【完結】他の人が好きな人を好きになる姉に愛する夫を奪われてしまいました。

山葵

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16 アリシア視点

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「カイド、最近、貴方ソワソワしてどうしたの?誰か此処に来るの?」

「いえ、奥様そんな事は…。それより身体の方は大丈夫ですか?もう少しで産まれるんですよね?」

「ええ、大丈夫よ!予定では3週後だけれど、最近はお腹が張って…」

「頑張って産んで下さいね!無事に産まれることを祈ってます」

そう話しながらもカイドは、キョロキョロと周りを気にしている。何かあるのかしら?気になるけれど、まぁ良いか。それよりも

「ねぇ~カイド~私は女として魅力がないのかしらぁ?」

カイドに近付き袖を引っぱりながら甘えた声で聞いてみる。

するとカイドは、驚いた顔をしながらも、

「そんな事ありませんよ!奥様は、とても魅力的です」

「本当に?カイドにそう言って貰えると嬉しい」

そう言うとアリシアは、カイドに抱きついた。

「い、いけません!庭師の俺なんかと抱き合っているのを見られたら「大丈夫よ!カイドは私の事、好きじゃないの?」

「お慕いしております。ですが、それは恋愛ではなく、ご主人様としてです。貴女は王子妃です。どうか軽はずみな行動はお止めください。すみません、今日は、これで失礼させて頂きます」

 うーん、カイドは真面目すぎて駄目ね…。
ちょっと行けるかと思ったんだけれど、やっぱりこのお腹のせいねっ!あー妊娠なんて本当にするんじゃなかったわ!


***

 やばい!奥様が俺に対して、あんな気持ちだったなんて気が付かなかった!いや、嘘だな…。美人だし少しは期待していた。でも、王子妃なんかに手を出したなんて知れたら、どうなってしまうか…職も無くしたくないしなっ…。

ブツブツと独り言をしながら歩いていると

「カイド?」

「あっ!リンド!!やっと会えた。また会えないかと、ずーと待っていたんだ」

「私を待っていてくれたの?」

2人は顔を赤らめて下を向いた。

なんでリンド(カイド)と話すとドキドキする(の)んだ

「き、今日は庭の手入れはしないの?」

「あーちょっと調子が悪くて…」

「具合が悪いの!!大丈夫?引き留めてしまって、ごめんなさい」

「体調が悪いわけじゃあないんだ…」

「本当に?」

「あぁリンドの顔を見たら元気が出た!」

「えっ?!」

「「・・・」」

  2人は見つめ合う。カイドは、リンドに近付き、そっと抱きしめる。ガサガサという音がして、我に返ったリンドが慌てて離れ、何も言わずに宮廷の方へと走って行ってしまった。

 走り去るリンドをカイドは黙って見つめ、姿が見えなくなると、その場から立ち去った。


 な、何なの?カイドが、なんであの女と抱き合っているわけ???どうして、サイードもカイドも、あの女に取られるのよ!許さない!!今にみてらっしゃい!!!
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