タツヤさんの悶絶調教物語

アサシン工房

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第1章 脱走した従業員

第10話 山賊の頭ガロン現る!

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 緑豊かな山から一変、山賊のアジトの中は薄暗い洞窟だ。
 アジトの中にも山賊どもが待ち受けていたが、俺たちはそいつらを調教しつつ先へ進む。
 そしてついにアジトの最深部の部屋にたどり着いた。部屋の奥からは凄まじい威圧感を感じるぜ。
 もしかすると、ここのボスは魔王より強いかもしれない。魔王より強い山賊のボスってどんな奴だよ!
 俺たち5人は気を引き締めて最深部の部屋の扉を開く。
 切り込み隊長レイさんが真っ先に前へ出て、山賊のボスに竹刀を向けて言葉を放つ。

「見つけたぞ! てめぇが山賊のボスだな!」
「やけに騒がしいと思ったら、貴様らが俺のアジトを荒らしていたのか」

 部屋の奥には、2本の角が生えたヘルメットを被った、大柄でムキムキマッチョのおっさんが待ち受けていた。
 魔王に続き、またムキムキマッチョのおっさんかよォ!?
 
「でっけぇなこいつ……。これじゃお持ち帰りできねーじゃねーか」
「いや、普通に無理でしょ……」
「この大男、凄いパワーを持ってそうだな……。こういうデカい奴は苦手だ……」

 山賊のボスを目の前にして動揺するミカエル。魔王は平気なのに山賊のボスは苦手とはたまげたなぁ。
 
「山賊のボス、ガロン! お前の悪行もここまでだ!」
「ジョンよ、今度はよそ者の用心棒を連れて俺へ挑戦しに来たのか。この間、俺に負けて傷を負ったばかりなのに懲りない奴だ」
「何とでも言うが良い。今度こそお前を懲らしめ、そして……これまでに無い屈辱を味あわせてやる!」

 戦闘要員では無いジョンは俺たちの力をあてにしているのか、やけに強気だ。
 
「その通りだぜぇ~。お前みたいなデカブツも俺の犬にしてやるぜぇ~」
「面白いことを言う奴だな! ますます殺してやりたくなったよ! 俺はこの山を支配する山賊の頭ガロン! 貴様らを倒し、村を完全に支配してやる!」

 ガロンは巨大な斧を構え、力を溜めるポーズを取る。やべぇよ……やべぇよ……。
 ここは敵の様子を見て回避に専念するべきか? それとも全員で総攻撃を仕掛けてガロンの攻撃を中断させるべきか……?
 そんなことを考えている間にガロンは斧を振り下ろし、地面に叩きつける!
 ドゴォンッ!!  という音と共に地響きが起き、地面に走った衝撃波が俺たちに襲いかかった!

「うわあああっ!!」
「痛いんだよおおおお!!!!(マジギレ)」
 
 衝撃により吹き飛ばされる俺たち! くっそぉ! こんな技があるなんて聞いてねぇぞ!
 
「みんな、大丈夫か!?」
「うん、なんとか……」
「ちくしょう……痛ぇ……」

 いきなり大技をぶっぱしやがって! もう許せるぞオイ!
 仲間全員がダメージを食らいながらも、俺はすぐに起き上がって攻撃態勢に入る。
 
「てめぇ……調子に乗ってんじゃねえぞオイ!」
「貴様、なかなか良い根性をしているじゃないか。気に入ったぞ。たっぷり遊んでやろう」
「言われなくてもそうさせてもらうぜぇ!」
 
 俺はさっきの一撃でガロンの力量を見極めた。あいつは間違いなく魔王より強い! なら俺も本気でいくまでだ。
 俺は貧弱な下半身で飛び掛かりながら思いっきりムチと散髪刀を振る。

「髪なんか必要ねぇんだよ!」
 
 こいつの頭をツルッパゲにして戦意喪失させてやるぜ!
 俺はガロンの頭部目掛けて散髪刀を突き出す。しかし、鋼鉄のヘルメットを被ったガロンの前ではあっさりはじき返されてしまった!
 俺が攻撃をはじき返されて怯んでいる隙に、ガロンは俺目掛けて斧を振り回してきた。
 
「ちょっと待て! そんなもん食らったら俺の体が真っ二つになっちまうダルルォ!?」
「構わん。死ねい!」

 俺の命もここまでか……と思ったその時、レイさんがガロンに接近して攻撃の構えを取った!

「じゃあオラオラ来いよオラァ!!」
「うぉっ!?」

 レイさんはおじさんブローでガロンの顔面を殴りまくる。
 さすがのガロンもレイさんのパワーと気迫の前には怯まずにいられなかったようだぜ。

「レイさん、ありがとナス! 死ぬかと思ったぜ……」
「タツヤさんも無理しすぎしちゃ駄目っすよ」

 気づくとレイさんはさっきのダメージから回復していた。レイさんだけではない。ミカエルとヨウスケも全快のようだ。

「ここでおれの超回復術が役に立ったよ!」
 
~超回復術~
 癒し効果を持つスプレーを撒いて味方全員の体力と状態異常を完全に回復させる、ヨウスケの必殺技。


 ついに明らかになったヨウスケの必殺技。敵を攻撃するスキルでは無いが、かなり頼もしいスキルだ。気づけば俺も体力回復していたぜ。
 一方、ガロンのほうはかなりイラついている様子だ。
 
「おのれ……。どこまでこのガロンの邪魔をするのか……。今度は貴様らも一緒に葬り去ってくれるわ!」

 ガロンは全身に闘気を纏い、再び斧を構える。
 
「来るぞ!」
「ああ! 俺らも全員で仕掛けるぜ!」
 
 俺はムチを構え、斧を握ったガロンの片手に巻き付けるようにムチを振る!
 そしてそのままムチを使ってガロンの体を縛り上げようとした。だが、ガロンは斧を持っていない方の手でムチを思い切り掴んだ。
 しまった……! 武器を奪って身動きを封じる作戦だったのに逆に奪われてしまった!
 
「くそっ……! 離せ!」
「ふんっ!」
「ぐあっ!?」
 
 ガロンは力任せにムチを引っ張ると、俺は体勢を崩して転んでしまう。くそっ……やられたぜ!
 
「タツヤ!」
「タツヤさん、大丈夫!?」
「くそっ! このままだとタツヤさんが危ない!」
 
 レイさんとミカエルとヨウスケが慌てて俺を助けようとする。だが、ガロンはその隙を見逃さなかった。
 
「甘いなぁ! はああっ!」
 
 ガロンは全力で斧を振り下ろす。斧の刃先からは衝撃波が発生し、それがレイさんたちに襲いかかった!
 
「ぐっ!」
「うわああああ!」
「痛ぇんだよおお!!(マジギレ)」
 
 レイさんたちは吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられる。みんな一撃でダウンかよォ!?

「さて、次は貴様だ……」
「やべぇよ……やべぇよ……」
 
 俺は恐怖のあまり震え上がっていた。そんな俺に向かって歩み寄ってくるガロン。

「くそっ……! どうすりゃいいんだよ……!」
「死ねぃ!」
「うおっ!」
 
 俺が怯えている間に、ガロンは俺目掛けて斧を振り下ろしてきた。
 俺は間一髪でそれを回避したが、ガロンの攻撃がこれで終わることは無く、怒涛の連続攻撃を仕掛けてくる!
 
「くらえいっ!」
「あぶねぇ!」
 
 俺は必死になって攻撃を避け続けた。上半身に比べて下半身が貧弱な俺ではすぐに息切れしそうな勢いだぜ。
 ついに俺は疲れからか、足を滑らせて転倒してしまった!

「ちょこまかと逃げ回りおって! 無駄な抵抗はやめてさっさと死ねい!」
「ちょっ……ガロンさん、歯向かって申し訳ナイス! だから助けて……!」

 もはや絶体絶命のその時、遠方から無数の弾丸がガロンに襲い掛かった!
 ガロンは「ぐあっ!」と声を上げながら両手で顔を塞ぐ。
 ミカエルのラピッドファイアがガロンにダメージを与え、更に弾丸に塗られた毒がガロンの視界と体力を奪っていった。

「待たせたな。奴の視界が失われている今のうちに総攻撃を仕掛けるぞ」

 さすが状態異常のスペシャリストだ。やはりこいつを雇っておいて正解だったぜ。
 
「さて、オレたちもリベンジと行こうぜ!」
「ジョンさんのおかげで早く回復できたよ。さぁ、今のうちに攻めよう」
「俺の支援を忘れてもらっちゃ困るぜ」

 レイさんとヨウスケも無事回復したようだ。そういやジョンが後方から回復支援をやってくれたことをすっかり忘れていたぜ。ジョンよ、感謝するぜ。

「この……くたばり損ないめ!……ハァ……ハァ」

 今のガロンは疲れ切っている様子だ。その上、ミカエルが放ったラピッドファイアの追加効果の毒・暗闇状態が効いている。

「貴様らまとめて両断してやるわ!」

 それでもガロンは再び斧を構え、それを振り回そうとする。
 だが、ガロンの動きが鈍っている隙にレイさんが先制して飛び出した。
 
「誰が大声出していいっつったオイオラァ!」

~小手討ち~
 敵の腕を狙いうち、少しの間攻撃力を減少させるレイの物理攻撃スキル。


 レイさんが竹刀でガロンの腕を力いっぱい叩きつけると、ガロンは「うおっ!」と声を上げて怯んだ。
 その隙にミカエルが二丁拳銃でガロンへ向けて銃弾を連射する。
 更にヨウスケがガロンの背後に回り、手に持っている棒でガロンの背中を突きまくる!
 ガロンは疲労とダメージが重なり、もはや身動きが取れない状態だ。
 さーて、そろそろトドメの一撃いくぜ~。
 
「堕ちろォ!」

 俺はムチによる渾身の一撃をガロンに食らわせた。
 ガロンは片膝を地面につき、ぐったりしている。

「ぐっ……! この俺がこんな弱そうな奴らに負けるとは……!」
「さーて、そろそろ調教タイム行くぜ~」
「オラッ! 分かったらとっととお手をしろォ!」

 俺とレイさんは瀕死のガロンにひたすら鞭打ち続ける。
 
「よーし、山賊調教完了!」
「ワン……ワン……」

 キムラ村を脅かしていた山賊の頭ガロンは改心し、俺たちの従順な犬奴隷となったのだ。
 
「うわぁ……これは……(ドン引き)」
「あの大男を調教するなんて、タツヤさんは恐ろしい……」
「あのガロンがこんな無様な姿に……しかし何だこれは……たまげたなぁ……」

 ガロンの無様な姿を見てドン引きするミカエル、ヨウスケ、ジョン。
 しかし、ジョンだけはドン引きするフリをして笑っているようにも見える。この後、俺たちに調教されるとも知らずに。
 
「約束だ。お前も一緒に調教してやるぜぇ~」
「そうそう! それがいいぜ!」
「な、何をする!? ……うわああああああああ!」

 こうしてジョンも従順な犬奴隷となりましたとさ。めでたしめでたし。

「よぉーし、村に戻ってトームと船のチケットを受け取りに行くぜ!」

 俺たちは山賊のアジトを後にし、山を下りキムラ村へ帰っていった。
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