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セントラルパーク
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セントラルパークについたのは夕刻だった。
馬車を冒険者の館の脇に止めると、翼は見張りとしてそこに残った。
学とあやの、ハナはレイラの元へ依頼の完了報告をしにきた。
「戻りました」
「あら、早かったわね」
レイラはそう言いながら、他の冒険者の相手をしていた。
「少し待っててね」
そう言ってレイラはまた別の冒険者の相手をする。
あやのは学に言った。
「冒険者の館、結構はやってますね」
「そうだな」
「はい、おまたせ」
レイラがやってきた。
学はレイラに装備10着を持ってきて馬車においてあると言った。
それから、ドワーフの娘がゴブリンに襲われていたことを伝えるとレイラの眉間に皺が寄った。
「最近、多いのよね。本来なら弱い魔物が集団になって襲ってくるって話」
「そうなんですか」
学はスライムの巣を思い出していた。
「はい、それじゃ報奨金5000ギルね。あと冒険者ポイントは3000ポイント付くわ」
「ありがとうございます」
学は金貨を受け取ると、レイラに会釈をした。今日の所はもう冒険は無理だろう。
外に出るともう馬車も鎧や盾も回収されて、ただ翼が立っていた。
学は言った。
「ハンナのビストロにいってみようか」
「そうね、いいかもしれない」
翼がそう答えると、あやのも頷いた。
ハンナのビストロは相変わらず混んでいた。
「学たちじゃないか、元気そうだね」
「ハンナも元気そうだね」
学はそう言うと、ハンナ特製のシチューを頼んだ。
「冒険は順調かい?」
「ああ」
ハンナの質問に答えながらシチューを一口食べる。相変わらず美味しい。
「ハンナ、最近モンスターが増えたって話を聞くかい?」
学が聞くとハンナは頷いた。
「ああ、モンスターも盗賊も増えてるよ。ノースシティの戦争が災いしてるみたいだね」
「戦争?」
「ノースシティとサウスシティの戦争が派手になって来たんだよ」
ハンナはそう言いながら、他の客の相手をした。
「学さん、戦争なんて大丈夫でしょうか?」
あやのは不安そうに学に問いかけた。
「今のところセントラルパークは大丈夫そうだけど」
翼が言葉を続けた。
ハナはシチューに夢中で話に加わっていない。
学はハンナに聞いた。
「この街は、戦争は大丈夫なのか?」
「ああ、永世中立国だから大丈夫さ」
ハンナはそう言いつつも暗い表情を浮かべた。
「ノースシティの女帝、システィーナ様は立派だけど潔癖主義過ぎるところがあるからのう」
学はそれを聞いて、言った。
「サウスシティは荒くれどもの集まりだってフローレンスから聞いたけど」
ハンナは答えた。
「その通りじゃ。ただ、一応ルールのようなものがあって無闇矢鱈と人を襲ったりはしないのだがの」
「話は変わるけど、何かいい案件ない? 冒険者レベル上げたいんだ」
翼が話の腰を折った。
ハンナは悩んだ。
「特にこれと言った案件は今のところないのう」
学たちはシチューを食べ終えるとハンナのビストロを後にした。
学たちは、また三日月亭に泊まることにした。
「手詰まりか」
学はため息をついて空を見上げた。月が輝いていて美しい夜空だった。
馬車を冒険者の館の脇に止めると、翼は見張りとしてそこに残った。
学とあやの、ハナはレイラの元へ依頼の完了報告をしにきた。
「戻りました」
「あら、早かったわね」
レイラはそう言いながら、他の冒険者の相手をしていた。
「少し待っててね」
そう言ってレイラはまた別の冒険者の相手をする。
あやのは学に言った。
「冒険者の館、結構はやってますね」
「そうだな」
「はい、おまたせ」
レイラがやってきた。
学はレイラに装備10着を持ってきて馬車においてあると言った。
それから、ドワーフの娘がゴブリンに襲われていたことを伝えるとレイラの眉間に皺が寄った。
「最近、多いのよね。本来なら弱い魔物が集団になって襲ってくるって話」
「そうなんですか」
学はスライムの巣を思い出していた。
「はい、それじゃ報奨金5000ギルね。あと冒険者ポイントは3000ポイント付くわ」
「ありがとうございます」
学は金貨を受け取ると、レイラに会釈をした。今日の所はもう冒険は無理だろう。
外に出るともう馬車も鎧や盾も回収されて、ただ翼が立っていた。
学は言った。
「ハンナのビストロにいってみようか」
「そうね、いいかもしれない」
翼がそう答えると、あやのも頷いた。
ハンナのビストロは相変わらず混んでいた。
「学たちじゃないか、元気そうだね」
「ハンナも元気そうだね」
学はそう言うと、ハンナ特製のシチューを頼んだ。
「冒険は順調かい?」
「ああ」
ハンナの質問に答えながらシチューを一口食べる。相変わらず美味しい。
「ハンナ、最近モンスターが増えたって話を聞くかい?」
学が聞くとハンナは頷いた。
「ああ、モンスターも盗賊も増えてるよ。ノースシティの戦争が災いしてるみたいだね」
「戦争?」
「ノースシティとサウスシティの戦争が派手になって来たんだよ」
ハンナはそう言いながら、他の客の相手をした。
「学さん、戦争なんて大丈夫でしょうか?」
あやのは不安そうに学に問いかけた。
「今のところセントラルパークは大丈夫そうだけど」
翼が言葉を続けた。
ハナはシチューに夢中で話に加わっていない。
学はハンナに聞いた。
「この街は、戦争は大丈夫なのか?」
「ああ、永世中立国だから大丈夫さ」
ハンナはそう言いつつも暗い表情を浮かべた。
「ノースシティの女帝、システィーナ様は立派だけど潔癖主義過ぎるところがあるからのう」
学はそれを聞いて、言った。
「サウスシティは荒くれどもの集まりだってフローレンスから聞いたけど」
ハンナは答えた。
「その通りじゃ。ただ、一応ルールのようなものがあって無闇矢鱈と人を襲ったりはしないのだがの」
「話は変わるけど、何かいい案件ない? 冒険者レベル上げたいんだ」
翼が話の腰を折った。
ハンナは悩んだ。
「特にこれと言った案件は今のところないのう」
学たちはシチューを食べ終えるとハンナのビストロを後にした。
学たちは、また三日月亭に泊まることにした。
「手詰まりか」
学はため息をついて空を見上げた。月が輝いていて美しい夜空だった。
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