転生遺族の循環論法

はたたがみ

文字の大きさ
46 / 167
第1章 民間伝承研究部編

転生遺族と自称ライバル6

しおりを挟む
「「「微、縦軸、お誕生日おめでとー!」」」

「「…………あれ?」」

 縦軸と微は互いに困惑した。

「な、何で私まで⁉︎今日はサプライズでしょ?」
「え、僕のための?先輩のためではなくて?」
「わ、私のため⁉︎」

 顔を見合わせて戸惑いあう縦軸と微。

「おやおや、その様子だとまだよくわかってないようねえ」

 ドヤ顔の作子が話しかけてくる。そして縦軸と微が訊く前にそのまま話し始めた。

「あんたたちが誕生日一緒って聞いて、『じゃあ2人まとめてサプライズしてやろう』ってことになったんだよ。あんたたちにはお互いのための誕生日パーティーだって伝えてね」

 ここまで来て2人はやっと理解した。つまり生徒会の面々が縦軸に「ためのサプライズだ」と言っていたところから既に罠。ターゲットには縦軸本人も含まれており、縦軸は自分もびっくりさせる側だと思い込まされていた。そして微にも同じ方法を使ったのだろう。

「縦軸、びっくりした?」

 珍しくにこやかな表情のていりがそう訊いてくる。予想はしていたが、ここでも恋人設定は貫くようだ。

「うん、びっくりしたし嬉しいよ」



 素子が調子に乗ったのか、ケーキはもちろんその他の食事もやけに豪華だった。普段の人数ならば確実に食べ切れなかっただろう。
 その後は音が知り合いに勧められたという哲学者を美少女化した謎のMMORPGが予想以上に盛り上がったりととにかく騒がしかった(ちなみにプラトンが強かった)。

「ふにゃ~」

 1人だけビールを楽しんでいた作子が寝てしまった。本日の主役である縦軸と微よりもはしゃいでいたせいで途中で生徒会の3人は呆れてしまった。

「原前先生、普段はこんななんだね。」
「授業の時はそれなりにしっかりしてるってのに。これあれか、ギャップ萌えってやつか?」
「対、それは萌えるときに使いましょう」

 そんな生徒会を他所目に縦軸は作子を肩で担いでせっせと介抱を始めた。

「母さん、もうこのまま泊めた方がいいんじゃないかな?」
「そうね。私の部屋に運んでくれる?」
「わかった」

「虚、なんか落ち着いてるな」
「まあ、作子は酒弱いし、姉の誕生日のときもこうやってはしゃいだ挙句に寝ちゃったことがあったんで」
「なるほど、そういえば君たちは幼馴染なんだっけ」
「はい、彼女が姉の友人なので」

 そこで現在形を使う縦軸、しかしその顔は何故か闇を感じられなかった。無理のない自然な明るさの笑顔。

「虚、あんたなんかあったわけ?」

 一緒に暮らしている所為か、音が縦軸の変化を真っ先に感じ取った。

「何でも。強いて言うなら……積元先輩のおかげ、かな」

 優しい笑顔。楽しい思い出でも話しているかのような縦軸をみてある人物が少し機嫌を斜めにした。

「縦軸」
「ん?どうしたのていり?」
「縦軸は私のものなんだからね。」
「え、ええっと……ごめん。僕もていりのことが大好き……あ」

 瞬間、素子を筆頭に事情を知らない者約1名が硬直した。音は「やってしまったな」と言わんばかりに頭を抱え、微は状況が分からずボケーっとしている。

「たぁーとぅぇーずぃーくぅー」

 その声は確かに母素子のそれだ。だが今目に映っているのは素子ではない。年頃の息子からあれやこれやと話を聞きたいだけの魔物ボスキャラだ。

「か、母さん、ええと、その」

 肩を掴まれた。逃げられない。

「ねえねえねえ、ていりちゃんと付き合ってたの⁉︎いったいいつから。普段どんなかんじなの?学校行くときに手をつないだりしちゃってるの?きゃあー青春ね。私も若い頃お父さんとああこの話は今はどうでもいいわ。それでそれで、ていりちゃんのどんなところが好きなの?全部ってのは無しよ。気持ちはわかるけど私はそんなんじゃ満足しないんだから。そうだていりちゃん、後で2人っきりで話さない?縦軸のこと色々聞きたいわ」

「素子さん落ち着いて!う、虚のやつ意識がない!三角、呆然としてないであんたもどうにかしなさいよ!こら生徒会、帰ろうとすんなーーーー!」

「……わあ、にぎやかだなあ」

「空気読めせんぱぁーーーーーーーい!」

 音曰く、「疲れた」とのことであった。
 ちなみにその後ていりも素子から質問攻めに遭ったが全て余裕の笑顔で躱したという。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

修復術師は物理で殴る ~配信に乱入したら大バズりしたので公式配信者やります~

樋川カイト
ファンタジー
ソロでありながら最高ランクであるSランク探索者として活動する女子高生、不知火穂花。 いつも通り探索を終えた彼女は、迷宮管理局のお姉さんから『公式配信者』にならないかと誘われる。 その誘いをすげなく断る穂花だったが、ひょんなことから自身の素性がネット中に知れ渡ってしまう。 その現実に開き直った彼女は、偶然知り合ったダンジョン配信者の少女とともに公式配信者としての人生を歩み始めるのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...