私の好きなお兄様

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父上から、グリル伯爵が、縁談申込みの白紙について、向こうが駄々を捏ねてなかなか応じないと手紙があり、両家の話し合いの場を設けて欲しいという事で戻された。

だが、いざ話し合いとなった時に、何故かスーザンが来ていない。

嫌な予感がする…。

グリル伯爵を問い詰めるとスーザンは、レイノルズ侯爵家の別荘に向かったと言う。

チッ、やられた！

「グリル伯爵、もしリリアナに何か有れば、その命ないと思えっ！！父上、後の処理は頼みました」

あぁリリアナを、やはり残して来るのでは無かった。
何か有れば俺のせいだ！

アルベルトは、早馬に乗り、途中、馬を乗り換えただけで、休む事無く別荘へと向かう。

逸る気持ちを押さえて走り続けていると、前から見覚えのある馬車が此方に向かってきた。

「止まれ！！」

御者は、慌てて馬車を止める。

中に居た侍女が何事かと顔を出して、中に居る者に何かを告げている。

「まぁアルベルト様！こんな所でお会いできるなんて運命ですわねぇ～♪」

何が運命だ！うちの別荘から、領地に戻るにはこの道しかないだろうがっ！！

「グリル伯爵令嬢、何故この様な所に？我が侯爵家別荘に何か用でも有ったのかな！？」

「…えっ…あっ…ア、アルベルト様に会いに…「訳が分からないなぁ！？貴女は俺が屋敷に戻るのを知っていた筈だが…そうだろう？」

「えっ？そ、そうでしたかしら？お父様から何も聞いてませんわ」

「それに縁談は、お断りした筈。何用で俺に会いに？」

「わたくしは納得しておりま…「グリル伯爵令嬢が納得しようがしまいが、此方は縁談の話を進めるつもりは無い！」

「そ、そんな…「それと、もう関わりのない身、名前で呼ぶのは止めていただこう！」

「あぁグリル伯爵にも伝えたが、リリアナに何か有れば許さないから、そう思え！！」

そう告げるとアルベルトは、また急ぎ、馬を走らせた。