転生遺族の循環論法

はたたがみ

文字の大きさ
44 / 167
第1章 民間伝承研究部編

転生遺族と自称ライバル4

しおりを挟む
 期末テストを乗り切ったある日、虚縦軸は生徒会に呼び出された。

(このタイミングで何の用だよ……)

 ていりと除の攻防ラブコメに巻き込まれたせいで縦軸の毎日は普段より賑やかになってしまった。ちなみに縦軸としては喜ばしくない。
 そんな最中での生徒会からの呼び出しである。なるべく厄介ごとにはならないで欲しいが、校内において絶大な権力を有する生徒会に関わった時点でそれは諦めてもいいだろう。何を隠そう縦軸は1度彼らと積元家のあれこれに巻き込まれている。おまけに最近、謎の激務を押し付けられたこともある。

「失礼します。虚です」

「おう、よく来たな縦軸」
「ふふふ、君のことを待っていたよ」

 いつもと変わらない調子の対と弦。

「君には大切な任務を任せたいんだ」
「記には既に準備を頼んでてな、人手が足りねえんだ。頼む虚、力を貸してくれ」
「あ、いや、手伝いはいいんですけど。その……何ですか、

 2人の目は真剣だった。同じ場にいるだけで足から動かなくなりそうだ。それほどの気迫、それほどに鬼気迫る佇まい。
 だからこそミスマッチだった。対の虹色アフロと弦のパーティー用三角帽子が。

「ん?もしかして知らねえのか?」
「やれやれ、どうやらまだまだ僕たちの方が1枚上手のようだね」
「入江先輩、知的に微笑みながら鼻メガネをかけるのはいかがかと……むぐっ!」

 困惑する縦軸へピロピロ笛を押しつけながら対が話始める。

「もうすぐ微の誕生日なんだよ。んでサプライズを計画中ってわけ」

 何故ピロピロ笛を咥える羽目になったのかよく分からないが、対たちの格好の謎は解けた。微の誕生日パーティーのための準備なのだろう。

「事情はわかりました。でも僕、今ちょっと忙しくて」
「三角のことだろ。本人からもこっち手伝わせて欲しいって言質はとってるよ」
「はあ……」

 先手を打たれていたことを知り、縦軸は脱力感を覚えた。この調子だと抗う術が残されている可能性は低い。勝ち負けを争うとき特有のりきみが音を立てて抜けていくかのようだった。

 腹を括った縦軸は弦を見据えた。

「……わかりました。精一杯頑張ります」
「俯きながら言ってきたらどうしてやろうかと思っていたけど、君は本当にいい奴だね。微と仲良くしてくれて嬉しいよ」

 知らぬ間に試されていたと分かる縦軸。さっきまでより柔らかくなった弦の笑顔が逆に怖かった。

「それで、肝心の先輩の誕生日っていつなんですか?」
「ああ、そうだな。教えとかねえと。微の誕生日はな……」


 7月14日だよ


「え?」

 スキルを持っている。そんな共通点を持つ初めての相手だったから、微に対してはどこか不思議な親しみを覚えていた。誤解を恐れずに言うと、家族のようにも思えた。
 けどそれはそれだ。例えば、人並外れた視力の持ち主が自分と同等の目を持つ人間に出会ったとしよう。もしかすると感慨深いかもしれないが、ときめきはしないだろう。共通点に温もりがないのだ。
 縦軸と微の場合もそうだ。どちらもスキル持ちと知って、それで親しくなったとしても神秘よりもっと知的な不思議さが勝ってしまう。

 けど今回は違った。スキルよりもよっぽど可能性が高いとしても、誕生日が同じ相手に出会うというのは特別に思われた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

恋してしまった、それだけのこと

雄樹
恋愛
小学3年生の女の子が、母の妹に恋をした。 星野未来(ほしのみく)は、母の妹である水瀬沙織(みなせさおり)に恋をした。 出会ったとき、未来は8歳。 沙織は20歳の大学生だった。 優しくて、少し不器用で、どこか寂しそうなその人が好きな人は、私ではなく…私の「母」だった。 一生でたったひとつの初恋。 言葉にできない想いを抱えたまま、少女は季節を重ねていく。 あなたは私の叔母で。 あなたは私と同性で。 あなたは私と12歳も歳が離れていて。 あなたが好きな人は…私じゃなくて。 それでも、この初恋を諦めることは出来なかった。 これは、ひとりの少女の、恋のはじまりと記憶の物語。

処理中です...