異世界レストラン ードラゴンパイの作り方ー

茜カナコ

文字の大きさ
11 / 48

11、次の食材へ

しおりを挟む
朝になった。
朝葉は朝食にキノコのソテーと野菜スープを食べた。
「うーん、卵とパンが欲しいなぁ」
そう言いながらも二人前は食べていた。

朝食の後、冷蔵庫を見る。
冷蔵庫の中は野菜がいっぱいだった。
それもそのはず、あとマンドラゴラのポトフを十分の一しか作れなかったからだ。

「何か、良い物作れないかなぁ・・・・・・」
食事を終えた朝葉は、次に作る物を考えていた。
そのときドアをノックする音が聞こえた。

「はい」
朝葉が答えると、返事があった。
「セリスだよ、おはよう!」
「おはようセリス」
そう言って朝葉はドアを開けた。

「良い匂いだね」
「うん。キノコ炒めと野菜のスープ、食べる? 」
朝葉が台所に行きかけるとセリスは手で制した。
「いいよ、いま食べてきたところ」
「そっか」

セリスは空いている椅子に座ると、言った。
「マンドラゴラのポトフとやらは上手く出来たのかい? 」
「ああ、それね。ちょっと待って」
朝葉はそう言って、ポトフの鍋に火をつけた。
どういう原理か、薪など使わずに普通に火が付いている。

朝葉は灰汁と余分な油を捨ててから、味見をした。
「うん、すっごく美味しく出来てるよ」
「そっか、それは良かった」
セリスは笑って言った。

「そういえば、トワロは? 」
セリスは鼻をヒクヒクさせながら、朝葉に聞いた。
「さあ、まだ来てないけれど・・・・・・ 」
朝葉達がそう言っていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「トワロです、朝葉様。おはようございます」

「おはよう、トワロ、マンドラゴラのポトフ出来てるよ」
「そうですか・・・・・・。 贅沢をしましたね」
トワロは若干怖じ気づいたような表情でそれだけ言った。
「一緒に食べよう!! 」
朝葉が嬉しそうに誘うと、トワロとセリスは遠慮がちに頷いた。

「いただきます!」
「いただきます」
「いただきます」
三人は、マンドラゴラのポトフを一口食べて顔を見合わせた。

「美味しい!? 」
「カブとジャガイモの中間みたいな味ね、マンドラゴラって」
「ほろ苦さが良いアクセントになってますね」
三人はそれぞれ感想を言い合うと、あとは夢中でマンドラゴラのポトフを食べた。

「あー、美味しかった! 」
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま」
朝葉は満足げなトワロとセリスを見て、にっこりと微笑んだ。

「ねえ、トワロ。この辺にまだ食べてないモンスターっている? 」
朝葉は三人のお皿を片付けながら、トワロに聞いた。
「朝葉様、まだモンスターを食べるのですか? 」
「だって、角ウサギは食べ飽きちゃったンだもん」
朝葉は口を尖らせる。
「それならさ、森の奥にフルーツバットっていうコウモリがいるんじゃない? 」
「セリス、余計なことを言わないで下さい」

「じゃあ、つぎはそのフルーツバットでハンバーグ作ろうかな? 」
朝葉は楽しそうに言った。
「ハンバーグ? 」
セリスが問いかける。
「肉を細かく叩いて、パンとか卵を混ぜて、形を整えて焼いた料理だよ」
「へえ、美味しそうじゃないか」
「野菜がいっぱい残ってるから、ベシャメルソースで煮込みハンバーグにしようっと」

トワロは、一応朝葉のレベルを見た。

剣士レベル10
調理師レベル20

どう見ても調理師として成長している。
途中経過を女王にも報告しなくてはいけない。
若干の焦りを感じながらも、トワロも森の奥への遠征に頷いた。

「朝葉様は、勇者様ではなく調理師様になってしまうのだろうか・・・・・・ 」
トワロは一人呟いた。

「じゃあ、森の奥の洞窟に向かいましょう! 」
朝葉は元気に、冒険の準備を始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……

ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。  そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。 ※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。 ※残酷描写は保険です。 ※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。

フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話

カトウ
ファンタジー
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。 チートなんてない。 日本で生きてきたという曖昧な記憶を持って、少年は育った。 自分にも何かすごい力があるんじゃないか。そう思っていたけれど全くパッとしない。 魔法?生活魔法しか使えませんけど。 物作り?こんな田舎で何ができるんだ。 狩り?僕が狙えば獲物が逃げていくよ。 そんな僕も15歳。成人の年になる。 何もない田舎から都会に出て仕事を探そうと考えていた矢先、森で倒れている美しい女性騎士をみつける。 こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。 女性騎士に一目惚れしてしまった、少し人と変わった考えを方を持つ青年が、いろいろな人と関わりながら、ゆっくりと成長していく物語。 になればいいと思っています。 皆様の感想。いただけたら嬉しいです。 面白い。少しでも思っていただけたらお気に入りに登録をぜひお願いいたします。 よろしくお願いします! カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております。 続きが気になる!もしそう思っていただけたのならこちらでもお読みいただけます。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

Emerald

藍沢咲良
恋愛
教師という仕事に嫌気が差した結城美咲(ゆうき みさき)は、叔母の住む自然豊かな郊外で時々アルバイトをして生活していた。 叔母の勧めで再び教員業に戻ってみようと人材バンクに登録すると、すぐに話が来る。 自分にとっては完全に新しい場所。 しかし仕事は一度投げ出した教員業。嫌だと言っても他に出来る仕事は無い。 仕方無しに仕事復帰をする美咲。仕事帰りにカフェに寄るとそこには…。 〜main cast〜 結城美咲(Yuki Misaki) 黒瀬 悠(Kurose Haruka) ※作中の地名、団体名は架空のものです。 ※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載されています。 ※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。 ポリン先生の作品はこちら↓ https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911 https://www.comico.jp/challenge/comic/33031

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...