私の好きなお兄様

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マリーから聞いた話しは驚く事の連続だった。

階段から落ちた私を見て、お兄様がスーザン様に激怒した事。

記憶を失くした私に激甘になった事。

両親を説得して無理に別荘に来た事。

そして、スーザン様がお兄様が留守の時に別荘まで私に会いに来た事。

「お兄様は、スーザン様と婚約なさらないの？」

「アルベルト様はグリル伯爵家に対しても怒っていらっしゃいます。縁談は白紙に戻されたと聞いております」

「そう…わたくしのせいね…」

「違います！アルベルト様がお嬢様以外のご令嬢と婚約しようとしたのが間違いなのです！お嬢様が好きなのに…」

「マ、マリー！」

何故お兄様が私を好きだと？

「うふふ、お互い好きなのは、周りの者は皆、知っております。気が付いていらっしゃらないのは当人達だけですよ」

そうなの！？何て事でしょう！！

あっ…では、私が他人だと言う事も…。

「マリー、わたくしが侯爵家の者では無いと言う事も知っているの？」

マリーは狼狽え

「お嬢様、申し訳ありません。私からは何もお伝え出来ません」

そうよね…侍女が口に出して良い事では無い。

「さぁ準備が出来ました。アルベルト様が首を長くしてお待ちですよ」

「ありがとうマリー。今まで心配させて、ごめんなさい」

「そんな…勿体無いお言葉を…」

私は、そっとマリーを抱き締めた。

少しでも感謝の気持ちが伝われば良い。

記憶を失くしている間に、どれだけの人に迷惑を掛け心配させたのだろう…。

お父様、お母様にも謝りたい。

その為には、お兄様に話をして屋敷に戻る事にしないと…。