転生遺族の循環論法

はたたがみ

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第1章 民間伝承研究部編

転生少女と研修4

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 転移した先で待ち受けていたのは、辺りを埋め尽くすゴブリンさん、ゴブリンさん、1つ飛ばしてゴブリンさんでした。

「おいリリィ、何でど真ん中に転移しやがった?全方位敵とか戦で1番負けやすいパターンだぞ!」

 あー、確かに地球でもそんな感じで決着ついた戦争ありましたね。だがしかし、

「問題ありません。私たちはかーなーり強いです。イデシメさん!」
「うん、コヨ!」
「バウ!」

 コヨ君がイデシメさんを乗せて走り出します。そしてゴブリンの群れに飛び込むと、

「ガウッ!」
「グギャー!」

 食い散らかしてますね。これは凄い。

「私も行きます。カール君、リムノさん、援護をお願いします!」
「あいよ!」
「まっかせっなさーい!」

 私の履いている靴、これにもあるスキルを付与しています。その名は……

「〈超音速メロス〉!」

 〈超音速メロス〉、このスキルは装備している者、つまり私のを操ることができます。100メートルも9秒どころか2秒台待ったなし!某お笑い芸人さんもびっくりです。

 一瞬でゴブリンたちに近づきながら、私は〈無限格納エイトボックス〉から竹刀サイズのヒノキの棒を取り出します。その名もヒノキの棒・長剣!

「やぁー!メーーーン!」

 ゴブリンの群れの間を通り過ぎながら、手当たり次第に奴らの頭をぶっ叩きます。

「グヘッ!」
「ギャァッ!」
「ギィッ!」

 攻撃された個体は軒並み頭が吹っ飛んでいきます。これは凄い。初めて使いましたけど、想像以上のスキルです。
 ヒノキの棒・長剣に授けたスキルは〈筋力増強ブースト〉にあらず。スキル〈有効打突〉。まあざっくり言うと、剣道で一本になる箇所への攻撃ならば致命傷レベルのダメージを与えられるスキルです。ただし、頭、手の甲、胴体には打撃を、喉には突きを喰らわせないといけません。しかし、この4カ所に当てさえすれば〈筋力増強ブースト〉以上の威力です。

「はぁ、ゴブリンさん、貴方達、弱いですね」

 骸となったゴブリンたちに向かってそう言い放った時、

「リリィちゃん、後ろ!」

 リムノさんの叫びで後ろを振り返ります。すると、1匹のゴブリンが鉈を振り回しながら迫ってきていました。が、

「問題ありません」

「ギエッ!」

 突然ゴブリンがバラバラに切り刻まれました。そこそこの人間を襲うつもりだったんでしょうけど、サイコロステーキになってしまいましたね。

「助かりました、イデシメさん」
「へへへ、上手くできた?」

 よーく目を凝らすと、そこにはぴーんと張った白い線が揺れていました。ゴブリンを殺したのはイデシメさんの武器です。それは、糸。我が家にあった縫い物用の糸を拝借しました。これをイトノコのようにしてゴブリンを倒したというわけです。


「みんな、気をつけて!第二波が来るわ!」

 再びリムノさんの叫びで気を引き締めます。しかし群れは森の奥にいるのかまだ見えていません。見つけられたのはの効果でしょうか?

「俺も働かねえとな。リリィたちが鉢合わせる前に削り取ってやらぁ!風魔法 頽馬だいば!」

 カール君が杖を掲げると、360°全方向につむじ風の刃が飛んでいきます。木々の間を縫って飛んで行き、やがてどこかで獲物を切り裂きます。

「……多分、7割削った」
「あらあら。私の出番無さそうね」

 カール君は努力の天才です。6年間授業だけでなく自主トレ、私の母さんのスパルタ訓練を耐え抜いた結果、魔法の精度では私ですら敵わなくなりました。

「……にしても変ね」
「どうしたんですか?」

 リムノさんが違和感を訴えてきました。

「2時の方向、カール君の魔法を受けて微動だにしない奴がいるわ」
「なっ!」
「カール君の魔法が効かんって、それこじゃんと強うないかえ?」
「行ってみますか?」
「いいえ、まずは見てみましょう」

 リムノさんが息を整えたのち、再びスキルを発動します。

「スキル発動 〈立体座標ジ・エンド〉」

 リムノさんのスキルは要約すると千里眼。空間をx,y,zの3種類の座標で把握でき、どの座標に何があるかを判断できます。また、探している物がどこにあるかも探索可能だとか。

「……見えた!あ、あれは……!」



「ふぅ~危ない危ない。11歳であれだけの風魔法を使うなんて」

 森の奥、彼女は驚いていた。彼らの実力を侮っていたつもりは無いが、それでもその能力には驚きを隠さざるを得なかった。

「それにリリィちゃん、あれだけのゴブリンを一瞬で倒すなんて。流石はあの子の姉……いや、家で判断しちゃダメね。しっかりしなさい、キナ」

 自分の行動を叱責しながら、彼女、キナはこれからの行動について思案していた。

「ゴブリンは軒並み全滅してるし、リリィちゃんも見れたし、帰ろっと。うん、それがいいわ!」

 キナがここにきた目的はリリィだ。彼女の実力を確かめようとしたのだ。
 彼女がエウレアールの学園で既に6年生になっていることは知っていた。学園の設けている研修制度についてもだ。故にこの場所にリリィがやってくるのではないかと踏んでいたのだ。ここに来なくても別に良かったのだが。

「えーっと王都はこっちだったわね。……ん?」

 キナが王都に戻ろうとしたその時、がやってきた。

 木々の間を飛ぶように、駆け抜けるように、木を障害物ではなく加速するための足場とするかのように、ヒノキの棒・双剣を手に持ったリリィがキナ目掛けて向かってきた。

「セイヤーーーー!」

 リリィが右手を振りかぶり、キナ目掛けて叩きつける。

「……!」

 キナに命中するはずだった打撃は、背後の木に激突、木を爆散させた。

「もう、急に殴ろうとするなんて危ないわよ、リリィちゃん」
「……なぜ私の名を知ってるんですか?吸血鬼さん」
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