【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵

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呼び止める俺の言葉を無視してリリアナは、部屋を出て行ってしまった。

なぜ俺が屋敷を出ていくのだ?
出ていくのはリリアナだろう?
あいつ離婚を切り出されて頭が可笑しくなったのか?

俺は納得できずに執事に詰め寄る。

「この屋敷は奥様…リリアナ様の御両親が結婚祝いとして贈られたもの。お忘れですか?」

…そうだ…リリアナは、俺の名義にして欲しいと言ったが、義父がそれを許さなかった。
だから義両親と別居が出来るならリリアナ名義でも良いと思って俺がそれで良いと言ったのだ。
あー何で言ってしまったかなぁー。

あの時は義理の両親と同居するくらいなら、リリアナ名義でも別の屋敷で暮らしたかったんだよなぁ。

義父は、仕事人間の上に、強面で俺とは話が合わないし、俺を見下している様に思う。
義母は、ホワワァ~ンとして可愛い人なんだけれどなぁー。

そうか…この屋敷は出ないといけないのか…。
マリアに部屋を借りておいて良かった。
当面は、そこで暮らし、ゆくゆくは家を買おう。

俺はマリアと共に、自室へと向かう。

リリアナは、貴金属は持ち出すなっ!と言っていたが、俺の物だし、男物なんてリリアナには必要ないだろう。

服と共に、鞄に詰めようとした。

「旦…カイル様、そちらの品物は持ち出しは出来ません」

「はぁ?何でだよ!これは俺の物だ」

「リリアナ様の言葉をお忘れですか?カイル様のお給料で買われた物は持ち出して良いと承っておりますが…貴金属類で自分でお買いになられた物は御座いませんよね?」

「分かったよ!全く、あのケチ女、離婚を切り出されてムカッいたからって腹いせか!?」

俺は貴金属類を諦め、机の中を物色しようと机に触れる。

「あぁカイル様、机には触りません様に…」

「はぁ?何でだよ。俺の買った物は持っていって良いのだろう?」

「あなた様が買われた物は、そこには一切無いかと…」

「……分かったよ!」

あの女、ここまで性格が悪かったのか!?
離婚して正解だなっ!

鞄を持ち、マリアと屋敷を出ようとすると、執事に声を掛けられた。

何だ?俺が居なくなるのが悲しくて引き止めるのか?

「その時計とカフスボタン、それとタイピンも外して下さい。持ち出す事は出来ません」

「なっ!!」

別れの挨拶かと思えば…俺は顔を赤くして憤慨した。

コイツといい、リリアナといい、なんて性格の悪い奴らだ!!
本当に離婚して正解だなっ!!!

俺は、言われたものを外し、執事に投げつけた。

「お前とリリアナに関わらなくなると思うと清々するよ!行こう、マリア!」

その時の俺は、これからどうなるかなんて想像もしていなかった。

只これで愛するマリアと一緒に暮らせると有頂天になっていたのだ。
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