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8、カレンとの再会

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学校に行くと、上田にからかわれた。
「一樹、カレンちゃんのこと本気なんでしょ?」
「本気で受験勉強の手伝いをしてるよ」
「そうじゃなくてさ、恋ってやつ?」
一樹は上田の頭を軽く叩いた。

学校を終えて、スマホの電源を入れるとカレンからラインが来ていた。
<もう会えません、いままでありがとうございました>
突然の知らせに、一樹は呆然とした。
<なにがあったの? 僕なにか嫌なことしちゃった?>
カレンからすぐに返信が来た。
<学校にバレた。ウチの学校、異性交遊禁止だから退学になっちゃう>

僕は今時まだそんな校則があるなんて驚いた。
<分かった。ラインは大丈夫?>
<うん、ときどきなら>
カレンとはもう会えないんだと思うと、なんだか寂しくなった。

それでも、時々カレンは予備校の課題という題名で、カレンの作品の写真をラインで送ってくれた。
僕はそのうちの一つをプリントアウトして、自分の部屋の壁に貼った。

僕たちは高校三年生になった。
受験勉強も本番を迎え、カレンからのラインも来なくなった。
僕も過去問や予習復習と勉強漬けの日々が続いた。

そして、受験。

結果、僕はT大の理科三類に受かった。
カレンからも、久しぶりにラインが届いた。
<一樹君、第一志望、合格したよ! 一樹君は?>
<僕も合格したよ>
<良かった。本当にありがとう>

カレンからの連絡は、また途絶えた。
僕も大学の勉強や実習に忙しく、カレンを思い出すことが減った。
4年後、カレンから<卒業です>とラインが届いた。
僕は、久しぶりにカレンに電話をかけた。

「一樹です」
「久しぶり、カレンです」
「今度、あの喫茶店に一緒に行かない?」
「うん、いいね」

カレンと待ち合わせをするのは何年ぶりだろう。
喫茶店で僕は専門書を読んでいた。
時間になると、カレンが喫茶店に現れた。
まるで、初めて会ったときみたいだと思った。

「おまたせ! お久しぶり!」
「おひさしぶり、カレン」
「一樹はまだ大学生なんだね」
「ああ、あと二年頑張らないと」
僕が笑うと、カレンも笑った。

「住所、教えて。個展開くときに招待状送りたいから」
「分かった」
僕とカレンは住所を交換した。
「アパート? 一人暮らしするの?」
「うん、もう引っ越し先も決めてあるんだ」
カレンは頷いた。
もう、ずいぶん大人になったんだと思った。

「それじゃ、またね」
「うん」

僕たちはそれぞれの道に歩き出した。
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