私の好きなお兄様

6

ここは…？

イタッ…何故かしら身体が、とても痛いわ。

「お嬢様、お目覚めになりましたか？直ぐにアルベルト様をお呼びしますね」

お嬢様？アルベルト様？

思い出せない…私は誰？

「リリアナ、目が覚めたのかい？あぁ良かった！身体の方はどうだい？どこか痛い所は？」

この方がアルベルト様なの？…分からない。

「……」

「リリアナ？」

「…ご、ごめんなさい…私がリリアナなのですか？」

「！！！」

アルベルト様は、驚いたように目を見開き私を凝視している。

そうですよね…自分の名前を思い出せないなんて変ですよね…。

でも思い出せないのです。

ここは何処なのでしょうか？

私は誰なのでしょうか？

そして…貴方達は誰なのですか？

何も思い出せない…いえ、思い出してはいけない気がする。

何故…分からない。

「直ぐに医者を部屋に呼べ！！」

お医者様？私は病気だったのですか？

「ああリリアナ。俺の可愛いリリアナ。俺の事が分からない？アルベルトだよ？」

「…ごめんなさい。何も分からない。何も思い出せないのです」

「そんな…」

「私の身体中が痛いのは何故ですか？それが原因なのでしょうか？」

「リリアナ、君は階段から落ちてしまったんだ」

「まぁ！？階段から…」

「その時に頭を打ったのかもしれない。きっと、それが原因だ」

階段から落ちるなんて…私は慌てていたのでしょうか？