転生遺族の循環論法

はたたがみ

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第1章 民間伝承研究部編

転生少女と卒業試験2

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「り、リムノさん⁉︎」

 私に声をかけてきたのは、以前研修でお世話になったAランク冒険者のリムノさんでした。

「そそそ、その節は勝手な行動をしてしまい……すんませんでしたああああ!」

 全力の土下座です。

「リリィ、取り敢えずその変な姿勢止めろ!お久しぶりですリムノさん」
「お、お久しぶりでふ!」

 カール君、これは不正を犯した銀行員等に求められる必須スキルなんです。止めないでください。そしてイデシメさん噛みましたね。悔しいけど可愛いです。

「ふふ、相変わらず賑やかね。ソロの身としては羨ましいわ」

 ああ、大人の余裕です。5歳しか変わらないというのに。まだ16歳だというのに。

「取り敢えず座って話しましょう。久しぶりに会えたんだし」



 同級生たちが懸命に戦うのを見ながら私たちは楽しくおしゃべりしていました。

「へえ、魔法の授業でリリィちゃんが?」
「そうなんすよ。いきなり先生に『空間魔法の訓練はしないんですか?』って言いやがって」
「うぅ……だってそんなに難しい魔法だなんて思わなかったんだですもん」
「あのなぁ、誰でも転移テレポート使えたら馬はいらねえっつーの」

「あ、でも、空間魔法と雷魔法以外ならカール君の方が得意でね?」
「あら、そうなの?」
「まあ、俺は魔法頑張らねえとこいつらの役に立てないんで。セシリアさんにも鍛えてもらってますし」
「セシリアさんってリリィちゃんのお母さんよね?Sランク入りも噂されてるっていう」
「はい、私も最初は母に魔法を教わりました。雷魔法を1週間で覚えたらすっごく褒めてくれて、それで頑張ろうって思ったんです」
「1週間で……やっぱりリリィちゃんね」

 リムノさんはどちらかと言えば私たちの話しを聞くのを楽しんでる感じです。子供がおはなしするのを聞いて微笑む母親のような。

 とはいえ、彼女があまりにも自分のことを話さないので少し気になってきました。

「リムノさん、リムノさんの話を聞かせてもらえませんか?何で冒険者になったのかとか、これまで受けたクエストのこととか」
「あら、気になる?」
「はい!」
「俺も聞きたいです」
「私も」

「そうね、じゃあ長くなるけど話しちゃおうかしら。まず冒険者になろうと思ったのはね……」


 リムノさんはエルフの里に生まれました。といっても純血のエルフは彼女のお爺さんだけで、お婆さんとお父さんは人間です。お婆さんは寿命の関係で既に亡くなられており、リムノさんと彼女のご両親も寿命で言えば人間とあまり変わらないとか。

 少し閉鎖的な面があるエルフ族ですがクォーターの彼女も暖かく受け入れられ、すくすくと成長していきました。

「割と平穏に暮らしてたんだけどね、10歳のときに色々あって」
「色々ですか?」
「ええ。強いて言うなら、『力』を授かったってところかしら」

 彼女はその『力』を使いこなすために修行を重ね、13歳になる頃には里の誰にも負けないくらいに強くなったそうです。

「授業で習ってると思うけど、エルフって弓が好きじゃない?自慢じゃないけどその頃には私に弓で勝てるエルフはいなくなっちゃったのよね。
 ましてや私、〈立体座標ジ・エンド〉のスキルのおかげで絶対外さないし」

 里にいてもそれ以上強くなれないと考えたエルフたちは彼女に旅に出ることを勧めたそうです。

「私も賛成だったわ。実際それまで里に引きこもってて碌にお出かけしたこともなかったもの。色んな場所を見て回りたかったのよ。それに」
「それに?」
「それに……やりたいことがあったから」
「?」
「うふ、リリィちゃんには、な・い・しょ。
 まあとにかく、旅もできて強くなれる。冒険者ってのは私にぴったりの職業だったのよ」

 どこか遠くを見つめながら語る彼女は少し切なそうで、だけど達成感を覚えているようにも見えました。
 あの碧い目は、今どこをみているのでしょうか。

「さて、続きも話してあげたいけどそろそろ行かなくちゃ。あなたたちも準備したら?」
「そうですね。リムノさん、貴重なお話ありがとうございました!」
「ふふ、試験頑張ってねリリィちゃん。カール君とイデシメちゃんもね」
「はい!」
「が、がんばりましゅ!」
「またねー!」

 こうしてリムノさんは去っていきました。

「よし、俺たちも行くか!」
「はい!」
「まかしちょき!」

 間もなく私たちの試験です。大丈夫、私たちなら誰が相手でも怖くない。たとえその相手がリムノさんであっても。
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