魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ

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13.顔合わせ

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「……重い」
 僕は台所にあった水汲み用のバケツに井戸から汲んだ水を入れ、台所の水がめまで運んだ。バケツで五杯ぶんの水を水がめに入れたところで、水がめの半分が満たされた。水がめは台所に三つ、作業場に三つ、合わせて六つある。思わずため息が出た。

「メルヴィン、遅いぞ!? いつまで水を汲んでるつもりだ!?」
「申し訳ありません」
 僕は黙々と水を汲んで運び、水がめに注いだ。外はもう寒い季節なのに、体中から汗がふき出してくる。

 ようやく最後の水がめが満たされ、僕は大きく息をついた。
「やっと終わったか。のろまだな」
「……」
 デニスは裏庭で薪割を終え、出来た薪を作業場に運んでいた。
「本当は薪割もお前の仕事になるんだぞ?」
「……はい」

 デニスと僕が中庭から作業所に入り掃除をしているとドアが開いた。
「おはようございます」
 若い男性二人が入ってきた。
「おはようございます!」
 デニスが挨拶をしてからお辞儀をした。
「おはようございます」
 僕もとりあえず、デニスの後ろで頭を下げた。

「君が新人?」
 長めの金髪を後ろで束ね、グレーの目をした二十歳をすぎたくらいの青年が僕に右手を差し出した。
「よろしくおねがいします。メルヴィン・バレットです」
「僕はビル。これからよろしくね」
 僕がビルと握手をしていると、もう一人の青年が冷ややかな目でそれを見ていた。

「メルヴィン・バレットです。よろしくお願いします」
 僕は右手を差し出したけれど、青年は僕の手を取らずに事務的な口調で言った。
「私はフランク・バンクスだ。ニコラス様に迷惑をかけないようにしたまえ」
 フランクは茶色い髪をかき上げながら、こげ茶の目で僕をじろりと見た。
「はい、努力します」

「おや、みなさんもう自己紹介したのかな?」
「ニコラス様! おはようございます!」
「おはようございます」
 僕以外のみんなが勢いよくお辞儀をする。僕もあわてて頭を下げた。
 ニコラスは笑顔で右手を上げ、皆に言った。
「おはよう」
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