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第五章
【アリッサの特別 02】
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アリッサは学業に真剣に向き合っていたが、色恋に無頓着だったというわけでない。
むしろ関心は高いほうだったし、女と男の体の違いにも興味があったので、ベッドの上で試したいことも多かったのだ。
昔から中性的な体つきや顔立ちで誤解されてきたが、アリッサは自分がどこまでも女でしかないと認識している。
愛するのも愛されるのも好きだ。好意を持った相手の体を触りたいし、隅々まで暴きたい。自分のことも知って欲しい。感情表現は素直でスマートな方が好きなのだ。
マルギットの弟は、名前をトレネンだと名乗った。始めは抵抗していたが、姉と同じで煽られるのに弱く、すぐにグズグズになるのが大層可愛らしかった。
姉が頑なに話そうとしなかった家族のことも洗いざらい話してくれたので、次は入れ替わるのではなく二人一緒においでと耳元で囁いたら、トレネンは蜂蜜色の瞳をトロトロにしながら「はい……」と頷いた。
翌日弟と一緒に現れたマルギットは肩を怒らせてはいたが、いつもより興奮していた。
彼女にとっても、三人で戯れる夜は悪い状況ではなかったのだ。
興味の赴くまま、好奇心に従って過ごせる女学校時代は、楽しいことでいっぱいだった。
イルザのことは多少面倒臭かったが、常に気になるというほどのことでもなかった。
彼女はアリッサのことが好きでたまらないくせに、どこまでも好意を認めようとはしなかった。それなのにアリッサのことを、自分をどこか遠くへ連れ去ってくれる王子様か何かのように思い込んでいる節がある。
「拗らせ方が分かりやすくて、可愛らしいじゃないですか」
と、同情したトレネンが取りなしてきたことまであったが、アリッサは基本的にイルザには無関心だった。
しかし唯一、絶対に許せないと思ったことがある。アリッサの研究結果を奪って破こうとしたことがあるのだ。
気を引きたいからって、そんな真似をするような人間を、どうやって好きになれというのか。
結局イルザは、アリッサの外見しか見ていないのだ。
アリッサにとって何が大切なのか、特別なことは何なのかを、まるで理解しようとはしない。時折周囲から言われるように、外見だけを見て、中性的で格好良いとか思っているのだろう。
イルザは在学中も、婚約者候補と会うように父親からの手紙で急かされているようだった。
恐らくアリッサは、疑似恋愛相手に選ばれたのだ。イルザが自分の父親の束縛から、逃れる為の。
むしろ関心は高いほうだったし、女と男の体の違いにも興味があったので、ベッドの上で試したいことも多かったのだ。
昔から中性的な体つきや顔立ちで誤解されてきたが、アリッサは自分がどこまでも女でしかないと認識している。
愛するのも愛されるのも好きだ。好意を持った相手の体を触りたいし、隅々まで暴きたい。自分のことも知って欲しい。感情表現は素直でスマートな方が好きなのだ。
マルギットの弟は、名前をトレネンだと名乗った。始めは抵抗していたが、姉と同じで煽られるのに弱く、すぐにグズグズになるのが大層可愛らしかった。
姉が頑なに話そうとしなかった家族のことも洗いざらい話してくれたので、次は入れ替わるのではなく二人一緒においでと耳元で囁いたら、トレネンは蜂蜜色の瞳をトロトロにしながら「はい……」と頷いた。
翌日弟と一緒に現れたマルギットは肩を怒らせてはいたが、いつもより興奮していた。
彼女にとっても、三人で戯れる夜は悪い状況ではなかったのだ。
興味の赴くまま、好奇心に従って過ごせる女学校時代は、楽しいことでいっぱいだった。
イルザのことは多少面倒臭かったが、常に気になるというほどのことでもなかった。
彼女はアリッサのことが好きでたまらないくせに、どこまでも好意を認めようとはしなかった。それなのにアリッサのことを、自分をどこか遠くへ連れ去ってくれる王子様か何かのように思い込んでいる節がある。
「拗らせ方が分かりやすくて、可愛らしいじゃないですか」
と、同情したトレネンが取りなしてきたことまであったが、アリッサは基本的にイルザには無関心だった。
しかし唯一、絶対に許せないと思ったことがある。アリッサの研究結果を奪って破こうとしたことがあるのだ。
気を引きたいからって、そんな真似をするような人間を、どうやって好きになれというのか。
結局イルザは、アリッサの外見しか見ていないのだ。
アリッサにとって何が大切なのか、特別なことは何なのかを、まるで理解しようとはしない。時折周囲から言われるように、外見だけを見て、中性的で格好良いとか思っているのだろう。
イルザは在学中も、婚約者候補と会うように父親からの手紙で急かされているようだった。
恐らくアリッサは、疑似恋愛相手に選ばれたのだ。イルザが自分の父親の束縛から、逃れる為の。
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