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もふもふ
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(親の決めた結婚相手とはいえ、もう少し愛想良く出来ないのかしら……)
氷の貴公子と呼ばれるフレッド・ケリー辺境伯と一緒に夕食をとりながら、私は心の中でため息をついた。
「どうしました? 食が進んでいないようですが……アンジェラ様」
「いいえ、なんでもありませんわ。フレッド様」
フレッド様は気遣う言葉をかけて下さった。
けれど、彼の表情はまるで道ばたの石をみているかのようで、感情が読み取れない。
「それでは、私は先に失礼致します」
「あ……」
フレッド様はご自身の食事を終えられると、早々に食堂を後にされてしまった。
残された私は一人で食事を続ける。
どの料理もとても美味しかったけれど、一人でとる食事は味気ない。
「お父様もお母様も、フレッド様との結婚を祝福して下さったけど……フレッド様は真面目だけど、噂通り冷たい方みたいですわ……」
私は食事を終え、片付けに来たメイド達に挨拶をした。
「まあ、アンジェラ様。私どもにまで声をかけて下さるなんて」
「いえ、この家では私の方が新参者ですから。よろしくお願い致します」
私がにこりと微笑むと、メイドも微笑んだ。
「フレッド様も悪い方ではないんですが……人嫌いというか、人見知りというか……」
メイドに私が愚痴をこぼすと、メイドは困ったような表情で笑った。
「……ご主人様はお忙しいから、お疲れなのかもしれませんね」
メイドはそれだけ言うと、去って行ってしまった。
私はこの屋敷でひとりぼっちになった気がして、寂しくなった。
「……フレッド様は初めてご挨拶した後、『夜は決して私の寝室に来ないで下さい』と言ってましたわね」
この家に来て、初めてのフレッド様との会話を思い出し、私はため息をついた。
することもなかったので私は一人で中庭を散歩した。
夕暮れの庭の花々は、すこし元気がないように見える。
「おや、アンジェラ様。お元気がないようですが、何かありましたか?」
仕事を終えようとしていた庭師が、私に話しかけてきた。
「いいえ。大丈夫ですよ」
私が笑顔で答えると、庭師は「それなら良かった」と言って仕事に戻っていった。
私は中庭で庭師の仕事をボンヤリ見ていた。
「そろそろ冷えますよ。私も帰りますし……。アンジェラ様、お部屋に戻られた方が……」
「ええ、そう致します。ありがとう」
私は庭を出て自分の部屋に戻った。
自室のドアと廊下を隔てた斜め向かいにフレッド様の部屋がある。
ときどき物音がするけれど、夜は静かだ。
夜、フレッド様と会ったことはなかった。
同じ屋敷に住み部屋も近いのに、不自然だと私は思い始めた。
「もしかしたら……フレッド様は、外に好きな方がいらっしゃるのでは?」
私は浮かんでくる嫌な考えを振り払おうと首を横に振ってみた。
「いえ、それはないはず……あの真面目なフレッド様が……浮気なんて」
そう呟いてから、私は今まで一夜も共に過ごしたことがない事を思い出して不安になった。「絶対に信じられる……と言うには、私とフレッド様には距離がありすぎますわね……」
私はフレッド様の言いつけを破り、彼の寝室のドアをノックした。
「あの、フレッド様……?」
ドアを開けると、そこはもぬけの殻だった。
「やはり……夜になると外に出かけていらっしゃるんだわ……」
ため息をついて、フレッド様のベッドの隅に腰掛けると、ふとんがかすかに動いた気がした。
「……?」
私が恐る恐るふとんをめくってみると、そこにいたのは一匹のみみたれうさぎだった。
「まあ、可愛らしい! フレッド様ったら、こんなに可愛いうさぎちゃんを飼っていらっしゃったのね? こちらにいらっしゃい?」
もふもふとした毛に覆われた、耳と手足だけが薄茶色で、体と顔は白いみみたれうさぎを私はやさしく抱きしめた。
暖かくて、ふかふかで、私は心が温かくなるのを感じた。
「貴方のご主人様は、私の他に気になる方が居るみたい。それなのに、私と結婚することになって……もしかしたら、一番の被害者は貴方のご主人様かもしれませんわ」
私はみみたれうさぎに話しかけた。うさぎを抱きしめて、そのもふもふの毛を撫でていると、気持ちが落ち着いてきた。
「貴方は大人しいのね。可愛らしい」
私がみみたれうさぎにキスをすると、うさぎはジタバタと動いてベッドの中に逃げ込んでしまった。
「あらあら、ごめんなさい。嫌だったかしら?」
私がしょんぼりしていると、みみたれうさぎはのそりとベッドから這い出して、私の膝の上にちょこんと小さな手を乗せた。
「……私をなぐさめてくれるの? ありがとう」
私はもふもふの温かい体を両手で持ちあげて、頬ずりをした。
「あら、もうこんな時間……フレッド様との約束を破ったことが分かったら、ますます嫌われてしまうわ。うさぎさん、また今度会いましょうね」
私は慌ててフレッド様の部屋を出て自分の部屋に帰った。
そんな日が何日か続いた後、フレッド様が私に声をかけてきた。
「おはようございます、アンジェラ様」
「おはようございます。フレッド様」
二人で朝食をとる。
フレッド様の表情が明るい。そして、なんだかソワソワしている。
「……アンジェラ様、ご気分はいかがですか?」
「いつもと同じですわ」
私が笑顔で返事をすると、フレッド様は何故か赤面した。
「なにか、嬉しいことでもあったのですか?」
私はフレッド様に質問した。
「いいえ、何も変わりませんよ」
フレッド様はそう言ったけれど、その表情はなんだか嬉しそうだった。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま」
二人で同時に食事を終えると、フレッド様は慌てた様子で食堂を出て行った。
「……どうしたのかしら? もしかして……外の女性との間に子どもができたのかしら」
もしそうだったら……私は、この屋敷を去ろうと思った。
せっかく仲良くなった、みみたれうさぎちゃんと会えなくなるのは寂しいけれど、ひとりぼっちの屋敷にしがみつく気持ちは、私にはない。
私は去って行くフレッド様の背中に向かって言葉を投げた。
「……フレッド様、他に愛する方がいらっしゃるなら……私、このお屋敷を出て行く覚悟はできております。どうかお幸せになって下さい」
振り向いたフレッド様は、ぽかんとした顔をした後、額に手を当てて深いため息をついた。
沈黙と静寂を破ったのはフレッド様だった。
「アンジェラ様……誤解なさらないで下さい……」
フレッド様は覚悟を決めたような表情で私に言った。
「アンジェラ様、今日は夜まで一緒に私の寝室で過ごして下さい」
「……え!?」
私は急な誘いに言葉をなくした。
夕暮れにフレッド様の寝室のドアをノックした。
「アンジェラです」
「どうぞ、お入り下さい」
フレッド様はガウンを着て、ベッドに腰掛けていた。
私はドキドキしながら、部屋の隅に立っていた。
「これから見ることは他言しないでください」
「……え?」
窓の外には月が見え始めた。
フレッド様が窓の外に向かって歩きはじめる。
そして、彼が月の光を浴びたとき、ガウンがバサリと落ちた。
「!?」
私はフレッド様が消えたのを見て、動揺した。
「フレッド様!?」
その時、ガウンのしたで小さな何かがもぞもぞと動いた。
「……?」
私がガウンをめくると、そこにはあのもふもふとした可愛らしい、みみたれうさぎが鼻をヒクヒクさせて座っていた。
「あなた……フレッド様だったの!?」
うさぎは私の足下を駆け抜け、ベッドの枕の上に座った。
私はベッドに腰掛けると、いつものようにみみたれうさぎを抱きしめ、そのふかふかの毛を撫でた。
うさぎちゃんは気持ちよさそうに目を閉じて、わたしの膝に乗ってきた。
いつのまにか、私はフレッド様のベッドで眠っていた。
「おはようございます、アンジェラ様」
「……!?」
いつのまにかガウンをまとったフレッド様が私の隣で横になっていた。
そして、フレッド様は私の頬にやさしくキスをした。
「月の光を浴びると、うさぎになってしまうなんて……笑われるか気持ち悪がられるかのどちからだと思い言い出せませんでした。申し訳ありません」
フレッド様は優しい顔で私に謝罪した。
「いいえ、こちらこそ……うさぎちゃんだと思って、なで回したりして……申し訳ありませんでした」
私はフレッド様だとは気付かずに、うさぎちゃんに内緒の話をしていたことを思いだして赤面した。
「これからも、一緒に居て下さいますか? アンジェラ様」
「ええ。もちろんですわ、フレッド様」
暖かなベッドの中でフレッド様は私を優しく抱きしめた。
氷の貴公子と呼ばれるフレッド・ケリー辺境伯と一緒に夕食をとりながら、私は心の中でため息をついた。
「どうしました? 食が進んでいないようですが……アンジェラ様」
「いいえ、なんでもありませんわ。フレッド様」
フレッド様は気遣う言葉をかけて下さった。
けれど、彼の表情はまるで道ばたの石をみているかのようで、感情が読み取れない。
「それでは、私は先に失礼致します」
「あ……」
フレッド様はご自身の食事を終えられると、早々に食堂を後にされてしまった。
残された私は一人で食事を続ける。
どの料理もとても美味しかったけれど、一人でとる食事は味気ない。
「お父様もお母様も、フレッド様との結婚を祝福して下さったけど……フレッド様は真面目だけど、噂通り冷たい方みたいですわ……」
私は食事を終え、片付けに来たメイド達に挨拶をした。
「まあ、アンジェラ様。私どもにまで声をかけて下さるなんて」
「いえ、この家では私の方が新参者ですから。よろしくお願い致します」
私がにこりと微笑むと、メイドも微笑んだ。
「フレッド様も悪い方ではないんですが……人嫌いというか、人見知りというか……」
メイドに私が愚痴をこぼすと、メイドは困ったような表情で笑った。
「……ご主人様はお忙しいから、お疲れなのかもしれませんね」
メイドはそれだけ言うと、去って行ってしまった。
私はこの屋敷でひとりぼっちになった気がして、寂しくなった。
「……フレッド様は初めてご挨拶した後、『夜は決して私の寝室に来ないで下さい』と言ってましたわね」
この家に来て、初めてのフレッド様との会話を思い出し、私はため息をついた。
することもなかったので私は一人で中庭を散歩した。
夕暮れの庭の花々は、すこし元気がないように見える。
「おや、アンジェラ様。お元気がないようですが、何かありましたか?」
仕事を終えようとしていた庭師が、私に話しかけてきた。
「いいえ。大丈夫ですよ」
私が笑顔で答えると、庭師は「それなら良かった」と言って仕事に戻っていった。
私は中庭で庭師の仕事をボンヤリ見ていた。
「そろそろ冷えますよ。私も帰りますし……。アンジェラ様、お部屋に戻られた方が……」
「ええ、そう致します。ありがとう」
私は庭を出て自分の部屋に戻った。
自室のドアと廊下を隔てた斜め向かいにフレッド様の部屋がある。
ときどき物音がするけれど、夜は静かだ。
夜、フレッド様と会ったことはなかった。
同じ屋敷に住み部屋も近いのに、不自然だと私は思い始めた。
「もしかしたら……フレッド様は、外に好きな方がいらっしゃるのでは?」
私は浮かんでくる嫌な考えを振り払おうと首を横に振ってみた。
「いえ、それはないはず……あの真面目なフレッド様が……浮気なんて」
そう呟いてから、私は今まで一夜も共に過ごしたことがない事を思い出して不安になった。「絶対に信じられる……と言うには、私とフレッド様には距離がありすぎますわね……」
私はフレッド様の言いつけを破り、彼の寝室のドアをノックした。
「あの、フレッド様……?」
ドアを開けると、そこはもぬけの殻だった。
「やはり……夜になると外に出かけていらっしゃるんだわ……」
ため息をついて、フレッド様のベッドの隅に腰掛けると、ふとんがかすかに動いた気がした。
「……?」
私が恐る恐るふとんをめくってみると、そこにいたのは一匹のみみたれうさぎだった。
「まあ、可愛らしい! フレッド様ったら、こんなに可愛いうさぎちゃんを飼っていらっしゃったのね? こちらにいらっしゃい?」
もふもふとした毛に覆われた、耳と手足だけが薄茶色で、体と顔は白いみみたれうさぎを私はやさしく抱きしめた。
暖かくて、ふかふかで、私は心が温かくなるのを感じた。
「貴方のご主人様は、私の他に気になる方が居るみたい。それなのに、私と結婚することになって……もしかしたら、一番の被害者は貴方のご主人様かもしれませんわ」
私はみみたれうさぎに話しかけた。うさぎを抱きしめて、そのもふもふの毛を撫でていると、気持ちが落ち着いてきた。
「貴方は大人しいのね。可愛らしい」
私がみみたれうさぎにキスをすると、うさぎはジタバタと動いてベッドの中に逃げ込んでしまった。
「あらあら、ごめんなさい。嫌だったかしら?」
私がしょんぼりしていると、みみたれうさぎはのそりとベッドから這い出して、私の膝の上にちょこんと小さな手を乗せた。
「……私をなぐさめてくれるの? ありがとう」
私はもふもふの温かい体を両手で持ちあげて、頬ずりをした。
「あら、もうこんな時間……フレッド様との約束を破ったことが分かったら、ますます嫌われてしまうわ。うさぎさん、また今度会いましょうね」
私は慌ててフレッド様の部屋を出て自分の部屋に帰った。
そんな日が何日か続いた後、フレッド様が私に声をかけてきた。
「おはようございます、アンジェラ様」
「おはようございます。フレッド様」
二人で朝食をとる。
フレッド様の表情が明るい。そして、なんだかソワソワしている。
「……アンジェラ様、ご気分はいかがですか?」
「いつもと同じですわ」
私が笑顔で返事をすると、フレッド様は何故か赤面した。
「なにか、嬉しいことでもあったのですか?」
私はフレッド様に質問した。
「いいえ、何も変わりませんよ」
フレッド様はそう言ったけれど、その表情はなんだか嬉しそうだった。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま」
二人で同時に食事を終えると、フレッド様は慌てた様子で食堂を出て行った。
「……どうしたのかしら? もしかして……外の女性との間に子どもができたのかしら」
もしそうだったら……私は、この屋敷を去ろうと思った。
せっかく仲良くなった、みみたれうさぎちゃんと会えなくなるのは寂しいけれど、ひとりぼっちの屋敷にしがみつく気持ちは、私にはない。
私は去って行くフレッド様の背中に向かって言葉を投げた。
「……フレッド様、他に愛する方がいらっしゃるなら……私、このお屋敷を出て行く覚悟はできております。どうかお幸せになって下さい」
振り向いたフレッド様は、ぽかんとした顔をした後、額に手を当てて深いため息をついた。
沈黙と静寂を破ったのはフレッド様だった。
「アンジェラ様……誤解なさらないで下さい……」
フレッド様は覚悟を決めたような表情で私に言った。
「アンジェラ様、今日は夜まで一緒に私の寝室で過ごして下さい」
「……え!?」
私は急な誘いに言葉をなくした。
夕暮れにフレッド様の寝室のドアをノックした。
「アンジェラです」
「どうぞ、お入り下さい」
フレッド様はガウンを着て、ベッドに腰掛けていた。
私はドキドキしながら、部屋の隅に立っていた。
「これから見ることは他言しないでください」
「……え?」
窓の外には月が見え始めた。
フレッド様が窓の外に向かって歩きはじめる。
そして、彼が月の光を浴びたとき、ガウンがバサリと落ちた。
「!?」
私はフレッド様が消えたのを見て、動揺した。
「フレッド様!?」
その時、ガウンのしたで小さな何かがもぞもぞと動いた。
「……?」
私がガウンをめくると、そこにはあのもふもふとした可愛らしい、みみたれうさぎが鼻をヒクヒクさせて座っていた。
「あなた……フレッド様だったの!?」
うさぎは私の足下を駆け抜け、ベッドの枕の上に座った。
私はベッドに腰掛けると、いつものようにみみたれうさぎを抱きしめ、そのふかふかの毛を撫でた。
うさぎちゃんは気持ちよさそうに目を閉じて、わたしの膝に乗ってきた。
いつのまにか、私はフレッド様のベッドで眠っていた。
「おはようございます、アンジェラ様」
「……!?」
いつのまにかガウンをまとったフレッド様が私の隣で横になっていた。
そして、フレッド様は私の頬にやさしくキスをした。
「月の光を浴びると、うさぎになってしまうなんて……笑われるか気持ち悪がられるかのどちからだと思い言い出せませんでした。申し訳ありません」
フレッド様は優しい顔で私に謝罪した。
「いいえ、こちらこそ……うさぎちゃんだと思って、なで回したりして……申し訳ありませんでした」
私はフレッド様だとは気付かずに、うさぎちゃんに内緒の話をしていたことを思いだして赤面した。
「これからも、一緒に居て下さいますか? アンジェラ様」
「ええ。もちろんですわ、フレッド様」
暖かなベッドの中でフレッド様は私を優しく抱きしめた。
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