異世界レストラン ードラゴンパイの作り方ー

茜カナコ

文字の大きさ
36 / 48

36、沈黙のフクロウのケバブ

しおりを挟む
「さてと、買い物も終わったし、冒険者の館に寄ってみよう」
朝葉は大きな買い物袋を抱えて、冒険者の館のドアを開けた。

「こんにちは」
「いらっしゃい、朝葉」
シンは笑顔で朝葉を迎えた。

「何か良い依頼ある?」
朝葉の問いかけにシンが答える。
「今だと、森に現れた沈黙のフクロウの討伐っていうのがあるよ」
「沈黙のフクロウ?」

「沈黙の魔法を使うフクロウだそうだよ」
「そっか、じゃあ、その依頼受けるね」
朝葉はそう言うと、シンから依頼書を受け取った。

バンガローに帰り買い物のかた漬けを終えた頃、トワロがやって来た。
「こんにちは、朝葉様」
「こんにちは、トワロ」
「今日の予定はありますか?」

「これから沈黙のフクロウを倒しに行くよ!」
朝葉は元気よく答えた。
「沈黙のフクロウですか。結構大きくて強いですよ?」
「大丈夫だよ! 剣士のレベルも上がってるでしょう?」
朝葉はそう言って剣を構えた。
「私もお供します」
「うん」

二人はバンガローを後にして、森に入った。
森のわりあい開けた部分に大きなクスノキがある。
そのクスノキには大きな穴が空いていた。
「あのなかに、沈黙のフクロウが住んでるらしいよ」
朝葉はそう言って穴を覗いた。

「ホウッホウッ」
穴から、大人と同じくらい大きなフクロウが飛び出してきた。
「きゃあっ!」
「朝葉様、大丈夫ですか?」
「大丈夫。ちょっと肩を爪で引っかかれただけだよ」
朝葉は剣を構えて、沈黙のフクロウを狙った。

「ウイングショット!!」
トワロが風の魔法でフクロウの動きを止めた。
「今です、朝葉様!」
「うん。解体!」
朝葉は解体のスキルでフクロウを捌いた。

肉と羽、内蔵が綺麗に切り分けられた。
「沈黙のフクロウの羽は魔力があるから、持ってくるようにシンに言われてるんだ」
「そうですか」
朝葉は飛び散った羽を袋に集めた。

そして、フクロウの肉を食材袋にしまう。
「さあ、バンガローへ帰ろう!」
朝葉達はバンガローへ戻っていった。

「今日は沈黙のフクロウのケバブを作るよ!」
「ケバブ?」
トワロはまた分からないという表情を浮かべている。
朝葉はフクロウの肉を適当な薄さに切り、パイナップルジュースと香辛料を混ぜたタレに漬け込んだ。

しばらく待った後、タレがしみこんだ肉を串にさして、肉の塊を作った。
「さあ、焼くよ!」
そう言うと、朝葉はゴーレムのかまどに火をいれて、じっくりと肉の塊を炙った。
「良い匂いですね。香辛料がオリエンタルなムードを醸し出しています」
トワロはそう言って微笑んだ。

「そろそろ良いかな」
朝葉は肉の塊をナイフで薄くそぎ取ると、市場で買ってきていたパンに挟んだ。
「出来たよ!」
「いただきます」

トワロと朝葉は庭のテーブルに腰掛けて、できたてのケバブのサンドイッチを頬張った。
「美味しい! 味の濃い肉が、甘めのパンに良く合う!」
トワロがそう言うと、朝葉も頷いた。

「パイナップルジュースもどうぞ」
朝葉に進められて、トワロは絞りたてのパイナップルジュースを飲んだ。
「うん、口がさっぱりします」
「良かった」

二人は食事を終えた。

すると、トワロが声を上げた。
「朝葉様、ステータスに変化が現れてますよ!?」
「え!? どんな!?」
「ステータス異常解除のスキルがついています」
「ええ!? 凄い!!」
朝葉はびっくりした。

「沈黙のフクロウの心臓を食べたからかな?」
「心臓も調理していたんですか!?」
「うん」
朝葉は無邪気な笑みで頷いた。

トワロはそれを見て、ため息をついた。
「食べるものによってスキル変化がおきるなんて、気をつけないといけませんね」
「そっか、でも大丈夫だよ」
朝葉は胸を張って、トワロに言った。

「毒検知のスキルがあるもん。毒以外なら食べても大丈夫だよ」
「朝葉様……」

トワロは言葉を失っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……

ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。  そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。 ※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。 ※残酷描写は保険です。 ※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

Emerald

藍沢咲良
恋愛
教師という仕事に嫌気が差した結城美咲(ゆうき みさき)は、叔母の住む自然豊かな郊外で時々アルバイトをして生活していた。 叔母の勧めで再び教員業に戻ってみようと人材バンクに登録すると、すぐに話が来る。 自分にとっては完全に新しい場所。 しかし仕事は一度投げ出した教員業。嫌だと言っても他に出来る仕事は無い。 仕方無しに仕事復帰をする美咲。仕事帰りにカフェに寄るとそこには…。 〜main cast〜 結城美咲(Yuki Misaki) 黒瀬 悠(Kurose Haruka) ※作中の地名、団体名は架空のものです。 ※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載されています。 ※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。 ポリン先生の作品はこちら↓ https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911 https://www.comico.jp/challenge/comic/33031

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

処理中です...