私の好きなお兄様

山葵

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マリー達の荷造りの様子を眺めていると、窓の外で何やら声が聞こえてきた。

覗いてみると、屋敷の前に馬車が停まっていて、御者が門番と揉めている様だ。

何処の貴族の馬車かしら?

馬車の窓から若い女性の顔が見える。

誰…?イタッ、頭がズキンッと痛み出した。

何?あの方は…誰?思い出そうとすると頭がズキンズキンする。

「リリアナ、ここに居たのかい?ん…チッまた来たのか…」

お兄様は、わたくしが何を見ているのかと気になった様で、窓の外を覗き、悪態を付いた。

「あの方は、どなたですの?」

「リリアナが気にする様な奴では無いよ。それより父上と母上に了承を取ってきたよ!」

…何かモヤモヤする。
外の方を、お兄様は、嫌ってらっしゃるのかしら!?
何故、教えてくれないのでしょう。

「リリアナ?」

「あ、ありがとうございます」

「うん!明日が楽しみだね♪」


荷造りも終わり、お茶を飲んでいると、お父様、お母様が部屋に来られたと告げられた。

慌てて、立ち上がると、「そのままで」と言われ、ソファーに座る。

「アルベルトに明日から別荘に行くと聞いたが…大丈夫なのか?」

大丈夫なのかとは体調の事よね?

「はい、休憩を取りながら行ってくれるとの事ですので、大丈夫です」

「いや…そうではなくって…」

体調では、ないのでしょうか?

「…?」

リリアナが首を傾げているのを見て

「アルベルトと2人…「父上!」」

お兄様が慌てたように部屋に入って来られた。

「父上も母上もリリアナが可愛いからと言って、寂しがらないで下さい。静養して体調が元に戻ったら、直ぐにでも帰ってきますよ!ねぇリリアナ!?」

「ごめんなさい、お父様、お母様」

「い、いや、お前のせいでは無いよ。気を付けて行ってくるんだよ…」

お父様は、狼狽えているような…?
お母様は、顔が蒼白されているような…?

「大丈夫ですよ!俺がリリアナを守りますから」

お父様とお母様は、わたくしに話が有って来られたと思うのですが…良かったのでしょうか?
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