。
「ポトフとホワイトシチューを作ろうと思います 」
私がそう答えると、女王が分からないというそぶりを見せたので説明した。

「香草と、角ウサギと、いくつかの野菜を煮込んで、塩胡椒で味を調えたスープを作ろうと思います」
シチューの説明は面倒なので避けた。
女王はうんうん、と頷いてから言った。

「今回の依頼の報酬は10万ギルです」
「え、マンドラゴラと別にもらえるんですか? 」
私が驚くと、トワロが頷いた。
「それなら、私じゃなくて、セリスさんに報酬10万ギルを渡して下さい」
「そうですか? 朝葉様がそう言うのであればセリスの家に届けましょう」
「話は以上です」

女王は話し合いが終わると、大広間を後にした。
私たちは、兵士から、マンドラゴラと引き換えに27万ギルもらうことを確認した。
「トワロ、私たち大金持ち? 」
「そうですね、お金は大切ですから大事に使って下さい、朝葉様」

城を出て、バンガローに戻ると私はマンドラゴラ27体を城の兵士に渡した。
兵士が帰ると私は調理にとりかかった。

野菜を洗って、刻み寸胴鍋に入れる。
裁いた角ウサギをローストした物も寸胴鍋に入れる。
香草を入れて、良く洗ったマンドラゴラをまるごと入れる。
トワロは手際よく料理する私を見ていたが、今は出来ることが無いと悟ると、自分の家に帰っていった。

半日、一日、じっくりと煮込む。
灰汁が半端なく出てくるけど、美味しそうな匂いが漂ってきた。
私は一通り下処理が終わったので、寝ることにした。
明日には、美味しいマンドラゴラと角ウサギのポトフができあがってるはずだ。
ホワイトシチューまで作れなかったのは悔しいけど、また別の機会にしよう。

私は幸せな眠りについた。
明日は良い日になりそうだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……

ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。  そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。 ※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。 ※残酷描写は保険です。 ※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話

カトウ
ファンタジー
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。 チートなんてない。 日本で生きてきたという曖昧な記憶を持って、少年は育った。 自分にも何かすごい力があるんじゃないか。そう思っていたけれど全くパッとしない。 魔法?生活魔法しか使えませんけど。 物作り?こんな田舎で何ができるんだ。 狩り?僕が狙えば獲物が逃げていくよ。 そんな僕も15歳。成人の年になる。 何もない田舎から都会に出て仕事を探そうと考えていた矢先、森で倒れている美しい女性騎士をみつける。 こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。 女性騎士に一目惚れしてしまった、少し人と変わった考えを方を持つ青年が、いろいろな人と関わりながら、ゆっくりと成長していく物語。 になればいいと思っています。 皆様の感想。いただけたら嬉しいです。 面白い。少しでも思っていただけたらお気に入りに登録をぜひお願いいたします。 よろしくお願いします! カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております。 続きが気になる!もしそう思っていただけたのならこちらでもお読みいただけます。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

Emerald

藍沢咲良
恋愛
教師という仕事に嫌気が差した結城美咲(ゆうき みさき)は、叔母の住む自然豊かな郊外で時々アルバイトをして生活していた。 叔母の勧めで再び教員業に戻ってみようと人材バンクに登録すると、すぐに話が来る。 自分にとっては完全に新しい場所。 しかし仕事は一度投げ出した教員業。嫌だと言っても他に出来る仕事は無い。 仕方無しに仕事復帰をする美咲。仕事帰りにカフェに寄るとそこには…。 〜main cast〜 結城美咲(Yuki Misaki) 黒瀬 悠(Kurose Haruka) ※作中の地名、団体名は架空のものです。 ※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載されています。 ※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。 ポリン先生の作品はこちら↓ https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911 https://www.comico.jp/challenge/comic/33031

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...