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しかし不思議なのは、離婚原因に私の不妊の事が一切出ていない事だ。
自分の浮気が原因だと言われれば、あのグライラスの事だもの私の不妊の話をし、私のせいにするのでは?
今のグライラスなら自分の醜聞を隠す為なら、私を貶める事を選ぶはずだ。
お父様やお兄様なら何か知っているかも知れない。
夕食後に、お父様とお兄様に時間を貰った。
「どうした?何か困った事でも有ったのか?」
「家が見付からないのなら、この屋敷に住めば良いんだよ?」
「今日、学園時代のクラスメイトに偶然会ったんです。その方が私とグライラスの離婚の噂を教えてくれました。離婚の原因は、グライラスの浮気だと。私の身体の事は一言も言ってませんでしたが、それが私にはとても不思議で…」
お父様は、何だそんな事か…という顔をしている。
「クラリスと勝手に離婚したと知ったデルバラド卿が激怒しグライラスは今は謹慎中なんだ。離婚の噂は直ぐに広まったが周りは何故離縁したのか理由は分からない。そこでグライラスとアイリーンの仲を知る者が浮気が原因だと勝手に憶測で話したんだろう。」
デルバラド侯爵が怒ってグライラスを閉じ込めていると初めて聞いて驚いた。
「その噂がデルバラド卿の耳にも入ってな。デルバラド卿はグライラスから離婚の理由をクラリスの不妊だと聞いていた。まさか息子が不貞を…それもあの悪名高い令嬢との子を作るなど有り得ないと激怒したそうだ。デルバラド公爵家は親戚筋から優秀な子を養子にし、グライラスを嫡男から外したそうだ。自業自得だなっ」
「養子を?それではグライラスは…」
「デルバラド卿が、お前に会いたいと申し入れしてきている。この前は勝手に断わったが、お前が会うと言うのなら私は止めない。」
デルバラド公爵と夫人には、とても優しくして貰った。挨拶もせずに戻って来た事が気になってはいたのだ。
私は、お父様に頼んでデルバラド公爵に会う事を決めた。
次の日、直ぐにデルバラド公爵夫妻はやって来た。
「クラリス嬢、あの愚息がすまない事をした。」
「謝らないといけないのは、わたくしの方です。世継ぎが産めない身体だと知らずにデルバラド公爵家に嫁いでしまい、本当に申し訳御座いませんでした。」
「クラリスちゃんが謝る事はないのよ。妊娠出来ないなんて分かることではないんだもの。出来ないなら養子を取る事だって出来たのに、あの子は依りにも寄って、あんな女に…」
グライラスは廃嫡されると聞いた。
そうなるとアイリーンのお腹にいる子供は、どうなるのだろうか?
「グライラスを廃嫡されるのですか?アイリーンさんのお腹にはデルバラド公爵家の跡継ぎがいるのですよね?」
デルバラド公爵夫妻は顔を見合わせた。
「伯爵とアイリーンを呼び出し、これからの事を話そうとしたんだ。あの女はグライラスが廃嫡されると知った途端に怒り出し公爵家の嫡男でなくなるグライラスと別れるから金を出せ!と怒鳴り出したよ。お腹の子はどうするのかと聞けば、頭に血が昇って判断が出来なくなっていたのだろう。子はグライラスの子ではないと口走った。伯爵から激怒されると、子供の父親の所に行くと言って屋敷を飛び出して行ってしまった。…グライラスは騙されていたのだ。馬鹿な奴だ。」
そっか、お腹の子はグライラスの子ではなかったのか。
廃嫡な上に、愛する人とやっと授かったと思った子が他人の子で、彼はアイリーンの嘘で全てを失くしてしまったのね。
「噂通り、何人もの子息と関係を持っていたのは本当だったんですね。子供は親しくしていた男爵子息との子じゃないかと聞きましたが…」
男爵?高位貴族狙いなのに?
「ああ、なかなか妊娠しないので前に付き合っていた男に種付けして貰ったそうだ。その男も頼まれただけだからとアイリーンとの結婚を拒否してるそうだ。」
そこまでして高位貴族と結婚したかったのか…。
全てが明るみになり、行き場を失くしたアイリーンは、伯爵が除名し修道院に送ったそうだ。
そしてグライラスもデルバラド公爵の命令で領地に送られた。
自分の浮気が原因だと言われれば、あのグライラスの事だもの私の不妊の話をし、私のせいにするのでは?
今のグライラスなら自分の醜聞を隠す為なら、私を貶める事を選ぶはずだ。
お父様やお兄様なら何か知っているかも知れない。
夕食後に、お父様とお兄様に時間を貰った。
「どうした?何か困った事でも有ったのか?」
「家が見付からないのなら、この屋敷に住めば良いんだよ?」
「今日、学園時代のクラスメイトに偶然会ったんです。その方が私とグライラスの離婚の噂を教えてくれました。離婚の原因は、グライラスの浮気だと。私の身体の事は一言も言ってませんでしたが、それが私にはとても不思議で…」
お父様は、何だそんな事か…という顔をしている。
「クラリスと勝手に離婚したと知ったデルバラド卿が激怒しグライラスは今は謹慎中なんだ。離婚の噂は直ぐに広まったが周りは何故離縁したのか理由は分からない。そこでグライラスとアイリーンの仲を知る者が浮気が原因だと勝手に憶測で話したんだろう。」
デルバラド侯爵が怒ってグライラスを閉じ込めていると初めて聞いて驚いた。
「その噂がデルバラド卿の耳にも入ってな。デルバラド卿はグライラスから離婚の理由をクラリスの不妊だと聞いていた。まさか息子が不貞を…それもあの悪名高い令嬢との子を作るなど有り得ないと激怒したそうだ。デルバラド公爵家は親戚筋から優秀な子を養子にし、グライラスを嫡男から外したそうだ。自業自得だなっ」
「養子を?それではグライラスは…」
「デルバラド卿が、お前に会いたいと申し入れしてきている。この前は勝手に断わったが、お前が会うと言うのなら私は止めない。」
デルバラド公爵と夫人には、とても優しくして貰った。挨拶もせずに戻って来た事が気になってはいたのだ。
私は、お父様に頼んでデルバラド公爵に会う事を決めた。
次の日、直ぐにデルバラド公爵夫妻はやって来た。
「クラリス嬢、あの愚息がすまない事をした。」
「謝らないといけないのは、わたくしの方です。世継ぎが産めない身体だと知らずにデルバラド公爵家に嫁いでしまい、本当に申し訳御座いませんでした。」
「クラリスちゃんが謝る事はないのよ。妊娠出来ないなんて分かることではないんだもの。出来ないなら養子を取る事だって出来たのに、あの子は依りにも寄って、あんな女に…」
グライラスは廃嫡されると聞いた。
そうなるとアイリーンのお腹にいる子供は、どうなるのだろうか?
「グライラスを廃嫡されるのですか?アイリーンさんのお腹にはデルバラド公爵家の跡継ぎがいるのですよね?」
デルバラド公爵夫妻は顔を見合わせた。
「伯爵とアイリーンを呼び出し、これからの事を話そうとしたんだ。あの女はグライラスが廃嫡されると知った途端に怒り出し公爵家の嫡男でなくなるグライラスと別れるから金を出せ!と怒鳴り出したよ。お腹の子はどうするのかと聞けば、頭に血が昇って判断が出来なくなっていたのだろう。子はグライラスの子ではないと口走った。伯爵から激怒されると、子供の父親の所に行くと言って屋敷を飛び出して行ってしまった。…グライラスは騙されていたのだ。馬鹿な奴だ。」
そっか、お腹の子はグライラスの子ではなかったのか。
廃嫡な上に、愛する人とやっと授かったと思った子が他人の子で、彼はアイリーンの嘘で全てを失くしてしまったのね。
「噂通り、何人もの子息と関係を持っていたのは本当だったんですね。子供は親しくしていた男爵子息との子じゃないかと聞きましたが…」
男爵?高位貴族狙いなのに?
「ああ、なかなか妊娠しないので前に付き合っていた男に種付けして貰ったそうだ。その男も頼まれただけだからとアイリーンとの結婚を拒否してるそうだ。」
そこまでして高位貴族と結婚したかったのか…。
全てが明るみになり、行き場を失くしたアイリーンは、伯爵が除名し修道院に送ったそうだ。
そしてグライラスもデルバラド公爵の命令で領地に送られた。
応援ありがとうございます!
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