56 / 167
第1章 民間伝承研究部編
転生少女と卒業試験2
しおりを挟む
「り、リムノさん⁉︎」
私に声をかけてきたのは、以前研修でお世話になったAランク冒険者のリムノさんでした。
「そそそ、その節は勝手な行動をしてしまい……すんませんでしたああああ!」
全力の土下座です。
「リリィ、取り敢えずその変な姿勢止めろ!お久しぶりですリムノさん」
「お、お久しぶりでふ!」
カール君、これは不正を犯した銀行員等に求められる必須スキルなんです。止めないでください。そしてイデシメさん噛みましたね。悔しいけど可愛いです。
「ふふ、相変わらず賑やかね。ソロの身としては羨ましいわ」
ああ、大人の余裕です。5歳しか変わらないというのに。まだ16歳だというのに。
「取り敢えず座って話しましょう。久しぶりに会えたんだし」
同級生たちが懸命に戦うのを見ながら私たちは楽しくおしゃべりしていました。
「へえ、魔法の授業でリリィちゃんが?」
「そうなんすよ。いきなり先生に『空間魔法の訓練はしないんですか?』って言いやがって」
「うぅ……だってそんなに難しい魔法だなんて思わなかったんだですもん」
「あのなぁ、誰でも転移使えたら馬はいらねえっつーの」
「あ、でも、空間魔法と雷魔法以外ならカール君の方が得意でね?」
「あら、そうなの?」
「まあ、俺は魔法頑張らねえとこいつらの役に立てないんで。セシリアさんにも鍛えてもらってますし」
「セシリアさんってリリィちゃんのお母さんよね?Sランク入りも噂されてるっていう」
「はい、私も最初は母に魔法を教わりました。雷魔法を1週間で覚えたらすっごく褒めてくれて、それで頑張ろうって思ったんです」
「1週間で……やっぱりリリィちゃんね」
リムノさんはどちらかと言えば私たちの話しを聞くのを楽しんでる感じです。子供がおはなしするのを聞いて微笑む母親のような。
とはいえ、彼女があまりにも自分のことを話さないので少し気になってきました。
「リムノさん、リムノさんの話を聞かせてもらえませんか?何で冒険者になったのかとか、これまで受けたクエストのこととか」
「あら、気になる?」
「はい!」
「俺も聞きたいです」
「私も」
「そうね、じゃあ長くなるけど話しちゃおうかしら。まず冒険者になろうと思ったのはね……」
リムノさんはエルフの里に生まれました。といっても純血のエルフは彼女のお爺さんだけで、お婆さんとお父さんは人間です。お婆さんは寿命の関係で既に亡くなられており、リムノさんと彼女のご両親も寿命で言えば人間とあまり変わらないとか。
少し閉鎖的な面があるエルフ族ですがクォーターの彼女も暖かく受け入れられ、すくすくと成長していきました。
「割と平穏に暮らしてたんだけどね、10歳のときに色々あって」
「色々ですか?」
「ええ。強いて言うなら、『力』を授かったってところかしら」
彼女はその『力』を使いこなすために修行を重ね、13歳になる頃には里の誰にも負けないくらいに強くなったそうです。
「授業で習ってると思うけど、エルフって弓が好きじゃない?自慢じゃないけどその頃には私に弓で勝てるエルフはいなくなっちゃったのよね。
ましてや私、〈立体座標〉のスキルのおかげで絶対外さないし」
里にいてもそれ以上強くなれないと考えたエルフたちは彼女に旅に出ることを勧めたそうです。
「私も賛成だったわ。実際それまで里に引きこもってて碌にお出かけしたこともなかったもの。色んな場所を見て回りたかったのよ。それに」
「それに?」
「それに……やりたいことがあったから」
「?」
「うふ、リリィちゃんには、な・い・しょ。
まあとにかく、旅もできて強くなれる。冒険者ってのは私にぴったりの職業だったのよ」
どこか遠くを見つめながら語る彼女は少し切なそうで、だけど達成感を覚えているようにも見えました。
あの碧い目は、今どこをみているのでしょうか。
「さて、続きも話してあげたいけどそろそろ行かなくちゃ。あなたたちも準備したら?」
「そうですね。リムノさん、貴重なお話ありがとうございました!」
「ふふ、試験頑張ってねリリィちゃん。カール君とイデシメちゃんもね」
「はい!」
「が、がんばりましゅ!」
「またねー!」
こうしてリムノさんは去っていきました。
「よし、俺たちも行くか!」
「はい!」
「まかしちょき!」
間もなく私たちの試験です。大丈夫、私たちなら誰が相手でも怖くない。たとえその相手がリムノさんであっても。
私に声をかけてきたのは、以前研修でお世話になったAランク冒険者のリムノさんでした。
「そそそ、その節は勝手な行動をしてしまい……すんませんでしたああああ!」
全力の土下座です。
「リリィ、取り敢えずその変な姿勢止めろ!お久しぶりですリムノさん」
「お、お久しぶりでふ!」
カール君、これは不正を犯した銀行員等に求められる必須スキルなんです。止めないでください。そしてイデシメさん噛みましたね。悔しいけど可愛いです。
「ふふ、相変わらず賑やかね。ソロの身としては羨ましいわ」
ああ、大人の余裕です。5歳しか変わらないというのに。まだ16歳だというのに。
「取り敢えず座って話しましょう。久しぶりに会えたんだし」
同級生たちが懸命に戦うのを見ながら私たちは楽しくおしゃべりしていました。
「へえ、魔法の授業でリリィちゃんが?」
「そうなんすよ。いきなり先生に『空間魔法の訓練はしないんですか?』って言いやがって」
「うぅ……だってそんなに難しい魔法だなんて思わなかったんだですもん」
「あのなぁ、誰でも転移使えたら馬はいらねえっつーの」
「あ、でも、空間魔法と雷魔法以外ならカール君の方が得意でね?」
「あら、そうなの?」
「まあ、俺は魔法頑張らねえとこいつらの役に立てないんで。セシリアさんにも鍛えてもらってますし」
「セシリアさんってリリィちゃんのお母さんよね?Sランク入りも噂されてるっていう」
「はい、私も最初は母に魔法を教わりました。雷魔法を1週間で覚えたらすっごく褒めてくれて、それで頑張ろうって思ったんです」
「1週間で……やっぱりリリィちゃんね」
リムノさんはどちらかと言えば私たちの話しを聞くのを楽しんでる感じです。子供がおはなしするのを聞いて微笑む母親のような。
とはいえ、彼女があまりにも自分のことを話さないので少し気になってきました。
「リムノさん、リムノさんの話を聞かせてもらえませんか?何で冒険者になったのかとか、これまで受けたクエストのこととか」
「あら、気になる?」
「はい!」
「俺も聞きたいです」
「私も」
「そうね、じゃあ長くなるけど話しちゃおうかしら。まず冒険者になろうと思ったのはね……」
リムノさんはエルフの里に生まれました。といっても純血のエルフは彼女のお爺さんだけで、お婆さんとお父さんは人間です。お婆さんは寿命の関係で既に亡くなられており、リムノさんと彼女のご両親も寿命で言えば人間とあまり変わらないとか。
少し閉鎖的な面があるエルフ族ですがクォーターの彼女も暖かく受け入れられ、すくすくと成長していきました。
「割と平穏に暮らしてたんだけどね、10歳のときに色々あって」
「色々ですか?」
「ええ。強いて言うなら、『力』を授かったってところかしら」
彼女はその『力』を使いこなすために修行を重ね、13歳になる頃には里の誰にも負けないくらいに強くなったそうです。
「授業で習ってると思うけど、エルフって弓が好きじゃない?自慢じゃないけどその頃には私に弓で勝てるエルフはいなくなっちゃったのよね。
ましてや私、〈立体座標〉のスキルのおかげで絶対外さないし」
里にいてもそれ以上強くなれないと考えたエルフたちは彼女に旅に出ることを勧めたそうです。
「私も賛成だったわ。実際それまで里に引きこもってて碌にお出かけしたこともなかったもの。色んな場所を見て回りたかったのよ。それに」
「それに?」
「それに……やりたいことがあったから」
「?」
「うふ、リリィちゃんには、な・い・しょ。
まあとにかく、旅もできて強くなれる。冒険者ってのは私にぴったりの職業だったのよ」
どこか遠くを見つめながら語る彼女は少し切なそうで、だけど達成感を覚えているようにも見えました。
あの碧い目は、今どこをみているのでしょうか。
「さて、続きも話してあげたいけどそろそろ行かなくちゃ。あなたたちも準備したら?」
「そうですね。リムノさん、貴重なお話ありがとうございました!」
「ふふ、試験頑張ってねリリィちゃん。カール君とイデシメちゃんもね」
「はい!」
「が、がんばりましゅ!」
「またねー!」
こうしてリムノさんは去っていきました。
「よし、俺たちも行くか!」
「はい!」
「まかしちょき!」
間もなく私たちの試験です。大丈夫、私たちなら誰が相手でも怖くない。たとえその相手がリムノさんであっても。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
修復術師は物理で殴る ~配信に乱入したら大バズりしたので公式配信者やります~
樋川カイト
ファンタジー
ソロでありながら最高ランクであるSランク探索者として活動する女子高生、不知火穂花。
いつも通り探索を終えた彼女は、迷宮管理局のお姉さんから『公式配信者』にならないかと誘われる。
その誘いをすげなく断る穂花だったが、ひょんなことから自身の素性がネット中に知れ渡ってしまう。
その現実に開き直った彼女は、偶然知り合ったダンジョン配信者の少女とともに公式配信者としての人生を歩み始めるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる